ピンチ!日本企業。10年前のライブドアから学ぶ、今の我々に足りない働き方とは(8)
「国産」という神話の崩壊
自分がまだ小学生だった時代。
1日でも早く運転免許を取って車を運転することが夢だったあの時代。
いわゆる「ベンツ」や「BMW」は、『ガイシャ』と呼ばれ特別扱いされていて乗っている人も少なく、日産、トヨタ、ホンダ車こそが、自分の生活においてそれらが「車」を象徴していた。
実際、80年代、頭文字Dで有名になったスプリンタートレノ(通称ハチロク)や、セリカ、シルビア、CR-Xなど、数々のスポーツカーが発売され、そしてそれらはどれも輝いて見えたものだった。
※ちなにも完全に個人的な一押しは、こちらトヨタの本格ミッドシップ、MR2
そして時は流れ、若者の車離れが進む昨今。国産車はなんだかどれを見ても同じような車ばかりになってしまった。もちろん、そこはビジネスなのだから、「売れないクルマ(特にスポーツカー)は作れない、、、」という理屈もよく分かるのだが、クルマがつまらなくなった理由は果たしてそれだけなのだろうか。
先日、BMWのディーラーにいったときに営業マンが印象的なこといっていた
車でなくても、例えば掃除機というカテゴリをみてみると、「ダイソン」や「エレクトロラックス」「ルンバ」など、売れているのは海外製ばかりである。知名度で言えば日本の家電メーカーには遠く及んでいないにもかかわらず、である。
テレビやスマホにおいては例を挙げるまでもないだろう。丁寧な作りで、故障の少ない「国産」というブランドがどうしてこのような状況になってしまっているのだろうか。
数少ない国産ポータルサイト「livedoor」
Googeトレンドで「ポータルサイト」というキーワードの人気度を見ると、いわゆるライブドア事件のあった2006年頃から低下していることから、インターネットにおけるポータルサイトの役割が変わったことがわかる。
その頃のポータルサイトといえば「Yahoo!」「MSN」「goo」「エキサイト」「インフォシーク」など、海外発祥、または海外と資本提携したものが多く、その中で「livedoor」は珍しい純国産のポータルサイトだった。
インターネットこそ海外とシームレスであり、グローバル化を意識せざるを得ないビジネスもないと思うのだが、今思うのは「まずは国内(自国)で受けないものが、果たして海外で受けるのか?」ということだ。
特に海外から日本へ入ってきた企業の場合、中々、日本人にあわせたカスタマイズなどが認められなかったり、日本マーケットを重視してもらなかったりする話を聞く。そんな環境で、本当に日本人が欲しいサービスを徹底的に追求して提供するのは難しいのではないだろうか。
その点でいうと、当時のライブドアではとにかく現場主導で「まずは自分たちが欲しい物をどんどんタイムリーに」リリースできる状況があり、サイトへのアクセスもどんどん伸びていった。(もちろん、ひとりよがりなサービスもたくさんあったのだが)つまり「国民の受け入れられるポータルサイトとして成長していた」のかもしれない。
最近の事例でいうと、Yahoo!ジャパンも、アメリカYahoo!が筆頭株主ではなく、ソフトバンクが筆頭株主であるためか、あの爆速経営が可能になってるのだと思う。
ナショナリズムを唱えたいわけではない
今、大事なことはとにかく海外にまでターゲットを広げるあまり「大多数がなんとなくほしいもの」ではなく、まずは「自分の中にある、自分が死ぬほどほしいもの」を作れるかどうか、なのではないだろうか。
「これがとにかくやりたいんです!」「お!それいいじゃん、やろうぜ!」
そんなシーンが日常的にどれくらいあるだろうか?
「(やりたくないんですけど)これどうですかね?」「それ、誰に受けんの?市場あるの?費用対効果は?」
そんなやりとりばかりではなんだか、ちょっと寂しく思うのである。
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