転職大魔王伝「オレ、いけないポスティングで大ピンチ。」3
オレ、ロマンス業界の全貌を知る。
ロマンスレターを撒きはじめて1ヶ月ほど経ち、だんだん色んなものが見えてきました。
自分が在籍しているのは数多くある「ロマンスレター事業部」の中の1チームであること。
その中で、自分が在籍しているチームはトップクラスの成績を上げているということ。
業界的にはそこそこの位置の大手であること。
ロマンスビデオを販売しているのは、いわゆる恐い団体であること。
ロマンスレター業界も群雄割拠で、進攻勢力に負けるわけにはいかないこと。
チェッカーさんが一つ年上だということ。
10日も続けば中堅扱いになるほど、人材の出入りが激しいこと。
この頃オレは、身体も締まってきたし、他のメンバーさんにも知り合いができてきたし、そこそこ仕事に愛着が湧いてきていました。
ただ、言うてもアダル…いや、ロマンス業界なんで、長く係わることは難しいなとも思ってました。
すると、結構仲良くなったチェッカーさんが、


奥さんと子供もいるというチェッカーさんは、こっそりオレに言いました。
梅雨に入る前には他の仕事見つけるかなぁ。
そんなことを思いはじめていた、まさにその時でした。
オレ、絶体絶命。
休み明けの早朝、いつものように港側にある事務所に向かって大きな空のリュックとバッグを持って歩いてる時、いつものように向こうから大きな荷物を持ったロマンス仲間が歩いてき…いや、走ってきました。
やたらと身軽。明らかにバッグが空。
嫌な予感を感じながらも、知った顔がいなかったのでとりあえず事務所に向かうと、一目でやっっっばい光景が目に入りました。
事務所(2階)を囲むパトカーの回転灯。
何十人もの警察官。
無数のテレビ局のカメラ。
知っている仲間たちの怒声。
オレは本能で空のバッグを投げ捨て、駅から歩いて来るロマンス仲間に「逃げろ!パクられとる!」と声をかけ、とにかく人通りが多い駅方面へと全力で走りました。
その時に初めて、
と理解しました。(遅い!)
オレ、ロマンス業引退。
後日、チェッカーさんではない方から電話が入り、オレらは逮捕されるようなことは絶対にないという説明を受けました。
そして、未払いの分の給料は支給するから別の場所へ受け取り来てほしい。その時に事情も説明するとのことでした。
ちょっと恐かったけど、お給料は欲しかったので指定された場所へ向かいました。
ちょっと遅刻して到着すると、そこは今までの事務所の半分くらいの広さの雑居ビルの一室でした。
オレ以外にも結構な人数が集まっており、お偉いさんっぽい人から状況説明が行われていました。
今回のことで、皆さんを巻き込んでしまって申し訳なかった。
自分たちもこんな目に遭わされて本当に悔しく思っている。
しかし、報復をするよりも立て直していくことに尽力したい。
そのために、もし力を貸してくれる方がいれば残って欲しい。
全然わけがわからなかったので、知り合いに事情を聞いてみたら、



え?もしかして…

うわぁ…
チェッカーさん…
言葉が出ませんでした。
結局オレは、そこでもう辞めさせてもらいました。
特に引き止められることも、後から連絡がくることもありませんでした。
とにかくチェッカーさんのことが気がかりだったんですが、そのことも忘れることにしました。
そうしなきゃいけない気がしました。
チェッカーさんも気にかけてくれた、自分のこれからのために。
その後、めっきりロマンスレター自体も目にしなくなりました。
「大掃除」が行われたんでしょうね。
当たり前と言えば当たり前ですし、もちろんインターネットの普及もありますしね。
ただ、あの歩合のシステムは良いと思うんです!
売上を上げることを大前提とし、リサーチ・ターゲティングをした上で効果的なポスティングをし、上がった成果に対して正当な報酬を分配するなんて、ピザ屋のポスティングでもやったらいいんじゃないですか?
やりましょうかコンサル?
ノウハウ、教えましょうか?
エースが教えましょうか?
まとめ
●業務内容
チラシのポスティング
●就労期間
約1ヶ月
●給与
日給 15,000円〜25,000円
月収 約400,000円
著者のタイチジャングル taichijungleさんに人生相談を申込む
著者のタイチジャングル taichijungleさんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます