私を助けたもの ワークショップ1 最初の師匠

前話: 私を助けたもの 大学一年生
次話: 私を助けたもの ワークショップ2 もう一人の師匠

師匠と出会う


私はとにかく探していました。


そして、ワークショップと呼ばれた場所で、私の最初の師匠と出会いました。



私がそこで最初にやったのは、「サークルボール」という参加者同士でボールを投げ、受け取るということを繰り替えすシンプルなワークです。

私はたまたま、師匠の前に座っていたので、指名されて練習役をしたのでした。

師匠
「よし、じゃあ、そこの黒い服の男性、立ってくれる」
わたし
「‥は、はい!」
師匠
「名前は、えーと・・」
わたし
「はかせで‥す、はかせと書きました」
師匠
「そう、じゃあ、はかせ、ちょっと手伝ってくれる?」
わたし
「・わかりました。」
師匠
「このボールは皆さんの気持ちだと思って下さい。皆さんの大切な気持ちです。気持ちを相手に届けたいときはどうしますか?まさに気持ちを込めて届けますよね。届いて欲しいと思って伝えるでしょう?そういうボールです。このゲームはとても簡単です。まず相手の名前を呼びます。名前を呼ばれた人は返事をします。じゃあ、はかせ!!」
わたし
「はい」
師匠
「返事が聞こえたらボールを渡します。相手が落とさないように気をつけて下さい。じゃあ、はかせ!!」
わたし
「はい!」
師匠
「・・このように渡します。渡された人はまたボールを誰かに渡します。はかせ、私にボールを返して」
わたし
「・・まつきっちゃん」
師匠
「はい!!‥このようにです。落とさないように投げる人は気をつけてください。おもいのこもったボールです。例えば、返事をしないうちにボールを投げたり‥はかせ!!」
わたし
「はぁ・!!」
師匠
「‥こんな風に。ごめんね、はかせ。今度はちゃんとやろう。はかせ!!」
わたし
「はい!」
師匠
「・・いいですか。じぶんのおもいのこもったボール、みんなのおもいのこもったボールです。大切にしましょう。はかせ、ありがとう」
わたし
「はい・・」
師匠
「じゃあ、はじめましょう!!」

この人のことを知らなくちゃ・・


ワークがはじまって終わるまで、ただ呆然としていた自分を思い出します。

何か大切なものを学んでいる気がする、でも楽しくて自由なこの心地は何だろう・・今でも忘れないですね。

師匠との出会いのワークショップが終わった後、私はこの人のことをもっと知りたいと思いました。いや、不思議と知らないといけないように思ったんです。


私は恥ずかしがりやの臆病者です。それでも、思い切って松木さんに話しかけたんです。「松木さんがやっているワークショップにまた参加してみたいんです」って。

そしたら師匠は言いました。

「それならこれからワークショップのミーティングするから、そこに参加してみたら?」


これは、ヤバイ・・

そのミーティングは、little wolf campという、子供たちが参加するキャンプワークショップのスタッフ会議のことでした。私は飛び入りでしたが、特別に参加できることになったのです。

その会議の会場に行くと、そこは薄暗い教室で、私の他にも10名くらいスタッフの方がいました。年齢は私と同じくらいの人が多そうでしたが、私は誰も知りません。彼らはとても親しそうに話し合っていました。

少し心細かったのを覚えています。


そしたら、薄暗い教室がいよいよ真っ暗になって、師匠が奥からやってきました。

師匠は低いうなり声を出したかと思うと、小さなマラカスのような楽器を鳴らし始めました。そして、祭壇のようなろうそくに火をつけて、後でセージと知る葉っぱのようなものを燃やし始めたのです。

私は、これはアブない、と思いました。ワークショップに参加するのはまだ慣れてはいませんでしたが、危ない宗教の勧誘のようなワークショップがある事は知っていました。

思わず周囲を見渡しました。真っ暗でどこが出口だったのかもうわかりません。いくら迷っているこんな自分だったとしても、こんなところに来てしまうとは。この先何かあればすぐにここから逃げ出さなくては。

そんなことを考えていました。


魂について語ることを恐れるな


その時師匠がこう言いました。


「Don`t be afraid to talk about a spilit.」

魂について語ることを恐れてはいけない

衝撃のある言葉でした。まるで雷に打たれたように、呆然としていました。

そのころ大学2年生の私は、自分がこれからどのように生きていけばいいのか悩んでいました。いろんなサークルをはしごしたり、大学の外に出て初めての人に会ったり、その頃の自分にはストレスフルなことを続けていました。でも、なかなか自分がこれと思うものには出会えませんでした。

そんな私を、師匠の声は、やさしく諭しているように思いました。

師匠はこの言葉を2回繰り返しました。

そうか、魂、自分の一番大切なところにあるものを、誰かに話すことを恐れてはいけないんだ、この迷っている自分、こんな所にいて不安でつらい気持ちも、外に出していかなきゃ。師匠が私にそう言ってくれているように聞こえました。

そうしたら、知らずに涙が出てきました。

そのあとで、師匠が続けたのは、ワタリガラスの神話でした。創世の話に私には聴こえました。何かが始まっていくような、希望のにおいのようなものがしました。

この人についていこう、そういう時間が始まった時でした。


著者のMiyoshi Hirofumiさんに人生相談を申込む

続きのストーリーはこちら!

私を助けたもの ワークショップ2 もう一人の師匠

著者のMiyoshi Hirofumiさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。