StartupWeekendTokyoに参加した時の事

はじめに

「54時間で起業する」という触れ込みのStartupWeekend。その東京イベントに、起業当初一技術者として参加した時の事を思い起こそうと思う。多分2012年でいいのかな?記憶力だけをたよりにやっているので僕の記憶の誇張や間違いを多分に含んでいる可能性がある。イベントの雰囲気を知るキッカケになれば幸い。

きっかけ

ちょうど起業したばかりの5月。そういったイベントがあるとどこかで見かけて「一度体験してみよう」と思いたった。既に会社があるのだから起業する人ではなくて技術者として参加するのが良いだろうというイメージと、うまくいけば良い仲間が会社に参加してくれるきっかけになるかも、という安易な未来予測で行動。

初日

確か恵比寿のある会社さんのフロアを借りて行っていたその会場へ一人で訪問。入り口がわからなくて、同じように入り口を探していた人と一緒に最初の難関を突破した。後でこんなのは難関なんて言えない程ちっぽけな事だと知る。
入ったら起業家なのか、技術者なのか、デザイナーなのかという印を付けて札を首からぶら下げるように促される。確か既にビールで乾杯できる雰囲気で、飲みながら語る人達がそこにいた。
何人かちょいちょい話をしていたら、顔には見覚えがあるけれど、どこで出会ったのか思い出せなかったある人に話しかけられ、ドギマギしつつ応対。「プログラミングを学び合うシェアハウス」の内見に来てくれた人だとわかった。あの時はごめん。SG(シェアハウスの出来るまでの話はこちら
時間になったようで皆集められて地べたに座った。ジョニーさんと李さんという感じの良いお二人が英語で促してくれる。大体英語は李さんが日本語に翻訳してくれるので英語がわからなくても気にする必要は無かった。二人の掛け合いがとてもいい感じだったなぁ。
アイスブレーキングで適当に選んだ二つの言葉から新しいWEBサービスを考えて発表するというのをグループでやって、その後ピッチが始まった。
ピッチは短時間で自分の解決したい問題とその方法を全員に向けて話す。そこでの共感がチームビルディングに繋がるという事だった。最初パラパラとピッチしたい人が集まっていたが、最後は行列ができていて凄いことになっていたのを今でも覚えている。
そして、投票で絞り込んで、最終的にジョインしたいチームを探す事になった。僕はどこに入るかという目線でピッチも見ていたし、リーダーの雰囲気も見ていた。
ただ、困った事に僕がビビッと来るような内容が見つけられなかったんだ。うーん。これはどうしようかな。ピッチしなかった自分に若干後悔する。途中からは以前このイベントに参加していて、僕がお世話になっているサービスに関係していたUさんが僕にアドバイスくれていた。あの時はボッチで悩む事にならなくて本当に良かった。Uさんに感謝。
結局ジョインしたいチームが無いままに初日は帰宅。次の朝にもチームビルドの機会があるらしいし。

二日目

チーム決定

朝「とりあえずチームが無い人は早く見つけなさい」と促されてウロウロ見て回ろうとしたところ、バッタリSGさんに遭遇。
SG
もう入るチーム決めましたぁ?(やわらかい関西弁)
自分
いやー、実はまだなんだよね〜
SG
えっ。そしたらうちのチーム来てくださいよ!歓迎しますよ。
自分
まじで?とりあえず話聞きにいくよー
そんな流れで入った小さな部屋に6人くらい人がいた。作りたいものの話をリーダーの人にザックリしてもらって(もう忘れてしまったが当初は目標を持って日々の生活を高める為の何かだった気がする…)
自分
オッケ!俺ココにジョインするよ。していい?
と決めた。自分の事は「器用なプログラマー」だと紹介しておいた。聞けばドップリプログラミング派の人がいなくて、不安に感じたSGさんがハントに出ていたという話だ。

リーンスタートアップキャンバス

落ち着く場所は決まり、お互いの呼び名を確認したり、ポジションを決めて(自分はリードプログラマ)、リーンスタートアップキャンバスを埋めるという作業に入る。周囲の人の作業が早い早い。ドンドン意見を出してバンバンキャンバスは埋まる。正直「おいおい、こんなスキルの高い人がいるのかよ。俺なんてこのキャンバスが何なのかもよくわかっていないのに…」と少しビビったのを覚えている。
聞けば、事前にセミナー的な会があって、リーンスタートアップキャンバスもみんな学んだものなのだという事だった。なるほど。まぁビジネスで活躍できなくてもプログラミングで頑張ろうと思ったりして自分を慰めてた。
このキャンバスで大事なのは「顧客と、その解決したい問題」。この三日間の目標はその問題解決を具現化したプロトタイプ — Minimal Value Product(MVP)を作成するのと、実際の顧客となり得る人が市場にいる事を証明する事なんだそうだ。ハッカソンとの違いは、「切望する顧客がいない製品ではダメだ」という事。

本気のメンタリングでバッサリ

キャンバスを埋めた後、ブレストをしてみんなの体験から色々と探った。例えば、未来の自分の為に動画レターを撮っている人がいたり、過去の自分、未来の自分へ向けた手紙をmixi日記で書いている自分がいたり、というように「過去と未来への繋がりから自身の成長を確認している」というファクターが浮き彫りになったりしてきた。このあたり、リーダーのKさんの雰囲気づくり、ファシリテーションがとても良かった。温和な彼が皆の意見をやんわり促してゆく良い空気だったと思う。
ホワイトボードにどんな人が顧客なのかという視点のポジショニングマップのようなものを描いてみて、全員の方向性の集約は何となくうまくいった頃…

Sさん(メンター)
お、どんな事決めたの?聞かせてもらえる?
自分ら
是非お願いします!xxで、yyで…
Sさん(メンター)
ハッキリ言っても良い?
自分ら
は、はいッ。お願いします。
Sさん(メンター)
それならこっちは顧客じゃないし、これも不要。切れる所はバッサリ切って、こっちもいらない。(ホワイトボードにバシバシっとバッテンが増えてゆく…)
自分ら
Oh my god...
Sさん(メンター)
もうすぐ昼飯だから、食べてまた考えると良いよ(スタスタスタ…)
自分
(この時彼の言った事をもっと詰めたかったので追いかけた。彼はエレベーターに乗るつもりだったようだけど、その入り口まで一緒に歩きながらイロイロ確認した。何話したかはもう忘れたけど)
Sさん(メンター)
あ、トイレ行くんじゃなかったんだ。じゃぁ頑張って!(エレベーターの扉締まる)
自分
(部屋へ戻り)とりあえず確認したんだけどaaでbbで…
Rさん(技術者)
ジャックナイフみたいな切れ味の人だったよなぁ…
自分
す、凄かった…
こんな感じで様々なメンタリングをメンバーの人達が行なってくれる。午前中最後のハイライトがこの出来事で、みんなで「この後どうするか飯を食いながら考えてくる事」という宿題だけ決めて昼飯へ…多分青い顔してたと思う。
あんなにズバズバ物事を尖らせて分析・説明できる人に出会った事が無かったので正直かなり気圧された。世の中には凄い人がいるものだ。

昼食

昼ご飯はチームのメンバー以外と食べる事を推奨されているので、弁当を貰ったらめいめい違うチームのテーブルへ散った。僕もある所へジョインさせてもらう。
そこは最終的にはその会のイベントの優勝チームで、今UI/UX中心の開発で名を馳せているTさんがいたりした。作るものに、以前僕も研究した事があるOCRが必要そうだという事で、僕のブログを紹介したりした。「この勢いでうちのチームにジョインしなよ」と誘われたけれど、あのとき裏切ってたら自分は優勝チームの一員だったなぁ。惜しい事をしたよ(笑)

まとまらず・手を動かす

午後は考えた事をお互いに出してみたが良い形にはまとまらず、どんなアプリになるか見当もつかなくなってきた。時間は少ない。この午後の時間がとても重要である事は皆理解していたが、進める為の突破口が見つからない。

自分
わりぃ、わかんないけどちょっとHTML書くわ。とりあえず手を動かしたい。
メンバー
「あれこれ」「いろいろ」「話す」
自分
こんな感じ?
メンバー
うーんちょっとイメージ違うかも
Tさん(デザイナー)
これでどう?こんなん?(素晴らしい絵を出して)
メンバー
「かっこいいな!」「すげー!」「でもまだなんかなぁ…」
…なかなか決まらない…。焦る。やばい。
余談だが、Tさんのデザイン力はここから最終日まで発動し続ける。自分らの企画はプレゼン、アプリUIがとても質の高いモノになったのだけれど、Tさんのデザイン力におんぶに抱っこだった。「デザイナー超頑張ってるね」という評価はかなり戴いた。

救世主


Wさん(メンター)
よっ。どんな感じ?
Kさん(リーダー)
け、結構煮詰まってます…
Wさん(メンター)
どんな話してるのか聞かせてよ。
Kさん(リーダー)
Tさんの絵をベースに色々と語る…僕らのシックリ来ない点(確かマネタイズ絡み)も含めて
Wさん(メンター)
もうだったら「目標を宣言する!」って割り切っちゃえば良いんじゃないの?今いろんな事を考えるよりはシンプルな価値をユーザーに提供した方が使いたくなるでしょ(確かこんな感じ)。
メンバー
それだ!もうそれ!それ最高!それ採用!神光臨!
Rさん(技術者)
でも、見せられるものがちゃんとあってよかったよなー。わからなくても手を動かしておくのは大事だね。今話せなかったら大変だったし。でも、とにかくWさんは大明神だね!すげー!
そんなわけで、僕らのホワイトボードの脇にはWさんの神社が小さく描かれたりした。困った時のW大明神!リーンスタートアップの牽引者の言う事は違う!

分業

やる事が見えた!あとは進めるだけだ。リーダーのKさん中心に分業体制を取る。自分とSG、Rさんは環境構築してプログラミングを始める。TさんはKさんとデザインの意識合わせ。当時学生だったYさんは「出来る事少ないけど何でもやります!言ってください!」と気合い入れて周辺調査等を積極的にやってくれた。
進み出すと早い。やっと開発らしくなってきて面白くなってきた。

二日目が終わる…

また皆が揃っている会場で飲み食いできるのだが、会場は異様な空気になっていた。二日目が終わるというのにまだディスカッションを続けているテーブルからは焦りがプンプン匂ってきてとても余裕が無い様子。焦燥感・疲労感でピリピリしている。
僕らは進み出したのもあってかなり気持ちに余裕が生まれていたのもあり「かんぱーーーい!」なんて気楽にビールを飲んでいると「なんだここ仲いいなぁ。おいぃ。」なんて声をかけられたりしていた。確かに周囲を見ていると仲良く乾杯できるようなムードの所は殆どなかった。

え?徹夜とかってマジすか?

自分はもう家へ帰る気でいたのだけど、どうやら二日目徹夜は結構当たり前な事らしい(だったら酒飲んじゃダメだよ)。自分らも結局どこかで夜を徹することになった。弊社事務所が近かったので皆を案内する。
ビジネスの事を詰める者、調査の続きをする者、コードを書く自分。力尽きて眠る者。イロイロだが、明け方にはお互いの夢だったり目標のような話になっていたりした。徹夜テンションってやつだろう。優秀なデザイナーのTさんが実はPGに転向したいという話を聞いたりして、互いが深まった明け方だったと思う。
このイベントに参加した人同士がFB上で「今xxで徹夜」みたいな情報をやり取りしていた。弊社事務所にあっさり転がり込めたのは幸運だったとメンバーと話していて「このイベントに出る時は2日目の晩に皆でいられる場所の確保、大事だね」みたいなことを言ってた気がする。
そうして早朝にまた電車で会場へ戻る。

三日目

もうプレゼンまで時間はない。プレゼン資料を用意するもの、説得力のあるデータを取る為に走るもの。徹夜明けだしやる事も多かったので正直この日の事はあまりよく覚えていない。
へろへろでコードを書く自分とSG。SGはとても頭が良くて「今なにをすれば良いか」の理解がはやくてとても助かった。自分と分業する時にどういう形がやりやすいかを提案してくれたり、開発のスムーズ化をかなりやってくれたと思う。

迷い

そんな中事件は起こる。この日何度と無くメンタリングを受けていたKさんの迷いだ。様々なメンターの意見を注入され、それを咀嚼していたKさんだが、メンターの方それぞれは説得力のある意見を出してくれるので、どういう方向が良いのかに迷いが生まれてしまった。一回全員が作業をやめてテーブルに着く。

自分
...
Hさん
「あれや」「これや」「聞かされた事や」「気になる事」
自分
Hさんがやりたいものを「俺はこうだ!」って言うだけで良いよ。俺はそれを信じる。
Hさん
…少し考えさせてくれ
Wさん(メンター)
どう?順調?
自分ら
(なんか説明したり会話したりをWさんとしていたと思う。)
Wさん(メンター)
じゃ、頑張って(スタスタスタ)
Hさん
(スッキリ!)
自分ら
(…やべぇ。大明神まじパネェ)
自分らはこの三日間で完全にWさんに心を奪われてた。大明神マジパネェ。Hさんが体験した迷いは起業してから自分も凄くよく出会う事になった。例えば自分が進めている事業の話を誰かにした時。相手が先輩経営者さんだったり、VCさんだったり特に目上の人が「それってこうじゃね?」って何気なく言った事が凄く尤もに感じる瞬間がある。そしてそれが思っていた方向と微妙に違ったりする。だから迷う(キチンと出来上がっている人はそこでブレない、揺れないと思う。まだまだ自分は未熟だという事だ)。
優秀な様々なメンターが見に来てくれるというのは、そういう起業した後出会う状況の縮図だったのではないかと考えると、起業後に向けたトレーニングも出来てしまうのかもしれない。

夕刻

夕刻は確実にMP(マインド・パワー:コードへの集中力だと思いねぇ)が尽きてきていて、一つのタスクを消化するのに時間がかかり、ミスも増えてきていた。他のメンバーが仕入れてくれるお茶やコーラで喉を潤すも、脳が全然潤ってこない。まぁ一日半休んでないなら当然か。
ちょっとよく覚えていなくて、コードを書かずにプレゼン練習の応援だけしていた時間があったような気がする。ギリギリまでコード書くべき気がするんだけれど、どういう流れでそうなったのか忘れてしまった。
結局どこかで割り切りが必要なので費用対効果の高い方へ割り切ったか?

プレゼン

最後のプレゼンの前にWさんが来てくれて「このチームはメンターの評判が凄く良いよ。頑張れよ!」って言ってもらえたのを覚えてる。ドアからヒョイッと顔を出してそれだけ言ってサッと出て行かれてしまったから、かなりお忙しい時間だったのだろう。僕らが色めき立ったのは言うまでもない。
プレゼンは一番大きな会場に全員が集まって行う。パイプ椅子に座って全員が揃うのを待っていると…

Kさん
ちょっとさ、これなんだけど…
自分
え?なになに?
Kさん
トップページのアドレスにできない?
自分
ちょ、お、おう。確かに。やってみる(マジか、イマか)
SGさん
これやったらサクッとリダイレクトしたら良いんじゃないですか?何で出来ましたっけ。header流せば(カタカタカタ…)。できたかな?こうかな?あ、いけた。
自分
SG最高!ありがとう!
普段なんでも無いような内容がMP0だと凄くしんどくなるので、この時のSGさんの的確な対応が有り難かった。時間が全くない中でも落ち着いていて冷静。出来る男は違う。
この時の自分の心残りは、夕刻ギリギリにやろうと思ってた軽いタスクがMP0で全然実装できなかった事だ。利用規約的なものまで用意があったのに、ちゃんと入れられる精神状態ではなかった。
そうしてプレゼンが始まる。プレゼンはQLiveという質問掲示板のようなものを使ってオンラインと連動して行う。QLiveを見れば、見た人がどんな反応(好意的なのか、課題を感じているか等)をしているかが一目瞭然という形。このQLiveも過去SWTで活躍されたチームの成果だそうだ。
他のチームへの反応を見ていると、かなり厳しい意見もならび、「うちらこんなんでコテンパンにされたらどうしよう」かなりビビってた覚えがある。
意外にも評価はかなり優しいものだった。シンプル過ぎて突っ込みどころが少なかったのか、目的が明瞭だったからわかりやすかったためかわからないけれど、全体的に優しい空気感でホッとした覚えがある。

結果発表

先にも書いたけれど、自分の所は優勝チームではない。
残念だったけれど、心地よい激疲労感が残っていた。その後は当然みんなで乾杯!
酔った勢いでSGさんがシェアハウスに入ってくれるように口説いてた。思えばこのイベントが無かったら彼と一年暮らす事は無かったかも知れないんだな。深夜に熱い話になって、明るくなってからリビングから退出する、なんてことを一番多くやったのがSGだった。この晩の口説き方はかなり強引だったけれど。

別れ

その後、メンバーで飲み屋に入って話をした。議題は「今後どうする?」ということだった。54時間で起業するのが目的なのだから、ようするに起業するのかしないのか、作ったサービスをローンチさせるのか、しないのかということだ。
もう一つ。自分はもう会社を一つ持っていて、そっちに注力する事を決めていた。だから新会社ができたとしても十分なコミットをして、ジョインできる余裕が無いという事だ。このチームと一緒に起業する事はできない。できる範囲で応援だけをさせて欲しい。自分が作った部分が多いのでその情報は聞いてくれたらドンドン出してゆくので活用して欲しい、というような話をした気がする。
正直言って辛かったな。優秀で素晴らしいマインドの人ばかりだったから、こっちでCTOやるのも超楽しそうだと思っていたので。

※追記:
これは自分が良くなかった。起業する為のイベントなのに、起業できない人が混ざって経験と繋がりだけ持って帰ろうなんて虫が良過ぎる。そう思ったからこの後Startup Weekendには出ていない(周囲の出る人から誘われたりもしたけど、サラーッと流してしまった)。ひょっとしたら現場はもっと緩いのかもしれないけれど、自分は場に適さないのが自身だと思ったら自分から撤退するタイプ。サービスでもお店でも何でもそうだけれど、勘違いした利用者が場を壊すのってお客側の立場からなら結構簡単にできる事なんだよ。知った上でそれを続けるとしたら質が悪過ぎる。

そしてまた別の話へ

「ローンチはする。その為のアクションをしよう。」
そう決めて、その夜は別れた。

目的の54時間の話は書けたから、ここまででキーボードを打つのをやめる。
こんな長い文章を読むのはとても疲れたと思うが、最後まで目を通してくれてありがとう。

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