【16歳】忘れたくない人 その2

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前編: 【16歳】忘れたくない人 その1
後編: 【17歳】壊れる

甘い幸せ


恋の甘さを知った私は、その甘さを夢中で求め続けました。

会えない時間の長さを恨み、会える時間の短さを恨み。

タカフミの柔らかい笑顔も、声も、髪も、手も、飽きることなく見つめました。


恋しくて恋しくて求めている相手に、同じように求められる幸せ。

その幸せに溺れることは、なぜあんなにも心地よいのか。

我慢も背伸びも必要なく、触れたいと思えば触れ、会いたいと思えば会いたいと口に出し、タカフミの優しい瞳に疑う部分は何一つ見つからない。



タカフミに対する時、私は過不足なく私でいられました。



季節は冬から春へ。

私は中学を卒業し高校に進学しました。


毎週金曜日の夕方に、タカフミは私の住む街へ車を走らせてくれました。

片道4時間の道を。

私は、1分でも早くタカフミに触れたくて、電車で1時間かかる駅まで向かいました。

駅で待ち合わせをすることで1時間早くタカフミに会えるのです。

週末を私の家で過ごし、月曜日の朝になると、私は学校へ、タカフミは地元へと帰っていくのでした。


1度だけ、タカフミに会えない週末がありました。

私は「会いたいのに!」と小さな子供のように泣きじゃくりました。

そんな私をなだめるように「来週末は必ず行くから。」と言うタカフミの声は温かく優しいものでした。




変化

翌週末。


タカフミの柔らかい笑顔は、いつもの曇りのないものではありませんでした。

ほんの少し、何かが違う。

みんなの読んで良かった!