ピンチ!日本企業。10年前のライブドアから学ぶ、今の我々に足りない働き方とは(7)
歪みきってしまった「シューカツ」という世界
「ブラック企業問題・・・」「内定が取れずに自殺・・・」「東大生がWebテストを替え玉受験・・・」「保護者が就職説明会に参加・・・」
いつから”就職活動”とは、こんな世界になってしまったのだろうか。。。
学歴を重視し、エントリーシートにWebテスト。SPIテストにグループディスカッション。複雑化し続ける選考フローと、多大なコストをかけて行われる新卒採用。果たしてそれは、企業にとっても学生にとっても、果たしてハッピーなことなのだろうか?
入社するまでのハードルがとにかく高く、内定自体がゴールのように捉えられがちだが、そうではなく、むしろ入社してからがスタートのはず。内定までのプロセスが大事ではないとは言わないが、会社に入ってからどれだけの実績を示せるか、の方がもっともっと大事なことのはずだ。
ただ合格するためだけに制度化しすぎた、大学受験勉強による弊害とも言えるかもしれない。
「全社員採用担当」という、採用を現場が”自分ごと”として捉えられれば
事件前のライブドアでは、アルバイトの採用ならば現場の社員の判断(たいてい、面接1回)、正社員(新卒採用はしていないので中途採用)採用の場合でも権限移譲が進んでいて、大体、現場社員と1次面接、部長と2次面接(実質の最終面接)くらいでとにかくスピーディに判断して、内定を出せた。(とにかく単に緩かった、とも言えるのだが)
組織としてもちろん人事部もあったが、主に社会保険関連や、給与支払い関連がメインで、採用業務は現場にお任せだったのだが、かえってそれが良かったように思う。
現場社員が率先して自由に採用を行うことで「今、現場でどんな人が欲しいのか、いつまでに欲しいのか」という部分で人事部と現場で認識のズレがない。欲しい社員を欲しい時に適切なコストで採用する。採用のスキルやノウハウがないなんて、取るに足らない問題だった。
また、会社からの一方的な採用計画に基づいたものではないので、応募者のやる気を重視し「(お互いに)一緒に働きたい」となった場合に、タイムリーに採用できたのも良かった。
だが一般的な企業で採用に慎重になるのは、採用のミスマッチを恐れるからだ。しかし、これにより採用フローが複雑化することでコストがさらに上昇し、一度入社したからには(採用したからには)、辞めにくい(辞めさせにくい)という状態となり、結果、人材の流動性が低下し、組織の硬直化を招いてしまう。
もちろん、マッチした人材が1つの会社に長く勤務できる状態がベストではあるのだが、それを重視するあまり、ミスマッチの状態が多くなってしまっては、本末転倒であろう。
ライブドアでは、アルバイトから正社員の登用も積極的に行っており、といっても、退職者もいないわけではなく、来る者拒まず、去る者追わずの文化で、そして自分を含め、再入社する社員も多く、結果、人材の流動性が高くなり、それが組織の柔軟性を保っていたように思う。
誰かが敷いたレールに乗ってしまっていないか?
自分が大学生の頃の就職活動といえば、学生課へいき、ディスコの日経就職ガイドに載っている企業へ、企業名の下に書かれた「行」を消して「御中」に書き換えて会社概要を請求する、という至ってアナログな方法しかなかったものだが、最近では、リクナビやマイナビといった、ナビサイトへネットを利用して企業へエントリーするのが一般化した。
しかし、これにより100社エントリーなどが可能になり、必要以上に就活というものが不毛に激化してしまったように思う。
これに対して、中々変わる仕組みが現れていなかったが、ドワンゴが始めた入社受験料という制度は、「就活」というものを捉え直すキッカケとして、企業にとっても学生にとってもメリットがある仕組みだと思った。
(1/2) ドワンゴ「入社受験料」は悪い事なのか 行政指導した厚労省にネットで批判も : J-CASTニュース
また、昨今は大学1年生から参加できるインターンシップや、ユニクロのような新卒一括採用をやめた企業もでてきて、「まずは社会人になって働くとはどういうことか」をいち早く体験できる機会が増えたのもよいと思う。(学生の本文は学業であり、それを優先するべしという考え方もあるが、選択肢が多くあり、選ぶことができるということが大事ではないかと)
就職活動というのは、初めて親や先生の手から離れて、自分の人生を選ぶ大きな選択の瞬間であり、そんなせっかくの機会なのだから、ただ、決められたルールに身を委ねるのではなく、自分にとって働くとはどういうことか?を就活のマニュアルなんて気にしないで、「何があってもこの会社で働いてみたいと思った」そんな会社と出会う経験をして欲しい、と。
そんな時ふと、ライブドア事件後の頼み込んでも入社してくれないだろうという、そんな時期に入社を決めてくれた社員のことを思い出すのだ。
<おまけ>
ネタで鼠先輩と、嘘面接のシーンを撮影した時に、私が面接官役をやってます。
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