秘密の扉 11
高橋凉子の寝室
同時刻、高橋凉子は、自分の部屋にいた。今日は楽しかったと思った。
凉子の性分で、自分の行動を客観視する習慣がついているので、今日のことを振り返ってみた。途中妖精に出会って、伸一に告げたが否定され、少しショックを受けていた。
まあ、あの人の性分だった、仕方がないかと許す気にもなったが、
最初は認めておいて、後で意見をひっくり返したのか、訳がわからなかった。
現実が変わったのだろうか、それとも、私の勘違いだったのだろうか?
それを日記に書きながら、一人凉子は床に入り、自分の身体に
「今日一日ご苦労さん、明日もよろしく」と言い、眠りに落ちた。
夢の中でやあと言いながら、また青年が現れ、今日はどうだったかと聞くので、「楽しかったわ」と言った。
「それは良かったね。この後の人生設計はどう考えているの?」
「難しい問題だわねぇ」
「ある程度計画していないと、港に着かない船のようなもので、いつまでたっても迷い続けるよ」
「そうよね」
「人生は一度きりと考えれば、自分の望む人生を歩むべきだし、そうするだろうね」
凉子は青年の講義に耳を傾けていた。
続けて青年は「転生輪廻から考えれば、多くの経験というか、人生におけるあらゆる経験をして欲しいんだ。それはなぜかと言えば、人は自分が経験しないことは、実感として湧いてこないし、理解すらしない、と言うよりもできないんだ。まあ、それが他人のささやかな楽しみに対して、理解しようとしないし、それは時として反対することがある。」
「それはどういうこと?」
「そうだな、今の禁煙ブームは行き過ぎているように思うんだ。確かに、身体にとって夫は煙草は害には違いない、しかし、吸っている者にとっては、ひとつの快楽であり、気持ちを安定させる効果もあるのだ」
「そうなの」
「そうだよ、自殺する割合は、禁煙者よりも、煙草を吸わないという人の方が遥に数は多いよ」
「そうよねぇ、墓参りに行っても、個人の好きなお菓子や、酒、時として煙草なんかもある。野菜を添えられている所など見たことはないわ」
その場面の時、突如目が覚めた。時計を見れば5時30分、早いけど起きよう、自分の身体に 「おはよう、今日一日よろしく」と言った
凉子は夢のことについては、ほとんど覚えていなかった
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