私を助けたもの ワークショップ2 もう一人の師匠

1 / 2 ページ

前編: 私を助けたもの ワークショップ1 最初の師匠




リゾートマンションという名称のほどでもありませんでした。

頭に「昭和の」とつけば、納得する感じでした。


25mの室内プールがあって、いくつかの多少錆びついた器具のあるジムがあり、小さな研修室がありました。それ以外は、少し広目のワンルームが10階ほどびっしり並んでいるような、海沿いの真っ白な建物。

地元からそれほど遠くないところに、こんな建物があったんだ。ボストンバッグを担いでバス停を降りた私は思いました。


「カウンセリング・ワークショップ」

そういうイベントの名前でした。3泊4日で、学生にはそれほど安くないイベントに、開催の直前になって応募したのは、当時ワークショップという体験教育にはまっていた私に、信頼できる知り合いが紹介してくれたからでした。


そのときの私がそれまで体験していたのは、自然体験のようなキャンプものばかりでしたから、心理という分野のワークショップは初めてで、とても緊張して参加したのを覚えています。



参加者は10数名。円座になって座りました。

最初のワーク。今の気分を絵で描いてください、と進行役が言ったとき、とても動揺したのを覚えています。絵を書くのは、苦手中の苦手でしたから。


後になって、私が勝手に「師匠」と呼ぶことになる、進行役の陽に焼けたおじさんは、こう続けました。


「何で書いてもらうかというとクレヨンです。クレヨンはね、小さいころに描いてた道具ですね。小さいころはね、上手なこととか全然気にせずに、ただ夢中に描きたいことを描いてたでしょ。クレヨンを使うと、その頃の感じのまま描けるんだよね。だから、皆さんもうまく書こうとか考えずに、ただ無心で描いてみてね」


・・・そう言われても、描くのはやっぱり苦手意識の染みついた私でした。


ゆったりとした流れの雰囲気に、美味しい食事。最初は緊張していた私も、段々と落ち着いて、その時間が楽しくなってきました。

やがて、参加者の誰かが自分の今の悩みを語り合うワークになりました。どうもそのワークが、そのワークショップのメインのワークのようでした。


私は色んなワークショップを経験したくて、参加しただけだったので、自分の悩みを話す気持ちはありませんでしたが、段々と自分のことを打ち明けたい気持ちになっていました。




私のその頃の悩みは、人とうまく話したいのに、うまくコミュニケーションをとれないということでした。今風に言うと、コミュ障ですかね。

なので、当時は演劇サークルに行ったり、コミュニティラジオに参加したりして話す経験を積めば、コミュニケーションできるかなと色々していました。でも、うまくなったという感触はなかったです。


私がそういう悩みをひとしきり話したら、師匠は最初にこういう質問をしてきました。


「君が一番話しにくい人は誰なの?」



・・・??

みんなの読んで良かった!