実録 訪問販売会社潜入記 浄水器を売りつけろ! 7 誘惑する奥さんとオカマの同僚編

4 / 4 ページ

前話: 実録 訪問販売会社潜入記 浄水器を売りつけろ! 6 月の給料の額と社内の雰囲気ってどうなの?

完全週休2 日制になります。

でも、事務所は土曜も開いていて、次週のアポをおばちゃん達が取っています。



初勝利

初日デビューで初勝利

この快挙は、事務所で大騒ぎとなった。

2 日間の同行を終え、独り立ちとなった初日。

2 件目の一軒家で、見事浄水器を買わせることに成功。

結構シュミレーション通りに進み、意外に簡単に購入となった。

そして、3 件目を退却し、( 当然売れない)

事務所へ帰社した。

時間は夜20 時頃である。

エレベーターで事務所の階まで上がり、エレベーターを降りると、

事務所の電気が消えている。

真っ暗なのだ。

なんだよ~ 今日はもうみんな帰ってるのかよ!

念のため、ドアを開けると、あれ? 開いてる?

そのまま真っ暗の事務所に入ると、いきなりスポットライトが私に照らされた。

と同時にロッキーのテーマが流れ出し、 誰もいないと思われた事務所に、まだ十人程度の社員がいることに気づいた。

「おめでとう!

「おめでとう!

「おめでとう!

「おめでとう!

「おめでとう!

まるでエヴァの最終話のシーンのように、社員全員がおめでとうを連呼!

そして、2 人一組となり、手でアーチを作り、その輪をクグレという。

仕方なく、おめでとうコールとロッキーのテーマの中

アーチを潜り抜けた。

このおめでとうコールは5 分程続き、

事務所は大騒ぎであった。


しかしきまづい・・・・・。

毎回売れる度にこれじゃ疲れちゃうよ・・・・・

しかし、どうやらコレは新入社員が一番初めに売り上げたときにだけやる儀式らしい。

それにしてもうざい儀式だ。

その後、幹部に聞いたところ、 実は今日の1 件目もかなり脈ありだったそうだ。

「お前は話がうまいな! 」 と言われた。

幹部がアフターの電話を午後に掛けた際、買いたいと向こうから言ってきたそうだ。

この場合にも、私の売り上げとなる。

で、幹部は電話で相手の情報を聞き出し、クレジット会社へ審査に出したところ、

ブラック!

うちの会社のクレジット会社は結構借金を背負っていても、通るくらい審査が甘いのに、

そのクレジット会社ですら、「ブラック」 と認定されている程の多重債務者だったようで、

なくなく諦めたと言われた。

確か1 件目は、一軒家で結構大きい家だったのに、 実は多重債務者なのか。

結構驚きの事実。

あれが売れていれば、初日2 件の売り上げで、記録達成だったのにな!

といわれ、かなり悔しかった。


1 日1 つも売れなかった場合は懺悔

事務所の一番端にある比較的大きな窓には、張り紙が貼ってある。

内容までは詳しく覚えていないが、

・明日は必ず売るぞ

とかそんな言葉がたくさん書かれていた。

それを1 つも売れなかった人は、事務所に帰社した後、

大声で読み上げなければならない。

1人で大声で張り紙を読む虚しさと恥ずかしさ。まるで拷問です。



どうやって入社したのか

普通に求人誌に掲載されていました。

● ルート営業、月給30 万円以上も可、週休2 日制( 土日)

● あなた次第で100 万円以上も可能

しかも勤務先はすぐ隣の駅。

こんな近くに、こんな会社があったのか! ?

求人誌を見て驚いた。

その頃、私には借金があり、一般企業に勤めてはいたものの、手取

りで18 万円以下という薄給で、月々の返済に滞っている状態だった。

100 万円以上も可能!

この文字に一瞬で虜になってしまった私は、仕事中こっそり抜け出し、

求人に応募したのであった。

翌日、すぐに面接となり、来社してほしいとのこと。

当然、今の仕事があったが、仮病を使って休みを取って、面接へ向かった。

時間は午後1 時頃だったと思う。

同じ時間帯なのか、面接に来たと思われる人が数人いた。

応接室のようなところに通されるが、パーテーションで区切られい

るだけなので、

異様な事務所の空気は十分読み取れる。

幹部の電話応対の怒鳴り声や、おばちゃん達の必死のアポ取りの声

もの凄い空気である。

この時点で既に帰って行く人もいた。

実際、私も怪しすぎるので帰ろうかと思っていたが、

お金を稼ぐ為! と割り切り、勇気を振り絞って残った。

面接は事務所長が行い、簡単な会社説明の後、

業務内容の説明と、研修期間の説明

いつから出社出来るか等、あっけなく1 時間程度で終了した。

結果は、電話で後日連絡するということで、面接は終了した。


所長との1 対1 での面談も5 分程度しかなく、

残りの業務説明等は、残った面談者全員一斉に行われた。

面接に行ったその日の夕方、所長から電話が来た。

「採用です」

後日って今日かよ! !

で、すぐに今の会社を辞めて、転職したのでした。


緊張して損した。


さようなら

実は私はこの仕事、半年程度しかやっていません。

班長になりたくなかったし、声が枯れるのも嫌だったし、何より、目的である借金返済も完済し

たのでこのまま続けるのは得策ではなかったのです。

勤務時間も朝早いし、何より訪問販売なんて、一生出来る仕事じゃないと思っていたので。

辞めるのは簡単でした。

辞表を提出するのみ。

その際に、研修時に利用したノート等は全て没収されます。

情報漏れを防ぐ為でしょう。



あ、ちなみに 2014年現在

この訪問販売会社はもう存在していません。



著者のYamamoto Yuriさんに人生相談を申込む

著者のYamamoto Yuriさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。