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14/3/6

転職大魔王伝「オレ、いけないポスティングで大ピンチ。」2

Image by Olia Gozha

オレ、ポスティングやる。


まず、基本給が高い理由は、単純に配布する枚数でした。

他のポスティング=1,000枚〜1,500枚

ロマンスレター=3,000枚〜5,000枚

枚数が多いということは、当然エリアも広く、時間もかかります。だから高い。当たり前っすね。


では「歩合」と「能力給」は何かといいますと…


ロマンスレター」には、当然ながら数多くの「ロマンスビデオ」の情報が掲載されております。

このチラシを見た人は当然そのラインナップから、お好みのロマンスをオーダーされるわけです。


そうなんです!

このオーダーが発生したエリアにポスティングしたメンバーに、その売上に応じて「歩合」が加算され、さらに「能力給」として基本給にONされるのです!

ああ!なんと画期的な!恐るべしロマンス業界!




そして、投函の仕方も独特。


●ファミリーマンション、団地、家族で住んでそうな一軒家には絶対に入れない事。

オレ「そりゃそーだよね。うんうん。」



●一人暮らしの男性が住んでそうな古いアパート・一軒家には、ポストだけでなくドアにも挟み込む事。

オレ「目に付くようにノブの位置に挟み込むのね。なるほど。」



●一人暮らしの男性が住んでそうであれば、2Fだろうが3Fだろうが4Fだろうが昇っていってドアにも挟み込む事。

オレ「結構重いんだけど...まぁ仕方ないね。」



●例えば2F建ての場合は2Fの奥から、1Fに降りたらそれも奥の部屋から投函する事。

オレ「(後から知ったのですが、追いかけられた時に逃げ道を確保するためだそうです…)」



●オートロックマンションの場合、ドアに挟むかどうかは個人の判断に任せる。

 

オレ「オイッ!」



こんな感じでちょっと不安を隠せない感じだったのですが...


それは、すぐにオレの闘争心に火をつけたのでした。




オレ、ポスティング王になる。


なんでなのかよくわからん圧迫面接をクリアし、オレは晴れて「ロマンスレターの配達員」となりました。


まずは事務所へ集合(8:00!)し、配達地域の説明とロマンスレターの受け渡しになります。

集まってる人たちは比較的薄汚れた中年の人が多いんですが、比較的身体は締まっている印象。

我々新人は慣れていないということで、2,500枚(それでも多い!)からスタート。

ちなみに2,500枚というと、大きめのリュックと肩掛けバッグ1つにパンパンに詰め込んだっくらいの量です。

何キロになんのか計ったことなかったけど、それなりに重いです。(だって紙だもの)


それと、担当エリアの地図が1枚とボールペンが渡されます。

で、辿ったルートをその通りに塗りつぶしていくよう指示されます。

(チェッカーの人は、このメモを見るだけでちゃんとやってんのかやってないのかがわかるとのこと)


そして、チェッカーさん(怖い)と一緒に現地に向かいました。

チェッカーさん「全部チェックしてっから真面目に頑張れよ。」

チェッカーさん「辛くなったら止めてもいいけど、絶対チラシを捨てたりすんなよ。」

チェッカーさん「あ、もちろん止めたら給料は払ってくれねーからな。」


と、外見から充分過ぎる脅し文句を吐いて、チェッカーさんは別のエリア(複数チェックするらしい)へ早足で消えていきました。


オレ「さあ!やりますか!」


実際やってみると、苦痛どころか楽しくてルンルンでした。

スタミナは自信あるし、外歩きは好きだし、業務のスムーズ化とか好きだし、几帳面なところあるし。

だんだんロマンスレターが減ってリュックが軽くなっていく感じとか、


オレ「なんか羽が生えてきたみたい♪」



とか思っちゃったりして。

楽しくて休憩を取る気にもならず、昇れるとこは3Fでも4Fでも5Fでも昇ってキッチリとドア刺しまでこなしました。


もう残りが100枚切ったくらいのタイミングで、急にチェッカーさんが現れました。


チェッカーさん「おい。にーちゃん。どんな感じや?」

オレ「ちゃんとやっているつもりなんですが...漏れとかありましたでしょうか?」

チェッカーさん「ないよ。ずいぶんちゃんと撒けてるけど、どっかでやってたのか?」

オレ「いえ。初めてです。」

チェッカーさん「そうか。他に行くなよ。ウチは出すもんはちゃんと出すからよ。あと飛ばし過ぎるなよ。膝と腰は気をつけろ。あと100くらいだろ?この先に集合住宅あるから、そこに突っ込んで上がっていい。」


といって缶コーヒーをくれました。

意外と優しいとこあんだなあの人。


とにかく、初日はこのような感じで終わりました。



この後一週間ほどシフトをこなした頃のこと、チェッカーさんに呼び止められ、


チェッカーさん「タイチ、明日30分早く来い。」



と言われました。


言われた通りに事務所に行くと、表彰式でした。

表彰者は、なんとオレでした。

デイリー受注新記録達成」ということで表彰、金一封をいただきました。

チェッカーさんも表彰されてました。

日給はMAXの15,000円になり、「エース」と言われるメンバーに加えられました。

このキャリアでのエース入りは、その事業所はじまって以来のことでした。


でも、配布枚数も5,000枚になりました…




それでも、人間どんなことでも評価してもらえるということは嬉しいもので、完全にやる気スイッチONになったオレは、難関エリアにまわされても次々に「ロマンスレコード」を塗り替え続けました。

若くて、フルマラソン走れる脚力あって、しつこくてやる気マンマン。中年のおっさんたちに負けるはずがありませんでした。



オレ「あぁ…オレ、天職見つけちゃったかも。」



とまた思いはじめた頃…


またもや大事件が…


発生するのでした......




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