休学中の大学生が、縁もゆかりもない地方都市でバーテンダーをしてみた話 - 1 -

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はじめまして、高原千晴と申します。

今回は、わたしがこの3ヶ月体験してきた「縁もゆかりもない地方都市でバーテンダー」の話。
わたしがどうしてそんなことをすることにしたのか。やってみて、どうだったか。
休学や地方や働き方や学んだこと、自分の手で切り開いた新しい生活のことを、まとめてみました。
すこし長くなりますが、興味ある方に届けばいいなあ、と願って。

自己紹介と休学の経緯



法政大学国際文化学部3年生を年間休学中です。
横浜生まれ横浜育ち。地方、というものに縁がなく生きてきました。

休学するきっかけになったのは、株式会社LIGでのインターン。
大学1年次から働かせてもらっている東京・上野のWEBベンチャーです。

LIGが自社メディアとして運営している「温泉JAPAN」活性化のため、日本全国の温泉を取材することになりました。
期間は2013年3月から8月末まで。半年間の企画だったので、当初は半年休学を予定していました。

南は屋久島から北は稚内まで、25800kmの長旅。温泉取材で知らない街へ街へと行く毎日。
生まれ育った横浜と、東京と、祖父母の住む大阪くらいしか知らないわたしにとって、それはそれは新鮮な日々でした。

きっかけとなった知人の一言

縁もゆかりもない地方都市でバーテンダーをするきっかけになったのは、とある知人の一言でした。

知人
松山に日本で一番カクテルが美味いBARがあるんだけど行った?


日本で一番...誰がどう決めたのか全く分からないのですが、知人曰くそんな風にそのBARを称える人がたくさんいるというのです。私は当然その話を聞いておらず、するりと通ってしまっていました。その時は「なにそれ知らない!はやく言ってよー」で終わったのですが。
この一言を言われたのは、旅程が2/3を過ぎた、7月上旬でした。西日本と中日本を終えて一度東京へ帰った時のことです。

それから間もなく東京を出て、北上していきます。頭の中でその一言がぐるぐると巡りながら。

もともと「温泉が好き!」という漠然としたわたしの想いがあって始まった、日本一周湯巡り旅。
この企画を通してわかったのは、好きなことに詳しいと楽しい、ということでした。
わたしが好んでよく使う表現を用いれば、「好きを肥やす」
好きが広く深く肥えていけば、それはとても素敵なことだと思えたのです。
温泉は、どこでも、なんでもいいわけじゃない、と。
良い意味で好きなことにこだわっていきたい、と。


それに旅中気付いてから、復学した後アルバイトを探してやってみようと決めていたのは、バーテンダーでした。
わたしの中にあった、お酒が好き、という漠然とした想い。だけど、知識として経験として全然なにもわからない。
だから、お酒に詳しくなれそうなバーテンダーをやってみたいと思っていました。なんかカッコいいし。

日本で一番カクテルが美味い、かあ…。

ふつふつと、確実に、頭の中が急展開を迎えました


思いついてしまったわけです、「その松山のお店で働かせてもらえないかな」と。


日々通り過ぎて行く、初めての地方都市、知らない街々。
「鳥の目」で日本全国を俯瞰する半年間でした。そうしたら次は「虫の目」で、どこかの街をじっくり見てみると楽しいかもしれない。
どこか1カ所くらい、勝手知ったるところができてもいいんじゃない?なんて。




縁もゆかりもない地方都市に住んでみて、仕事をして、知り合いをつくって、生活をしていく。
お酒の勉強をしながら。BARで働かせてもらいながら。
それってめちゃくちゃ面白そう。




愛媛県松山市。大きすぎず小さすぎず、ほどよく都会でほどよく田舎。温泉もあるし、もうなんか、突拍子もない感じが、良い。




松山のBARのことを教えてくれた知人に相談してみると、「やめとけやめとけ」と言われました。
「ホントこだわっててスゴいところだから、お酒勉強したいんです〜なんて甘っちょろい素人が行くところじゃない!」と。
それでも諦めきれず、連絡をとってみました。8月上旬のことで、わたしは東北の温泉取材のまっただ中です。

その時すでに、松山のお店がもし駄目でも、他の地方都市でバーテンダーをやってみようとは決めていました。
候補は松山、高知、長崎、鹿児島などなど。縁もゆかりもなく、東京から遠く、大きすぎず小さすぎず、行ってみて感じの良かった地方都市が候補でした。
休学中に住むとなれば、冬を越すのは必至。なるべく暖かいところが良い、ということもあり(笑)四国・九州に絞りました。

松山にバイト面接へ



松山のBARとの、メールのやり取りが始まりました。
ひとつひとつ丁寧に事情を説明し、どうしても働かせてほしいとお願いしました。
「ひとまず会ってみないことには」と、至極当然のことになります。

旅が終わったのは8月31日のこと。9月2日にバイト面接のため松山へ飛びました。
この時もはや、松山への憧れでいっぱいでした。春先に道後温泉の取材で訪れたときの、見てきた景色すべてが、伏線だったような気がして。

マスターのMさんとは、仕込み前のお店で落ち合いました。
「夕方から仕込みで営業は朝まで」「毎日働いてもらって、日曜は基本休みで」「お給料はこのぐらいで」。
とんとん、と話が進んでいってびっくり。Mさんは私のことを、雇うつもりで迎えてくれていました。
本当にいいんですか、と聞くと、「正直人手は足りてるんだけどね。教えることも勉強のうちだから」という、超絶なプロフェッショナルっぷり...。


そうして、松山でバーテンダーをすることになったのです。
わたしは東京へ帰り、家族や友人に事情を説明し、慌ただしく準備をはじめました。
休学届に「松山でバーテンダーをするため」と正直に書いて提出したけれど、受理されなかったらどうしよう、なんて。

わくわくで、はち切れそうでした。これからの日々に。

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