夫婦別姓に鋭意チャレンジ中 ~第1話・婚姻届編~
ずーっと不思議なんだけど、誰が夫婦は同じ苗字じゃなきゃいけないって決めてるんだろう。
…民法750条ですって。
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わたしは就職して10年後くらいに結婚した。
会社が旧姓をそのまま使うのを認めてくれているので、もちろん継続して使っている。
旧姓を使い続けるのはこんな理由。
1. 結婚前後で同じ仕事を続けている
2. ニックネームが旧姓+名前の組合せのもので気に入ってる
3. 新姓が特にかっこよくない(ちなみに旧姓もかっこよくはない)
そう、大した信念があるわけではない。
でも、なんだか納得できなかったのである。
婚姻届を出す時に初めて知ったのだが、実は、婚姻届には「夫婦どちらの名字を使うのか」というチェック欄があるのだ!
これの(4)のところ。(画像:手続き届出110)
我が家で婚姻届を書いているとき、最後までこのチェック欄は空白のままであった。
何度も、「妻の氏」にチェックを入れてやろうとボールペンを近づけながら、某九州の保守的な土地出身の夫の親戚一同の顔が脳裏をよぎり、「うがあ!」と見えない壁に跳ね返されるわたし。
いよいよ、夫の親にサインをもらわなければいけない、という段になって、

結局、「こんなことで結婚できなくなる方が困るよね」という結論に達し、みずから、「夫の氏」に震える手でチェックを入れたのであった。
名字変えたくないー!なんてさわいでいる女を嫁にもらうのは、夫はともかく、保守的な夫の実家には受け入れられないだろうなあ、というのはさすがのわたしも察していた。
しかし、30年のつきあいの名字が、こんなチェック欄一個で変わっちゃうのかーと思うと、これまでの人生が走馬灯のように思い出される……なんてことはなかったが、とにかく釈然としない思いと寂しさがこみあげてくる。
これが幸せな結婚に伴う感情なのか?もっと幸せいっぱいの、浮かれちゃうような、薔薇色の気分になんだろうなあと少女時代に夢想していたのはなんだったんだ?
こんなに抵抗を覚えるなんて、まさか、わたし、この人のこと好きじゃないんだろうか…?と自問するが、そんなわけない。
温厚でいつもにこにこしているし、妄想癖のあるわたしのどうでもいい話にはなんでもきちんと耳を傾けてくれる(そしてしばしばうまくあしらわれる)。その上、どこでも生きていける力を持っている彼のことは友人として大好きだし、尊敬しているし、ずっと一緒にいたいと思う。
さらに、ネクラでオタッキーで皮肉屋のわたしと結婚するという英断を下してくれたんですよ!無碍にするなんてことができようもないじゃないか!
ということで、31歳の誕生日、日本の書類上のわたしの名字はさっくり変わったのであった。
その1年後、ニューヨークに引っ越すことになり、アメリカ大使館で「旧姓でビザ出してー!!」と交渉することも知らずに。
続きます!!
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