コネで適当に決まった就職がその後の生き方を変えた 最終回

前話: コネで適当に決まった就職がその後の生き方を変えた その8

新たなる夢の実現へ

専門学校2年生のときに、車いすテニスに出合った。これがきっかけで、将来夫となる人と出会うことになるわけだけれど。
8月のある日、有明テニスの森のテニスコートで、国内トップの選手の試合が見られるという情報をもらい見に行った。一般のテニスコートで決勝が行われたのだが、ひとりはいろいろな本でも目にしたことのある、国内ランキング1位のS選手だった。シドニーパラリンピックにも出場したのも知っていた。世界でもTOP10に入るほどのプレーヤーだった。
対戦相手は高校生の男の子。華奢で、本当にまだ“男の子”という感じだった。結果はS選手の圧勝。高校生もとてもレベルが高かったけれど、まだS選手には及ばないという感じだった。
コートのすぐ近くで試合を見ることができたのだが、そのボールのスピード、勢い、パワーに圧倒された。さらに、コートを縦横無尽に駆け回る車いすの迫力に衝撃を受けた。「これは、なんて面白いスポーツなんだろう!!」と思った。そして、いつか必ず、この競技を報道したいと思った。
テニス雑誌の編集部のスタッフにはなったけれど、車いすテニスを誌面で取り上げる機会はなかなか訪れなかった。他のスタッフには興味も持ってもらえない。だが、2003年に車いすテニスの日本チームが、国別対抗戦で優勝を果たしたのだった。このチャンスを逃してなるものか!! 日本代表として出場した選手とコーチへのインタビューの企画が編集会議で通り、ようやく車いすテニスを誌面に載せるという夢を実現することができた。
その後、2004年のアテネパラリンピック、2008年の北京パラリンピック、そして2012年のロンドンパラリンピックに取材に行くことになるのだが、そうなることを当時の私が知る由もない。今では、テニス雑誌に車いすテニスの記事が掲載される機会が増えたけれど、その先駆けになったのは私なんだけどなー、とちょっとぼやいてみてりしている。
この件に関しては、「車いすテニスに出会って感激して、このスポーツを報道したいと思っていたら念願が叶って、そしていつの間に世間に追い抜かれた話」で、いずれ詳しく書こうと思う。

最後に

長々と書いてしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。みなさまからの「詳しく聞きたい」に励まされて、最後まで書き切ることができました。これから社会出ようと不安に感じている方、夢を諦めきれずにいる方のヒントになればと思います。

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