【17歳】壊れる

前編: 【16歳】忘れたくない人 その2

16歳の夏


私は壊れていた。


大切な人の存在を失うと、同時に自分自身の一部を失う。

欠落したものを、どう埋めていくかなんて、私にはわからなかった。


タカフミと過ごした時間も、タカフミのいない時間も、同じ速度で過ぎているはずなのに、タカフミのいない時間のそれは、恐ろしく遅く感じられた。

うまく眠れない夜が続いて、うまく笑えない日が続いて、その中で繰り返し繰り返しタカフミを思い出していた。


笑顔・仕草・手・指・声


それらを全て鮮明に思い出せるのに、実体がそこにはない。





忘れなきゃいけない。

忘れられないから苦しい。

一瞬でもいいから、タカフミを思い出さない時間がほしい。


そう願えば願うほどタカフミの存在は私の中で膨らんでしまった。




一人で眠ることができなくなっていた。

タカフミと眠っていた時のように、男の人に背中を抱いてもらわないと眠れなかった。






私の身体を何人もの男性が通り過ぎた。

名前も知らない、年齢も分からない、サヨナラの後は顔も思い出せない男達。


どんな相手でも構わないから、一緒に眠ってほしかった。


毎晩のように違う男性と寝た。

【男性と寝る】という行為は私にとっては、眠るための通過儀礼のようなものだった。



あからさまに恋人がいると分かる男性もたくさんいた。

ベットサイドに恋人との写真を飾ったままで私を抱く男性もいた。

中には、私との最中に恋人からの電話に応じる男性もいた。スリルを楽しむように。


その時々、男達が何を考え何を思って私を抱いたのかなんて私にはわからない。

私が常にタカフミを思い浮かべていたことを、彼らが知らないのと同様に。




私の16歳は過ぎていった。

夏から秋へ。


秋から冬へ。




その間に、何人と寝たかなんて数えるだけ無駄だった。

1度だけの相手もいれば、数回だったり、定期的に会う相手もいた。




17歳を迎える春。



タカフミと会えなくなって1年が過ぎたのに、あまりにも鮮明にタカフミを思い出せる自分にぞっとした。




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