~リストラの舞台裏~ 「私はこれで、部下を辞めさせました」 6

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来週になればリストラのための話し合いをしなくてはならない部下たちと、
中途入社者の歓迎会を開催するために夜の街へと繰り出した。

週末でなくても人々でごった返す街。最近、名前を変えたメインストリートは、
若者たちでにぎわっていた。喧騒を抜けて少しだけ静かになる一角に、
幹事である部下が予約した店がある。その幹事ですら、数か月後には自主退職
を迫られるのであるが。。。

開始時間を15分ほど遅れて店に入る。

席を探し辺りを見回しているわたしに気付いた部下のひとりが、
笑顔で手を振ってくれた。
いつものように上座へ通され、乾杯の発声を求められる。
普段なら、大してウケもしない小ネタをはさみながら
「早く飲ませろ」の視線で集中砲火を浴びているところだが、
この日ばかりは言葉数が少なかったように思う。

ちなみにメニューにはしっかりと「刺身の盛り合わせ」が含まれており、
何のために「好き嫌い」を尋ねられたのか甚だ疑問だ。
そんな、少し抜けたところのある部下。
愛嬌たっぷりである彼も、来週にはわたしのことを恨むのだろう。
会が終わり二次会に誘われるも、丁重に断って家路についた。

翌日以降もどこか浮ついた感じで乗り切り、週末を迎える。


休日とはいえ心が休まることはなかった。
何か方法があるのではないか。そう思って知恵を絞ってみるも、
ひとつとしてアイデアは浮かんでこない。
自分の能力のなさが招いた結果だと思った。

無理やりにでも思い込むことで、何かを納得させようとしていたのだ。
自分のせいにできるのなら、いっそのこと楽だった。

日曜の夜。まったく眠れないと悟っていたわたしは、
同じ境遇にいるであろう執行人のひとりと連絡をとる。
幸いにも(何も幸せなことなどないのだが)、彼も悶々としていたようだ。
互いの住処からの中間地点を指定し、定まらない足取りで家を出た。
思い返してみても、このときに何を話したのか記憶にない。

恐らく、内容のある話をするでもなく、ため息ばかりついていたことだろう。
望まなくとも、強く願ってみても、朝はやってくる。
寝不足と二日酔いのまま、会社へ向かった。


週の最初である月曜日。朝礼が開催され、上司から全体に向けて広報があった。
今後の働き方について、全メンバーと面談を行うと。
リストラという言葉など頭にもない部下たちは、
特に不思議がる様子もなく朝礼を終えた。

いよいよ、リストラのための面談が始まる。
わたしがまず別室に呼んだのは、20代の女性社員だった。

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