ピンチ!日本企業。10年前のライブドアから学ぶ、今の我々に足りない働き方とは(6)
インスパイア?オマージュ?いいえ、パクリです。
「パクリ」という言葉がある。「他人のアイデアや企画をそのまま取ってきて、楽をして美味しい思いをすること」というネガティブワードであり、誰でも知っている言葉の1つだろう。
当時、livedoorのパクって作られた?と噂されているサービスを振り返ってみた。
1.livedoorフレパ
2005年1月サービス開始(最初はlivedoorフレンドパークという名前だった)。
(mixiのサービス開始が2004年3月だったが、まだそれほど伸びておらず)あくまで、SNS流行の兆しを受けてのスタートだったのだが、その後のmixiの伸びをみて「デザインはmixiをパクれ」という話になったようだ。
(しかし、2005年10月にあのGREEも、mixiとほとんど同じデザインにしている)
結局サービスは、モバイル対応したり招待制を廃止したりしたが、mixi、GREE、モバゲーの成長に追従できず、2008年11月サービス終了してしまうのだが、今でもオープンソース化してサービス提供している無料SNSの「OpenPNE」でも、いまだにこのmixiレイアウトを用いていることから、実質、和製SNSの標準レイアウトだったとも言えることからも、皆が皆、mixiデザインへの変更は妥当な判断だったとも言えるのかもしれない。
2.livedoorPICS
2005年9月サービス開始の画像共有サービス。ご存知(?)、Flickrのパクリである。
#そのFlickrも、Facebook、スマホ(iPhone)の台頭や買収されたYahoo!の業績悪化の影響か、一時期の勢いを失ってしまい、ネットの世界がいかに諸行無常であるかという感情を禁じ得ない。
インターフェースこそそっくりではあったが、裏側の仕組みの部分は、livedoorの開発力あってこその実装がなされており、前述のlivedoorフレパやlivedoorブログなど、各自社サービスとの連携機能もあり、クローズ前にはそれを惜しむ声も多かったが、2013年9月サービス終了。
3.livedoorポータルサイト
今でこそ、Yahoo!JAPANとは、ここまでは似ていないが、2006年ごろ(下記の図)は、これまたパクリと言われても仕方ないほど似ていた(似せていた)
今見ると、カテゴリ一覧や、バナー広告、右側のサイドナビといい、クリソツである。これも当時、社内では「いかがなものか」と物議をかもしたのを覚えている。
とはいえ、利用者のブラウザの幅のサイズや、広告のバナーサイズなど、同じにしておくことで色々都合が良いこともあり、「ポータルサイトの標準ルール」として、一番人気があるレイアウトにそろえておけば、ユーザーにとっても使いやすい面もあったとおもう。
それではいったい、何に価値があるのか?
何が言いたいかというと、「パクリはいけないことです、やめましょう」ということではなく、「もっとガンガンにパクリましょう」ということでもない。
「それではいったい、サービスにおける何が価値のあることなのか?」ということを考えるべきではないかと。
近年の、起業家や投資家の間で次のような話がある。
「アイデアには価値はない。実行力、実践力にこそ、価値がある。」
特にネットサービスやアプリケーション・ソフトウェア業界において当てはまりやすいと思うのだが、
「単に見た目だけを模倣しても、同じ価値を出すことはどんどん難しくなってきている」ということだ。
だからといって著作権を侵害して良い、ということではないが、例えばYoutubeによる著作権コンテンツのアップロードを100%制限・監視することは難しいのだから、逆手にとって公式チャンネルで先に流してしまったり、コンテンツ自体は無料で配信し、ライブやグッズなどで回収する、といった価値の伝えた方をシフトした事例も増えてきている。
また、リリースから2年が経過してもなお、衰えを見えない、大人気スマホゲームの「パズルアンドドラゴンズ」だが、いかにも、パクったゲームがその後いくつも出たが、オリジナルを超えるものは今なお、でてきていない。
それはなぜか?
それは、表面上だけの模倣では出せない、絶妙のゲームバランスを保ち、ユーザーを飽きさせないための「アプリ運用力」、そのための「データ分析力」、大トラフィックにも耐えうる「インフラ維持力」など、全て、日々の「アクション」があるからであろう。
※だからといって全てのアクションがうまくいくとは限らず、あるイベントはゲーム全体のバランスに悪影響があったのか、予定より早く終了したものなどもあったが、失敗したと思ったら潔く、すぐにやめるアクションが取れるかどうかも重要だ。
それらは一朝一夕に培われるものでもなく、今後、企業として勝ち残っていくためには、それらをいかにして日々、社内ノウハウとして積み上げていくことができるかにかかっていくのではないだろうか。
ただコンテンツをたくさん保有していれば良い時代は終ろうとしているのかもしれない。
しばらく、GREEとDeNAが、釣りゲーム著作権問題で訴訟を起こしていたが、これからのビジネスの本質はそこではない、と思うのである。
DeNA、釣りゲーム訴訟で勝訴確定--最高裁がグリーの上告を棄却 - CNET Japan :
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