若年性脳梗塞になってみた その1 ~疲れと発症と時々たけのこ~
10年ほどのおひとり様が不思議なご縁で結婚することになりました。
まあこの辺は私の他のSTORYSを読んでいただいて・・・(わかりやすいステマw)
色々と自分の親族がハッチャケた結婚式が無事・・・?まああえて言うなら無事終わり(――〆)新婚生活に入りました。
当時は週二回ですが通勤2時間をかけ、以前からお世話になっていたパートへ通っていました(特殊な仕事なので代わりの人が見つかるまで繁忙時の二日だけ手伝いに行っていた)
朝は6時で帰りは8時くらいだったでしょうか?週二回だしそんなに疲れるはずがない状態だったのですが、なぜかいつも疲れていました。
パートに言った翌日は一日寝ている状態で、やっと洗濯と食事ができる程度。週に何回かはずっと寝ている日が続きました。
外出してもすぐ疲れてしまい楽しめない状態でした。そんな状態が1年近く続いていました。
夫婦二人の生活でしたから無理にパートに行かなくてもいいのですが、元々仕事が大好き(というか仕事に自分の居場所を見出すタイプだった)だったのでそんな疲れる自分にイラついていました。
何度か内科にかかるも原因は分かりません。
夫もよく寝込む妻におかしいな?と思ってはいたようですがあまりいうとストレスになるから気遣ってくれていました。
しかし動けないことの自分へのイラつきは最高潮に達し、変な答えにたどり着きました。
「具合が悪いのは仕事をしていないせいだ!自分の甘えだ!
パートも代わりの人が入ってきそうだし、今のパートを辞めたら近場で週5で仕事を入れよう!!そうすれば前みたいに働けるはず!!」
このことを夫にいうとかなり渋い顔をしました。
「別にお金に困ってるわけではないし、君が具合悪いって言ってるときは本当に顔色も悪いよ。無理に働かなくていいんじゃないかな?」
「だってこんなに動けないのはきっと夫くんに甘えてるせいだよ。人間甘えてちゃだめだと思う。働けば緊張感できっと元気になるはず!
幸いもうパート終わるし、近くでちょっとやりたいバイトも見つけてきたからそこに応募してみるよ!」
と息巻く私。
「・・・甘えとか怠けではない気がするんだけどな・・・家事だって全部君がやっている訳だし。
でも君がしたいなら応援するけど・・・心配だな。」
夫は了承したもののやはり渋い顔のままでした。
「とりあえずパート終わったらもっと仕事するからね!!」
そんなことを話していたのが発症前夜。
出会って2年目、結婚1年目の夏のことでした。
翌日はかなり暑い日でした。
夫の弁当作りなどの家事を終え、横になって本を読んでいたらウトウトと眠くなってきました。
目を覚ますと世界が異常な回転をしていました。
もともとめまい持ちなので回転性のめまいは慣れっこですがそのめまいは異常でした。
いつもならそのめまいで気持ち悪くならないのに吐き気までしてくるのです。時間も長く、目をつむっても気持ちが悪いのが止まりません。
それが10分くらい・・・いやもっと続いたかもしれません。
やっと少し軽くなったのですが病院に行くべきか相談しようと、医療に詳しい親族に携帯メールをしようとしたら右手でメールが打てないのです。
なんていうか・・・初めてパソコンを触ってブラインドタッチってできないじゃないですか?
指がパソコンのキーの位置を覚えてないから。
それが携帯で起きたのです。何年も使い慣れている携帯なのに。
でも左手ではできるのです。
これ・・・おかしい・・・・普通の状態じゃない・・・・
そう思い始めた頃、強烈な眠気を感じまた眠ってしまいました。
15分程度眠ってしまったでしょうか?
再び目が覚めたら吐き気は止まり、先ほどよりは状態がいいような気がしました。とりあえず枕元に置いておいた水を飲んで状態を確かめます。
しかしめまいがひどくトイレに行くのも壁に頼りながら歩く状態。
医療従事者ですから頭の中に色んな病名が回ります。
脳出血・・・?だったらあの15分でアウトだ。
脳梗塞・・・?こんなに若いし発音も普通だし・・・
熱中症・・・?可能性は高いけどこんなにすぐ麻痺でるかな?
ヒステリー・・・?そういえばヒステリーでも一時的な麻痺が出るって聞いたことあるな・・・
とにもかくにも病院です。とはいえ時間帯が午後だったので今やっているのは近くの医院くらい。
救急車とも考えましたが「これでたいしたことがなかったら恥ずかしいし救急隊員さんに迷惑だ」と考えてしまいました。
今考えればこれも脳梗塞の症状で正しい判断が出来なくなっていたのです。
とりあえず近くの医院に行って診てもらって、緊急度が高ければそこから緊急できっと大きい病院に回してもらえるだろうと判断。
苦しい体を無理に動かし歩いて近くの医院に行くことにしました。しかしふらついたり右足がうまく動かずちゃんと歩けないのです。しょうがないから傘を杖替わりに医院まで歩いていきました。
・・・・もう今思うとその時点で馬鹿です。自分の夫がこの症状だったら絶対救急車呼んだと思います。なのに自分ではそんな判断できないのです。
後から知りましたが脳の病気の時はこういう風にちゃんと状況の把握ができなくなるもののようですね。(車で病院に言って叱られたという話も聞いたことがあります)
あからさまにおかしいと家族や周囲が感じたら本人が嫌がってもためらわず救急車なりタクシーなりで病院へ連れて行ってあげてください。本当にお願いします。
さてさて傘を杖替わりにしながら近くの医院にやっとたどり着いた私。
ふらつく体ではえらく遠く感じました。
そこは内科と耳鼻科が入ってるいわゆるクリニックビルです。まず内科に行き受付に相談したら「ふらつきなら耳鼻科の方がいいかも・・・」と耳鼻科に回されました。
そこの耳鼻科が・・・素晴らしいヤブでした・・・いや落語ネタで言ったらたけのこ医者か?土手医者か?
問診票を書こうとしても右手がうまく動かず書けないので受付の人に書いてもらいました。
・・・もう普通この時点で大病院回しますよね・・・
診察室に入り、事情を説明し終わった瞬間の医者の一言。
「うーん、君太ってるからねー糖尿ありそうだねー。」
確かにBMIは24程度ですから太っているといわれても仕方ありません。
でも尿検査も血液検査も異常はありません。ましてやこの医院では検査すらしていません。検査もせずにこんなことを言うなんて失礼なうえに馬鹿か!?と思いました・・・
「とりあえず足指先と踵(かかと)を触れさせながら歩いてみて。」
これは継ぎ足歩行と呼ばれる体のバランス(平衡)感覚のテストです。
やってみると一歩も歩けない・・・体がグラグラ動いてしまい倒れそうになる始末。
これは本格的にヤバい・・・ヤバいぞ・・・・と自分の医療知識が警鐘を鳴らします。
が・・・・
「継ぎ足できないか~熱中症から小脳梗塞でもなったかな??
君は糖尿病もありそうだし。まーもう時間外だから明日大きい病院行って見たら?」
今思い出し書いてみるとこの医者に「おーまーえーはーあーほーか!!!」と言いたい。本当に(笑)
でも当時は医者がそう言うから明日でいいのかな?と思ってしまったのです。
ええ、私にも言いたい。「おーまーえーはーあーほーか!!!」と。
しかしよく出来てるもんですね・・・
帰るときにそっと診察を見ていた看護師さんが紹介状を持って受付に出てきて耳打ちをしてくれました。
「Kaoさん、今日はたくさんお水を飲んでください。先生の言うこと聞いてないでもしこれ以上悪化したら救急車呼んでください。絶対ですよ。すぐ救急車呼んでくださいね。」
と指示されました。(たぶん本当は帰宅してすぐ呼んでくれと言いたかったんだろうけど医者に遠慮したんでしょうね・・・・)
・・・医者に分からないことが看護師が分かる現実(笑)・・・・
破れ鍋に綴蓋。土手医者に賢看護師・・・・
世の中、うまいことできてるもんだな~と思いながら紹介状をもらい、またふらつきながら現状把握してるつもりで全く出来ていない私は歩いて帰ったのでした・・・・
その2へ続く
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