すっぴんパキスタン2 男の甲斐性女の自立

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※このお話は、友人の紹介で、パキスタンと親交の深いじゅんちゃんと知り合った私がきいた、パキスタンについての生の姿を書きとったものです※

じゅんちゃんが、パキスタンからパワーアップして帰ってきた。
今回のじゅんちゃんの滞在は、一か月半だった。テロと隣り合わせの、生半可な気持ちで行くには少々危険に見える国に、緊張でも悲壮な決意でもなく、「行きたい」「楽しい」というシンプルな価値観でひょいっと行って、パワーアップして帰ってきたじゅんちゃんは、まだ20代の細身女子だ(まあ、年齢も細いことも、関係ないけれど)。

開口一番にじゅんちゃんが、話したのは、

「パキスタンは子供ばっかりでうるさかった(笑)!」

2日前に日本に帰ってきたばかり。パキスタンでは、子供たちはあちこちで、きゃっきゃ、きゃっきゃと走り回っているそうだ。なんて幸せで平和な風景だろう。(そこから彼女は、趣味と実益を兼ねたちょっと素敵なビジネスを思いつくんだけど、それはまだ内緒。)とにかくうらやましいことに「子供ばっかり」な状況にパキスタンはある。(実際人口は増え続けている。)
 
彼女によると、イスラムの教えに「子供の数をコントロールしてはならない」というものがあって、伝統的に、そういう空気らしい。

「でも、宗教をどこまで生活に取り入れているかというと、そこはそれぞれだから。まあ、別に、ピルは病院に行けばもらえるし、避妊手術もできるよ。こどもが既にたくさんいる夫婦とかね。」

「結婚式が多いから、結婚式場ビジネスはもうかってるよ!」

ここまでくると、私としては絶対聞きたいことがある。

「恋愛結婚なの???」

「全員が全員、親が言うから結婚するというわけじゃない。自分の価値観だね。」
とじゅんちゃんは言う。
もちろん、生活力がないから、いい人と結婚したい、と結婚をする人もいる。親の持ってくるお見合いをすることもあるし、専業主婦になりたい女性もキャリアウーマンになりたい女性もいる。日本と同じように、パキスタンのカラチでも、女性たちは同じように積極的もしくは消極的な理由で人生を選んでいく。

ここで、あえて「パキスタンのカラチ」と書いたのは、パキスタンでは、地域によって全く、全く違う文化、価値観のあることが普通だから。都市国家群、みたいなイメージなのかもしれない。都市たちは、まるで別の国のように、それぞれである。確かに、伝統的なイスラムの衣装を着なければ危険な都市も存在していて、そういうところでは、残念ながら、女性の教育は難しいのかもしれない。

 ところで、カラチの男性は、女性の面倒をみるのが好きなのだそうだ。

「僕が全部、ぜーんぶやってあげる、君は全部僕にまかせて。」

男の甲斐性。女の子に働かせてはならない。僕が君を守るよ、でも、女性はいつまでも、そんな状況に夢を見るいきもの、でもある。日本ではもうなかなかお目にかかれないほどの紳士ぶりなのだが、守られすぎて、逆に女性の社会進出をさまたげてしまう部分もあるのだ。

肝っ玉母さん的な、カラチの女性のひとりが、ある日じゅんちゃんに言った。

「子育てでも、家族とコミュニケーションをとるのが一番大事なのよ。家族なんだから一緒に決めていけばいいのに、男性は女性に家計や仕事の話をせず、生活費だけを渡すの。そうすると、女性の人生は、家にいて料理をつくっているだけみたいな気持になる。」

じゅんちゃんは言う。

「わたしにいわせたら、カラチの女性で文句を言っている人は、『パキスタンでは女性の社会進出は難しい』ということを言い訳にしてるだけなの。パキスタンの働いている女性もそう言っているし。」

そうか。私もまた、過去とか、今の状況とかいろんなことを言い訳にして、いろんなことに足を踏み出せないでくすぶっているではないか。
同じなのだ。ひとは。
頭でわかっていることが、じゅんちゃんの言葉を聞いて実感して気づきになっていく。
遠くの怖い国だった、パキスタンとの親近感がどんどん強まっていく。

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