top of page

14/1/25

車いすの男性と出会って結婚するに至るまでの5年間の話 その2

Image by Olia Gozha

プロローグの話題入りありがとうございます! たくさんの方に目を通していただいているみたいで、うれしいです。

10年以上前のことを思い出しながら書いているので、戻って修正したりしています。前回、連絡先を交換したと書きましたが、もう少し後のことでした。「その1」も訂正してあります。

すれ違い

翌週から、毎週日曜日はそのテニスコートに出向いて取材を重ねるつもりでいた。しかし、次の日曜日、入院していた父のところに行かなくてはならなくなり、テニスコートには行けなくなってしまった。連絡手段がない。ひと言、「今週は行けなくなりました」と、どうしても伝えたかった。取材すると言いながら、すぐに来なくなったと落胆されるのじゃないかと、そんなことが気にしまい、気が気じゃなかった。

そして、また次の日曜日になり、2週間ぶりにテニスコートに行った。いた。そしてどちらからともなく、連絡先を交換しようという話になり手書きのメモをもらった。見た目と違い、かわいらしい丸みのある文字だった。連絡先をもらって、とてもほっとしたのを覚えている。

その日は午後までテニスコートで過ごした。前回よりもたくさんの方が集まって、プレーしていた。車いすの方もいるし、健常の方もいる。私も混ぜて打たせてもらった。車いすの人がこんなにたくさんいて、健常の人とも普通にテニスをしている。普段見られない光景で、新鮮だったけれど、でも全く違和感がなかった。

お昼を食べるときに、みなさんからベンチを勧められた。「みんないす持参だから、座って」と。

「いす、持参」

車いすを利用していることを「いす持参」なんて言えちゃうんだと、すごく衝撃的だった。このフレーズはすごく気に入ってしまい、以降たびたび使っている。


その日はたくさん人がいるということもあって人目が気になってしまい、彼とは連絡先を交換したものの、それ以外あまり話ができなかった。帰り際にでも、少し話せたらな、と思っていた矢先に急に雨が降り出した。

幸い、私は傘を持っていたので特に不自由はしなかったのだが、かなりの土砂降り。これって、もしかして駅まで送ってもらえたりするのかな? なんて、打算的なことを考えてながら、きょろきょろを辺りを見回しても彼が見当たらない。他の方にも駅まで送ろうと声を掛けてもらったけど断った。

みんなどんどん車で帰っていく中、彼の車は駐車場に止まっている。雨の中でいかにも待っているみたいに立ってもいられず、ゆっくりだけど傘をさして駅のほうへ歩いていった。

後日、そのときの話を聞いた。彼は私を車で送ってくれるつもりでいた。帰り支度をするために洗面所などに寄っていて、その間に私は駅に向かってしまい、すれ違いになっていたようだ。傘をさして駅に向かう私の背中に向かって、雨に濡れながら、私の名前を呼び続けていたのだとか。その話を聞いたとき、映画かドラマのワンシーンみたいだね、と笑い合った。

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

フリークアウトのミッション「人に人らしい仕事を」

情報革命の「仕事の収奪」という側面が、ここ最近、大きく取り上げられています。実際、テクノロジーによる「仕事」の自動化は、工場だけでなく、一般...

大嫌いで顔も見たくなかった父にどうしても今伝えたいこと。

今日は父の日です。この、STORYS.JPさんの場をお借りして、私から父にプレゼントをしたいと思います。その前に、少し私たち家族をご紹介させ...

受験に失敗した引きこもりが、ケンブリッジ大学合格に至った話 パート1

僕は、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ、政治社会科学部(Social and Political Sciences) 出身です。18歳で...

あいりん地区で元ヤクザ幹部に教わった、「○○がない仕事だけはしたらあかん」という話。

「どんな仕事を選んでもええ。ただ、○○がない仕事だけはしたらあかんで!」こんにちは!個人でWEBサイトをつくりながら世界を旅している、阪口と...

あのとき、伝えられなかったけど。

受託Web制作会社でWebディレクターとして毎日働いている僕ですが、ほんの一瞬、数年前に1~2年ほど、学校の先生をやっていたことがある。自分...

ピクシブでの開発 - 金髪の神エンジニア、kamipoさんに開発の全てを教わった話

爆速で成長していた、ベンチャー企業ピクシブ面接の時の話はこちら=>ピクシブに入るときの話そんな訳で、ピクシブでアルバイトとして働くこと...

bottom of page