大企業からベンチャーまで、全て正社員で8回転職して「今」わかったこと
年収アップ目的での転職ならば、しないほうがいい
恐らく、このSTORYをクリックした人が一番興味を持ちそうなネタから。
年収は働く上での大きなポイントの1つではあるが、では実際に転職したらどうなるのか?
超個人的な自分の例を一例としてみてみると、あまり年収はあがらなかったと言える(もちろん、時代、その時の年齢、職種など様々な条件はある上で)
1社目→2社目 ○アップ(新卒1年目だったから1社目が低かった)
2社目→3社目 ×ダウン(大企業から零細へ)
3社目→4社目 △ややアップ(ベンチャーなので最初はアルバイト並からスタート)
4社目→5社目 ×ダウン(IPOを期待してのダウンだったが、IPOできず)
5社目→6社目 ○アップ(リスクある環境とのバーター条件として)
6社目→7社目 ×ダウン(設立4期目のベンチャーで経営層への参画を期待して)
7社目→8社目 △そのまま(知人の紹介)
8社目→9社目 △そのまま(ベンチャーから大企業)
これだけ見ると私の年収は下がり続けてるように見えるが、転職後に給与の見直し(早くて3ヶ月以内にアップ)にもあったので、必ずしもそうではないのだが(苦笑)、かといって、決して、グングン上がり続けもしていない(涙)
とはいえ、年収アップを目的に転職したことはなかったので、個人的には特に問題はなかった。
かの、飛ぶ鳥も落とすLINEの森川社長も「転職する度に年収が下がった」といっているように、転職により何か得たいものがあれば、年収が必ずしも目的にはならないのかもしれない。
転職で社外ネットワーク、コミュニティは広がる?
転職すれば当然、同じ会社に居続けるよりも新しいネットワークを広げることができるのではないか?そう考えるかもしれない。
しかし、ただ転職して、これまでと同じようにじっとしても広がるわけはない。
あくまで「広げやすくなる」程度と考えよう。
わかりやすく言えば、近年ではFacebookやtwitterなどを利用してすぐに関係性を増やすこともできるが、フレンドの数=人脈ではない。
自分の人脈の定義は「困っている時に親身になって相談に乗ってくれる」レベルの親密さであり、ただ名前を知ってるレベルの友人は、人脈ではないと思う。
名刺をいくらたくさん持っていてもビジネスが成功するわけではないのと同じだ。
会社の看板に頼らず、自分の腕一本で起業したいような人には、「自分のビジネスのためにお金を出してくれる人」を増やせる機会は多いが、実際に出してもらえるかどうかは、結局努力次第である。
ただ、色々な土地で勤務したり、取引先が変わったり、受注側/発注側と両方経験できたりするので、交渉力やフットワーク力、柔軟性を鍛えるチャンスは多い。
自分の市場価値を常に意識する機会にさらされやすい
人材紹介のエージェントに会ってみたり、転職サイトへ登録するために自分の仕事を棚卸しすることは世の中の企業がどんな人材を求めているかキャッチアップもでき、とてもためになると思う。
私は社会人1年目の11月に、リクルートエージェントの前身のリクルートエイブリックという会社に登録にいった。その頃は今ほど人材紹介ビジネスがメジャーになっておらず、強く背徳的な気持ちになったのだが(苦笑)
持論の1つに「自社で通用する人材は他社でも通用する」というものがある。自社の中で評価されることはもちろん大事だが、この変化の激しい時代で、いつまでも1つのスキルだけで評価され続けるのは難しい。
もし可能であれば、転職する気がなくても1度は何社か人材紹介に登録にいって、「今もらっている年収以上に転職できる会社があるかどうか?」を聞いてみたら良い(自分も今の年収を出せる転職は難しいです、と何度も言われた。これは正直辛いことではあるが)
では、転職先が見つからなければ、おとなしく今のまま、同じ会社にしがみつくのが良いのか?否、”自分の市場価値が上がるように”仕事の仕方を見直すべきである。この危機感がない社員が多い会社は、正直、これからの時代、危ないと思う。
いくなら大企業かベンチャーか?という答えのない問題
新卒採用業務を行っている頃にこの質問をよく受けたのだが、これからの時代は、この質問はどんどん少なくなっていくように思う。
まず、そもそも「大企業」と「ベンチャー」はどれだけ違うものなのだろうか?
ソニーだってホンダだって、どんな大企業も最初は小さい会社からスタートしているわけだし、当時24歳の村上社長が上場させたリブセンスは設立してわずか5年しか経っていない。
DeNAやサイバーエージェントなどのメガベンチャーと呼ばれる企業も生まれた。
次に環境だが、小さい会社やスタートアップであれば急速に成長できるというが、そういう環境で実際に成長できた人がどれだけいるのか?
自分が在職していたベンチャー企業では確かに優秀な若手もいたが、その後、頭角を表したのは一部である。とにかく「うちはベンチャーなので成長できます」というベンチャー企業にはちょっと気をつけたいところだ。
また、大企業ではできることが限られているので働きたいように働けない、というがそう思い込まされていて、自分の行動に天井(限界)を設けて、その中だけで働いているようにも思える。
どちらも経験したことがある人ならわかると思うが、小さい会社ではできること(リソース)はやはり小さく限られ、例えば知名度(ブランド)が必要な仕事であれば、それを高めるだけで5年、10年くらいはすぐに経ってしまう(だからホリエモンは手っ取り早く、それを高めるためにlivedoorというブランドを手に入れたのである)
つまりは、どこで働くか、ではなく、どう働くか、ではないかと。
転職するかしないか?大企業かベンチャーか起業か?は手段であり目的ではない
色々な会社で働き、色々な働き方をしている知人、友人の話を聞いて出した結論は、「まず、何がやりたいか」が、があり、そのための手段として、「どんな環境で働くか?」、があるべきということだ。
年収を上げたい、人脈を広げたい、スキルをアップしたい。それもいいが、その先につながる何かがなければ、どんな環境でどんな仕事についても、長続きしない。
就職活動中の学生、今の仕事が不満で転職を考えている社会人、新卒採用・転職ビジネスの企業の誘い文句に踊らされず、今一度、自分を見つめなおし、その上でこれからの仕事(道)を選んでいって欲しい。
おしまい。
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