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14/9/14

平凡な会社員が、“脳出血で倒れて働き方を考え直した”話【第九回】

Image by Olia Gozha

頭部血管造影検査の日

2010年1月8日。その日は僕の脳出血の原因を探る検査の日だった。

脳出血の原因で厄介なのはAVMと言う病気らしく、先天的に脳の血管が動脈と静脈が直接つながっている(毛細血管でつながってるのが正常。)ことにより、そこに強い圧力がかかることが原因で脳出血を引き起こすらしい。

この日は、僕の頭の中にそのような箇所がないかどうか見極める検査をするとの事だった。

検査方法はというと、太ももの付け根の動脈からカテーテルを差し込み、”脳まで到達したところ”で造影剤を放出し、脳内血管のレントゲン写真を取るというもの。

前日の入浴時に、あそこの毛を一部剃られた上に同意書にもサインをさせられた。どうやら動脈にカテーテルを挿入するので、検査といえども慎重に行わないと危険らしい・・・

検査時の服装として”ねまき”が必要とのことだったので、前日に買った(結局、家内も買いに行く暇が無かったので病院内で結構高価で買わされた。)服装に着替え、その時を待っていた。


検査の時間がやってきた。

僕はストレッチャーで運ばれていた。

テレビでよくみる手術時のような光景を目の当たりにしながら、検査室に入り検査が始まった。

”大動脈にカテーテルが入る”ということに恐怖を感じていたが、特に痛みは無かった。カテーテルが挿入され、順調に動脈にそって脳へと挿入されていった。

カテーテルが首の後ろから頭の中に入る瞬間だけ異物感を感じた。いまだにその気持ち悪い感覚は残っているが、それ以外は何も感じず検査は順調に進んだ。

医師「それでは、造影剤をいれます。少し熱く感じるかもしれませんが大丈夫ですよ!」

「!?熱く感じる?」

熱く感じるとは、何のこと?

今までCTやMRIの検査で血管造影剤を注射されたことは何度もあったのだが、熱くなると言う感覚は一度として無かったので頭の中は??で一杯になった。

・・・が、先生が言ってる意味はすぐにわかることとなった。

医師「はい、造影剤入りまーす。」

「・・・?!」


それは、今までに感じたことの無い感覚だった・・・

「ぶわっっ!」と突然、顔の半分が”内側から”熱くなる感覚を感じた。

脳の血管は大きく左右に分かれているらしく、片方の撮影が終わるとカテーテルを一度引き戻し、次はもう片方の脳内に挿入したのち、再度造影剤を入れられた。

先ほどとは反対側の顔面が、またもや内側から「ぶわっっ!」と熱くなった。

何となく赤面するときに顔が熱くなる感じに似ているが、何の感情も伴わずに半ば強制的に頭の内側から熱くなるという、今までに無い感覚に終始気持ち悪さを感じながらも検査はなんとか無事終了した。

動脈に注射をしたということで検査後も体を固定され、しばらくは絶対安静の体制をとるようにとのことだった。下手に動いて動脈から出血すると大事になるらしい。(まあ、病院の都合かと思うが。)

ということで、トイレにも行けないので看護師さんに尿をとってもらう羽目になり、つい先月までの寝たきり生活を思い出し、ちょっとブルーが入った。


後日、検査結果が出た。

危惧していたAVMは見られず、ひとまずは安心とのこと。

先生曰く、まだ完全に出血跡が消えていないので断定はできないが、どうやら僕の出血原因は、入院当初から可能性としてあげられていた、脳幹内にできている「海綿状血管腫」からの出血であろうとのことで落ち着いた。


海綿状血管腫とは、毛細血管のなり損ないがスポンジ状になったもので、体のほかのところにできていれば、アザや血豆のようなものだそうだ。どうやら血管腫は先天的にあるもので誰にでも存在する可能性はあるのだが、出血でも無い限り気づくことは無く普通の人はそのまま過ごしているものらしい。

僕の場合は、それが脳幹にできており何かの要因で出血してしまったというのが原因だったようだ。

これまで、そんな大病も患わずに暮らしてきてそれが当たり前だと思っていたが、それがいかに奇跡的なことであったのか?

このとき初めて気づかされることとなったのである。

<つづく>












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