ピンチ!日本企業。10年前のライブドアから学ぶ、今の我々に足りない働き方とは(9)
Webディレクターって美味しいの?
みなさんは、”Webディレクター”という仕事について何を想像するだろうか?
「ディレクターって、TV局の人の職業でしょ?それと似た感じなんじゃないの?」
自分でその仕事をやるようになるまで、私もその程度の認識だった。
一般的にWebサイトやネットサービスを開発するにあたり、当時のライブドアでは主に
★Webディレクター
★Webエンジニア
★Webデザイナー
が基本の職種だった。他にはインフラエンジニアや、HTMLコーダーなどもあったが兼務してることも多かったので、ここでは主にこの3つとする。(Webディレクターは会社によっては、Webプロデューサーだったり、Webマスターという呼び方だったりするかもしれない。)
でも、確かに自分もlivedoorに入社する前の会社では、特に職種別にはなっておらず、せいぜい、グループリーダーや課長、部長、という肩書があるか、ないかくらいで、一度、営業職についたとしても、ずっと営業ということはなく、商品開発への異動などもあり、同じ職種を極めていくという感覚がわからなかった。
そして、livedoorを受けたとき、希望の職種を問われなかったので(今思えば不思議なのだが、それくらい、細かいことを気にしない時代だったのかも・・・)、自分はデザインもろくにできなければ、プログラムも大学を出てからまるで書いていなかったので
という感じで、まさに右も左もわからない、自分のWebディレクター1年生がスタートした(この時すでに30歳)
じゃあ、Webディレクターってどんな仕事?
一言で言えば、楽団の指揮者のような仕事だと思う。
自分自身では手を振ってるだけで楽器を演奏しているわけではないので、何も弾けない自分からすると「とても楽な役」とも見えるのだが、決してそうではない。
いくつも案件をディレクターとして担当してわかったことは、いくら良いエンジニアと良いデザイナーがいても、ディレクターの力量によって、想像以上に結果が良くも悪くもなる、ということだ。
つまりは、そのネットサービスを活かすも殺すもディレクター次第ということだ。
医者、弁護士、プロゴルファー、基本1人で結果を出すタイプの仕事であれば、その人自身が全力を出せればよい。しかし、ネットサービス開発(に限った話ではないが)においては、まさにチームワークが重要であり、どんなにソロ演奏がうまい奏者でも、合奏の中で足並みを揃えられなければ、楽団に入れない。
もう少し具体的にWebディレクターの役割と聞かれれば、「プロジェクトを向かわせたい方向へ、予定通りに進める」ことである。
そのためにはどんな力が必要か。
◎エンジニアやデザイナと話をするための最低限のテクニカルスキル
◎マイルストーンを意識した安定したプロジェクト進捗管理力。そのためのコミュニケーションスキル
◎マネタイズのできるビジネスモデルを企画する力
など、挙げればキリがないが、一言で言えばバランスのよい総合力が求められる。
頼られるWebディレクターになるために何が必要か?
もし、1つだけ挙げるとしたら”どんな案件でも、とにかくポジティブに受け止めて、やり切る努力をする(結果、うまくいかなかったとしても)”に尽きる。
自分がlivedoorに入った時、最初に担当した案件は、初の自社携帯サイトCP(CP=ContentsProvider)案件だったのだが、携帯サイトのディレクター経験はもちろん0、さらにリリースまで1ヶ月前と迫っている中、ダメ押しが前任のディレクターが逃亡(つまり引き継ぎもなし)、という「そりゃいくらなんでも、ないでしょ」というスタートだったが、どうにかこうにかやりきった。
学研ケータイアニメディア
(2003年6月に私がリリースしてから、2011年1月まで運営されていたとのこと)
リリースした後、当時の上司から「よくピラニアの沼の中のような状況から、無事に生き残ったな」という、喜んで良いのか悪いのかわからないコメントが今でも忘れられない・・・。
「できない理由」を挙げることは簡単だが、いちいち、あれもできない、これもできない、といっていては、何も進まない。とにかく手を動かすこと、そしてそれから得られる経験について、学んだ瞬間だった。
名著だが、こちらの本にも自分の考えと近いものを感じたので、掲載。
昨年、更新が終わってしまったが開設当初はlivedoorのディレクターが日替わりで書いていたブログ。色々参考になる話も多いのでもしWebディレクターに興味を持ったら見てみて欲しい。
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