「【教壇から見た世界】カンニングシークレットマニュアル。生徒がカンニングしたとき、僕はどう対処したか。3【対決編】」
その生徒の印象。
やや小太り。
でも髪はなかなかいかしてる。
悪い感じは無い。むしろおっとりした印象だ。
一見すると、新聞配達の好青年。そんなところだ。
僕はあえて間をためてこう尋ねる。
僕:「。。。なんで呼ばれたかわかってるよね。。」
生徒:「え、よくわかんないです。なんでですか?」
あ、そっち!?そっちいっちゃうの?
そっかー、そっちいっちゃったかー。
じゃあ、こっちもやり方変えちゃいまーす。
僕:「いや、見たんだよ。机の中に携帯が入っているのをさ。 」
生徒:「。。。え、そうですか。。。」
僕:「うん、そうですかじゃなくって、
そのこと自体が不正行為と思われるんだよ。」
最後の論は微妙だ。明確ではない。
大人のせこいハッタリだ。
でも、あくまでクールに。
ことばからできるだけ感情を削ぎ落して。
生徒:「いや、入っていたことは悪いですけど、電源は入れてないですよ」
僕:「あのー、見たんだよ。。。電源を入れて動かしているところをさ」
これは事実だが、
戦略としてはパッとしない。
証拠不十分の自白誘導。
サスペンスだと一番面白くないパターンだ。
だが、僕はもうこれでいくことにした。
僕:「試験監督という立場の人間が証言しているから、
そのこと自体が証拠になるのさ、不正行為のね。
もう一度聞くけど、やったの?」
生徒:「・・・・・・」
僕はトーンを落とし、怒気を強め、口調も変える。
僕:「あのー、お前が目先の利益だけを見ているのが問題なんだろ。これはお前だけの問題じゃないんだよ。お前がその行為をすることは、周りを侮辱することにもなるんだよ。何故だかわかるか。フェアじゃないからだよ。一生懸命やっている人の労力も水の泡になるんだよ。たしかに絶対評価だ。たかが数字だ。けど、その数字に安易にいくようになってほしくないんだよ。頭悪くてもいいんだよ、バカでもいいんだよ。一生懸命にやれよ。」
ドキッとする。
実はこれは自分に言っているのではないか、
そんな疑問が出るが、
まー、とりあえず置いておこう、
まずはこっちを続けなければならない。
生徒は黙っている。
僕はスイッチが入ってしまった。
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