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13/12/18

転職大魔王伝「オレ、WEBデザイナーになる。」2

Image by Olia Gozha

遅刻せずに初出社し、みなさんの前で明るくご挨拶をし、同じチームの方々からも自己紹介をしていただき、総務の方にフロアを案内され、今日からの自分のデスクに戻ると、オレの席に何やらふしだらな雑誌が積み上げられていました。

オレ「?(◎_◎)」

先輩「じゃあ早速タイチさんにお願いする仕事を説明しますねー」

オレ「は、はい...(◎_◎)」

先輩「お願いしたいのは、このエロ雑誌のコーポレートサイトの運営です。この雑誌は見たことある?」

オレ「な、ないっす...(◎_◎)」

先輩「まぁタイチさんが持ってる他のエロ雑誌と同じようなものなんだけど、ただ熟女系だからマニアックかもね〜」

オレ「つーか、ホントに見ないんすよ…(◎_◎)」

先輩「そーなんだー。それなら勉強のために持って帰ってもいいからね。いっぱいあるし。」



やら(◎△◎)れた


そうです。

「一部アダルト寄りの仕事もあります」ではなく、


「ほぼアダルト」だったんです…


オレ、騙される。

※ここからはかわいく「そっち系」と呼びます。

仕事の内容としては、雑誌と連動した携帯サイトの管理と更新。メールマガジンの執筆や、外部サイト(ランキングサイト)のコピーライトも業務でした。

サイトの更新は毎日。届いた写真画像やムービーを、解析ツールの数値を元にサイト内に効果的に配置し、コンバージョンを上げていく。

リスティング管理は別担当が行っていたので、そこからも数字をもらって分析し、サイトを改善していくというものでした。

そっち系のを…ね。

正直、騙されたと思いました。

しかし、すぐにやめるわけにはいきませんでした。

本当はもう心底嫌で嫌で仕方なかったんですが、オレは「キャリアを積む」必要がありました。


オレ「コーポレートサイトもアダルトサイトも、バラせば同じソースコードじゃねーか♪(◎▽◎)」

先輩「タイチさーん、今日の素材でーす。つ熟女ヌード」


ぐ(◎△◎)え

ダメでした。ホントにダメ。

仕事自体はハードでは無かったのですが、、、、

過度のストレスで身体がおかしくなっていきました。


オレ、倒れる。

まずは目。

たった2週間程で片目だけ視力が1.5 → 0.3に落ちました。それで、生まれて初めてメガネを作りました。

そして頭痛。

目が悪くなったせいか頭痛がひどくなりました。ひどい時は薬を飲んでも1時間くらい続きました。でも、帰り道にはおさまりました。でも、また夜にひどくなりました。その繰り返し。


とうとうある朝、会社の最寄り駅のホームで動けなくなりました。

会社がホームから見えるところにあったので、気付いた先輩が助けにきてくれました。

そこで、オレは自分の今の正直な気持ちを吐き出してしまいました。


すると、意外な答えが返ってきたのです。

先輩「だよねー。オレもすげー嫌なんだよ。」

オレ「え?(◎△◎)」

オレ「みなさん、好きでやられてるのかと思ってました。」

先輩「いやいや。好きでやってる人なんて居ないと思う。あのさ、うちの会社ってみんな結構いい人じゃない?」

オレ「はい...(たしかにみんな普通の人で感じのいい人ばかり)」

先輩「うちの会社は小さくてまだまだ何でも頑張らなきゃいけない時期でさ。やってみたいこともあるんだけど、今は会社に体力つけさせるためにどんな仕事でもやらなきゃなって思ってるんだよね。」

先輩「会社が儲からないと、給料も上がらないしね。そう思って頑張ってるんだよみんな。いいやつらだよね。」


胸に深々と突き刺さりました。

そして、楽になりました。


オレ、覚醒。


そのあたりから、なんか仕事が楽しくなってきました。

そっち系のサイトってとにかくアクセス数がハンパなく、ユーザーのレスポンスも早いんです。数字が動くので、すごく勉強になる。

アクセス解析やアフィリエイト、UIの設計にはかなり参考になりました。

そして、担当しているサイトにも愛着が湧きはじめ、独自のコンテンツを作成するなど、新しいチャレンジを頻繁に行うようになりました。


入社して1年で会社の業績も急速に伸び、雑居ビルの一角だったオフィスも、著名なビジネス街の広いフロアに移ることができました。

しかし、やはり悩みは残りました。


「WEBデザイナーとして、まともな実績が欲しい。」

「親、兄弟、恋人、友人に言えるような仕事がしたい。」


この問題を解決するためには、自分で動くしかありませんでした。


オレ、デザイナー → 営業兼ディレクターへ。

「そっち系じゃない仕事をやりたい」と強く思いはじめたオレは、

「営業としても仕事させて欲しい」と上司に希望を出しました。

上司は「今の仕事に穴を開けないこと」を条件に許可してくれました。

営業部署は社内にあり、みんな優秀だったのですが、如何せん若くて人脈も偏っていました。

その点オレは、知り合いだけは多かったのと、フリーランス時代のネットワークがまだ繋がっていたので、制作案件を引っ張ってこれる自信がありました。

そして、奇跡は早々におきました。

オレ、脱そっち系に成功。

オレが営業を兼務しはじめて本当にすぐのこと。


友人「忙しくて死にそう!タイチ助けて!」



なんと、友人からいきなり案件が転がり込んできたんです。

しかも、誰もが知っている巨大企業の開発案件の一部でした。

苦戦はしましたが何とか納めると、それからは定期的にその会社から仕事がくるようになりました。

また、オレは昔から「飲み屋」で仕事を取ってくるタイプだったので、会社の近くに引っ越して夜な夜な飲み歩き、そこで知り合った人と仕事で繋がり、ちゃんと案件を取ってくるようになりました。

さらに、これまた他のところから紹介してもらった広告代理店さんの制作案件も手がけることになり、だんだんオレはそっち系の仕事から外れていきました。

この代理店さんとの出会いは、オレにとっても会社にとっても本当に大きかったです。


会社は更に業績を伸ばし、一念発起してM&Aを決行し、広告代理店からインフラ業へと業態を変更しました。

あの山手線のホームでうずくまった時から5年。

この会社から、そっち系の仕事は無くなりました。

オレ、WEBデザイナーになる。

会社がM&Aを進めている頃、オレは「巨大企業の開発案件」を発注してくれた企業へ、移籍に近いかたちで転職しました。

そこでは、その巨大企業案件の一部を担当したり、脱そっち系を決定的なものにしてくれた前出の広告代理店さんの案件をWEBディレクターとして担当しました。

その2年後、この会社の子会社を買い取るようなかたちで独立。

現在は、WEB制作と音楽制作を両輪とし、若く優秀なスタッフたちと楽しく仕事をしています。

そして、仕事がそんなに忙しくなくって、すごく高いクオリティを求められてない案件に限り、オレがデザインを描いてます。



若いスタッフが描いたほうがカッコいいのできるんだけど…

たまにはいいじゃん。

だってオレ、WEBデザイナーになりたかったんだもん。



PS.

元そっち系の広告代理店のメンバーはほとんど転職しちゃったんですが、今も一緒に仕事をしたり、集まって同窓会をやったりしています!

本当に素晴らしい仲間です!

まとめ

●業務内容

WEBデザイナー(サイトの更新、運営、管理等)

WEBディレクター(案件管理、仕様策定、工程管理、外注折衝等)

営業


●就労期間

約4年


●給与

月収 約200,000円〜350,000円

研修期間(3ヶ月)約150,000円

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