気持ちのすれ違い

前話: 望まぬ地位の価値
真央と別れ、タクシーに乗り西麻布の交差点近くの友人のバーへ

浴びるように酒を飲み、そのあとのことは記憶にない…
目が覚めると時計の針は朝の10時をまわっていた。
バーのソファで寝てしまっていた。
今日は19時から昨日真央に頼んだ接待の日だ
昨日の真央に対する発言の自分の馬鹿さ加減に腹が立ち、
今ここで真央にやっぱり接待はキャンセルでと電話をしようと
携帯を探した・・・ポケットの中・・・かばんの中・・・
探しても携帯が見つからない。
こんな時に俺は何をしているんだ?
探しても探しても見つからない携帯。
友人が13時ごろにお店をに着くと、
「昨日はおまえ荒れてたよ。あんなに荒れている姿を見るのは初めてだよ」
「申し訳ない・・・」
携帯が見つからない・・・時計の針は15時を指していた
友人に自分の携帯を鳴らしてもらったが誰も出ない
10回、20回鳴らしても応答がない
どこに置いてきたのだろう?タクシーの中?
時計の針は刻一刻と進む・・・
このままでは昨日の自分の真央に発したその場の勢いの発言が
実現されていしまう。そうなれば後悔では済まない。
時計の針が17時を回ろうとしていたとき、一本の電話が鳴った!
友人の携帯に僕の番号から電話が入った。
「もしもし・・・麻布警察署ですが携帯の落し物があったのですが」
すぐに取りに行くと伝え、警察署へ僕は向かった
僕は携帯を開くと真央からのメール、着信がないか確認した。
なにもない・・・
ただ・・・真央の仲のいい友達の裕子から着信が3回入っていた。
僕はすぐに裕子に電話をした。
「もしもし、ごめん昨日携帯を無くしてしまっていて・・・」
「昨日真央に会ったよ。泣いていたよ」
俺は・・・無言で一言「ごめん、本当にごめん」この言葉しか出なかった。
自分の嫉妬心から出た暴言と地位を得るため守るための発言であったこと
を裕子に謝罪の気持ちを込めて全部話した。
「真央ね・・・許婚の人と一緒になるの嫌だったんだよ」
「たくやさんに止めてほしかったんだよ」
「でも最近、たくやさんが仕事忙しそうだし相談するにも避けられている気がするって言っていて悩んでいたみたい」
「今日の接待のことは聞いている?」
「何も聞いていないよ」
「ただ、真央がたくやさんに嫉妬してもらいたい、気持ちを確かめたいと許婚の件でちょっと引くに引けなくなっちゃったよ。って言っていたかな?」
昨日別れ際にね・・・真央が
「たくやさんの希望することに今は私に出来ることがあるなら力になってあげたい」
たくさやさん、ねぇ・・・どういう意味???
ごめん、また次回説明するねと裕子との電話を切り、真央の携帯を鳴らす。
プルプル・・・プルプル・・・
出ない・・・3回、5回、10回・・・出ない
タクシーに乗り込みインターコンチネンタルホテルに急いで向かうよう告げる
時計の針は18時をちょうど指していた。
接待のちょうど食事の始まったところだろう?
会長側、クライアントの不動産会長側に土下座をしても、自分の地位を失っても
この女は食事のみの女でした。すまいせんと頭を下げようと思っていた。
もう迷いはない。雲の上の地位という悪魔にももう負けない。
自分の裏接待の信頼度なんてドブに捨ててやる。
著名人の御用聞きでここまできた。
今回の接待御用聞きをまとめるときっと明日から見える世界は
晴れていただろう・・・もう座敷の縁側で正座して・・・
ホテルに向かわせた女の帰りにフォローを入れることもないだろう。
地位や名声が上がるとプレイ内容も卑猥なものを希望する方々がいる。
後始末にはいつも自分がいた。
この世界から出れる唯一のドアが今日の接待だったかな?
女を金としか見ていない自分にまさか真央という一人の女が自分を変えてくれるとは?想いもしなかった・・・なんか・・・でも今の自分が嫌いじゃない
ホテルに着くと、フロントで〇〇会の会合の場所を聞いた。
「えっ??」
フロントでは分からないという回答が返ってきた。
ロビーの周りを見渡すとトイレの入り口の前に会長の運転手がいた。
「家門さん、お久しぶりです。会合の場所を教えてもらいたいのですが?」
「えっ?会合は1時間前に終わっているよ」
「18時からじゃないんですか?」
「16時からに変更になってたの知らないの?」
「・・・自分のところには連絡が来てません」
でも?真央にも俺は18時からと伝えたはず・・・
「会合にセッティングした女を見かけませんでした?」
「クライアントの会長さんといた女ね。」
「あの子、いいじゃん。みんな絶賛してたよ」
何故?18時のはず・・・
昨日喫茶店で渡した紙を想いだした。
ホテルの場所と会長の秘書の連絡先を書いていた。
でも・・・何故?
物凄い不安感を感じた。
すでに俺は取り返しのつかない時計の針を進めているかも?
今、真央はどこに??


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