モテる男が瞬殺された90分44,000円の夜の蝶との出会い
熊本には日本でも有数の夜のお店がある。
かつては日本一位ともささやかれ、
所属女性は芸能人Aクラス級ぞろい。
元巨人の番長も訪れたと言われ、
有名芸人も接待を受けたらしい。
上流階級御用達の場所だ。
彼女達のミッションは、
訪れたお客様を最低3回満足させる事。
お代は90分で44,000円。
オプションやら指名やらを加えれば、
その金額はさらに跳ね上がる。
入店はもちろん紹介制。
そのハードルの高さから、
いつしか伝説的な存在になり、
飲みの席でも、
その店に行ったと言うだけで、
周りの男から一目置かれることに・・・
これは数年前の話。
活気盛んな坊主サーファーの谷村君と
久しぶりに会い、あれやこれやの話をするうちに、
いつの間にかピンク色の雰囲気が漂ってきた。
「そういえば○○って知ってる?
熊本では超有名店で、
紹介制でしか入れないんだけど、
先輩が会員権持ってるらしいんだよね。」
「えーっ!マ、マジで!?
それ行くしかないでしょ!!」
ビールに飲まれ、ピンク色の雰囲気に飲まれ、
約1年前に聞いた先輩の話を思い出し、
僕はついうっかりと、その事を口にしたのだ。
活気盛んな坊主サーファーの変態谷村君は続ける。
高額な金額と彼女達のノルマ。
訪れた有名人、紹介でしか入店できない事。
高額な金額に少し怖気づきながらも、
『人生一度しかない』
『やりたい事は全部やれ』
という開き直ったポジティブ志向にのっとり、
先輩に連絡しもろもろ調整し、
入念に貯金残高をチェックし、
ついにその日がやってきた。
伝説へ足を踏み入れた夜
運命の日。
湧き上がるテンションをどうにかごまかそうと、
いつもより少しだけ無愛想に見える谷村君と合流し、
先輩に連れられ歩くこと10分。
ついに伝説のお店が見えてきた。
ダチョウ倶楽部のようにどうぞどうぞと繰り返しながら、
重厚な扉を開けた矢先、
「お待ちしておりました。」
見るからに高級ブランドスーツをまとった、
黒執事のようなボーイが声をかける。
「当店は初めてでいらっしゃいますでしょうか。」
「ご指名あればお申し付けください。」
笑顔の裏には
多額のお金が行き来しているのだろうなという思いは
一切表に出さず、
「あ、はい、、」
とだけ答える。
実にもてない男らしい。
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