時効だから話す殺人事件 第五回
二人で殺人を
15歳の女の子が、本当に人を殺すでしょうか。誰も信じがたい話しです。
僕は弟と洋子ちゃんの話しを聞いて、チーちゃんが殺したのは、話としては辻づまが確かに合う。でもどこかに信じられない部分がありました。
そうアリバイがチーちゃんに無いのです。人を殺して、1時間で湘南から都下に帰れるわけがない。例え伯父さんと何処かで遭って帰えったとしても無理な時間です。説明が付かないんです。
ここで行き詰まってきました。もちろん警察もこの謎解きが出来なかったのでしょう。
僕もにわかコナンに成り切って、推理を始めました。でもどうしても分からない。そんな時間が無駄に過ぎて行きました。
ある日、Aと僕はチーちゃんの家に居ました。いままで何も気にしてもいなかったチーちゃん自身が、なにか異質の存在に観えてきました。
彼女の話し方、笑顔、仕草、挙動の全てに疑問符が残りました。笑っている時は愛くるしく、思わず抱きしめたいくらい可愛い。Aが恋に落ちるのがとっても理解できる。でも殺している。あぁ、いったいどっちなんだ?でもこんな可愛い子が殺人なんてするわけないよな。
いろんな思いが交差しました。どっちなんだと。
僕は何気なく部屋を一周見渡しました。部屋に小さな本棚があります。もちろん今までもあったのでしょうけど、
特に気にもしていませんでした。しかしその時は、この本棚に何かがあると思えて仕方が無かったのです。
チーちゃんとAが台所に行っている間、何の本があるか興味がありました。文学物や新刊もあります。一体誰が
読んでいるのかなと、ふと思いました。
その中にある文庫本のタイトルが目に入りました。「二人で殺人を」(佐野 洋・角川文庫)。この本がどうしても
気になりました。どうして「二人で」なのか。僕は思いました。これってチーちゃんが買ったんじゃないかなと。チー
ちゃんと伯父さんからすると、その紳士は出来るなら消えて欲しい存在だからです。
僕はそのとき、ある光景が思い浮かべました。チーちゃんが本屋に居て、本を探します。きっとチーちゃんの頭
には、何気なく次の思いが過ぎったのでしょう。
その時、チーちゃんの目の前に、ある本のタイトルが目に入りました。そう「二人で殺人を」です。そして買ったのです。
Aとチーちゃんが作ってくれたラーメンが出来上がりました。みんなで美味しく食べたのですが、僕にはどうしてもその本を読みたい!とう衝動に駆られました。
きっと本の中に重大なヒントが隠されていると思うと、居てもたっても要られません。Aに先に帰ると伝えて帰りました。
そして駅の中にある本屋に寄り、探しました。それは簡単に見つかりました。
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