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14/2/13

時効だから話す殺人事件 第三回

Image by Olia Gozha

 ひとこと話したAは、下を向たままでした。自分の受けたショックを消化しきれないのでしょう。
 こんなに落ち込んでいる様子は初めて見ました。僕もこれは冗談なんかじゃないんだなと察しました。
 Aの部屋に居て、首をうなだれているAの隣に座り、なんとか慰めようと思いました。詳しい話しを聞いてみたいと思い、黙ってAが話すのを待ちました。

グラス(コーラ)のアイスも無くなった頃、やっと話せる状態になりました。

 チーちゃんの弟と買い物に行ったさい、弟から驚愕の告白があったのです。

 まとめてみると、チーちゃんと伯父さんは、ある五十歳台の紳士から多額の借金があった

との事です。何に使ったとかはわかりません。毎月の支払いの際、その紳士は朝の九時く

らいに車で迎えにくるのだそうです。

チーちゃんを乗せた車は、夕方頃に帰ってくるのです。Aにはその空白の長い時間の意味がわかりました。
 16歳の女の子と一緒になって、なにもないわけがありません。

 聞いた僕もショックでしたが、彼氏であるAは、もっとショックだったはずです。お互い黙りこんでいました。

 暫くして思い出しました。その殺人ってなんのことだろ。思い切って聞きました。

「なぁ、おまえ殺人って言ったよな。どういうこと?」

 Aは方を震わせ、泣き出しました。あぁ余計だったな、失敗したと後悔しました。

 普通なら友達なら慰めるのでしょうけど、あの時は二重のショックを受けていた

ので、黙って待ったほうが賢明だと静かにしていました。

 
かなりな時間が経ち、Aがゆっくりと話し始めました。


 弟の話では、ある日曜日に、その紳士が来ました。チーちゃんは車に乗り、家から出て、

前の通りを左に曲がって出て行ったのを弟は観ていました。その後、伯父さんも車を出し、

右に曲がり行きました。

 ところが、別々の車で出たチーちゃんは、なぜか伯父さんの車で一緒に夕方頃に帰って

きたのです。弟はあれ?とは思いましたが、特に気にしませんでした。

 何日かして、家に警察が来ました。伯父さん、チーちゃん、弟とみんなに事情聴取をうけました。

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Image by Jukka Aalho

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