【リメーク紙書籍化決定】『早稲田出ててもバカはバカ』試し読み(商品無料サンプル)

2014年8月に投稿し反響を頂きました拙著が2015年4月に電子書籍されamazon(kindle)のノンフィクション部門で2位を獲得することができました。

お陰様でその後複数の出版社からオファーを頂きこの度、2015年9月30日に「ぴあ」さんより紙書籍として出版する運びとなりました。

電子書籍の内容は大幅に書き直したリメーク版となります。

少しでも多くの方に読んで頂きたく、こちらにサンプルをUPさせて頂きます。

もしご興味があれば下記amazonサイトで購入できますので何卒、宜しくお願い申し上げます。

円山嚆矢 拝


amazon商品URL

http://www.amazon.co.jp/dp/4835628462


【書籍紹介】

職業、風俗店店長。業界の闇に染まり、善も悪もなく金を追い求める

ネグレクト、貧困…絵にかいたようなブラック家庭に育ち、

「学歴さえあれ、この底辺からはい出せる」

その一心で、早稲田大学まで卒業したのに、

なぜおれはこんなことになってしまったのだろう…。

一世を風靡した「ビリギャル」を輩出した物語投稿サイト「STORYS.JP」で投稿をするや否や、3万人が共感&感動の涙を流した 話題作が加筆修正をして書籍化。


第1章 早稲田出てまで、風俗店で働くバカの誕生

第2章 早大卒のスカウトマン路上キャッチで脚光を浴びる

第3章 クスリ、強姦、ヒモ…風俗の世界に染まっていく自分

第4章 転落の始まり

第5章 死に物狂いで、早稲田を目指せ!

第6章 さらば風俗、束の間の充電期間

第7章 カネと高揚感に騙され、不動産業界へ


「自分の人生、もうやり直しがきかない」

「ここまで落ちた自分に未来はない」

「何をやってもうまくいかない」

学歴を手にしながらも社会をうまく渡れない…

今を生きる自信が湧いてこない…

そんなあなたにこそ読んでほしい

現代を生き抜く“高学歴バカ"のノンフィクションがここに


【ここまでのあらすじ】

大学卒業後、憧れの映像業界に就職したブラック家庭出身・円山嚆矢。しかし、ADは薄給。親の生活支援がままならず高給が望める転職を決意する。当時、花形であったIT業界への転職を志し内定を得るが何とその〝IT企業〟は裏で風俗店を経営する極め付けのブラック企業だった・・・


~中略~

「完落ち」──学歴社会を盲信した男の末路

「ようこそ、待っていたよ!」

 入社初日。満面の笑みで私を出迎えた社長と1時間ほど雑談をした後、突然、奇異な質問が投げかけられた。

「唐突だけどさ、八百屋と風俗店の商売って、同じようなものだと思わない?」

「はい?」私は動揺しながら答えた。「どういう意味でしょうか」

「いや、急だったね。質問を変えよう。ディズニーの本、読んだよね。感想は?」

「えっと、おもてなしの精神というか、社長がおっしゃっていたサービス業の根幹にあるものを垣間見ました。なぜディズニーランドにあれだけ絶え間なくお客さんが入るか、掃除にそこまで深い意味があるとは知りませんでしたし、あらゆる業界に通用する普遍的な法則を感じました」

 これまた予想外の変化球に動揺し、凡庸な回答しか浮かばなかった。

「なるほど。ちゃんと読んだんだね。いろんなヤツに一方的にあの本を渡してきたけど、入社する前に読んでくる人間は半分も居ない。でも、今の回答はギリギリ合格点、ってとこかな。その通り、掃除を侮ってはいけないよ。オレも飲食店をやっているけど、継続して儲かっている店でトイレが汚いところを見たことがない。現場にいるときから、掃除は率先してやってきたよ」

 この人は一体、何を言っているのだろうか。八百屋に風俗店、ディズニーに掃除……矢継ぎ早に脈絡のなさそうなキーワードが並び、私の頭は混乱し切っていた。社長はさらに畳み掛けてくる。

「で、先ほどの話。八百屋と風俗店だけど、商売の本質は何も変わらないとオレは本気で思っているんだ。この意味が分かる?」

「いえ、検討がつきません……」

「今はそれでいい。じきに分かる日が来る。答えを先に言っちゃうと、キレイなお店にキレイな商品が並んでいて、優秀なスタッフが優れたサービスを提供してお客さんに喜んでもらう。商品が野菜かオンナの子か、それだけの違いじゃない?」

「はあ、言われてみれば確かにそうかもしれません」

「実はね、ウチの創業ビジネスはオンナ商売──キャバクラ、風俗なんだ。落ち着いて聞いてほしいんだけど、そこで成功して地域でナンバー1の地位を築いて、その資金を飲食店、AV、アダルトサイト、そしてこのウェブの会社に投入して、多角経営で成功を収めているワケ。ちょっと刺激が強かったかな?」

 言葉が出なかった。なぜ元数学教師が風俗店を? というか、ITベンチャーの本業が風俗店? 意味が分からず、錯乱寸前だった。

「隠していたことは謝るよ。でも、オレはどうしても君が欲しかった。このウェブ会社で培ったノウハウをオンナ商売にも活用して、これまでのようないかがわしいものではなく、まっとうなビジネスとして全国展開するという夢がある。そのためには、今のスタッフじゃダメなんだ。君のような、心技体が揃っている人材じゃないと!」

 頭はボーッとしていたが、風俗、キャバクラ、AVなどを総称して「オンナ商売」という表現を使っていたのが印象的だった。

「パチンコ屋のマルハンがなぜ、あそこまで社会的地位を築き、成長したか知ってる? 今のオレと同じように世間から〝いかがわしい商売〟と白い目で見られがちな風潮を変えようと、早稲田をはじめとする一流大学の学生を死に物狂いで獲得してきたからなんだよ。そういうエリートが今や幹部となり、同世代と比べ物にならない高い報酬を得て、いい暮らしを実現してる。本気で世の中を変えるって、そういうことじゃない?」

 元来、感化されやすい性格のため、私はまんまと社長の論法にハマり、説得力を感じ始めてしまっていた。

「世の中からオンナ商売がなくなることは、絶対にない。なぜソープランドが合法的に営業できるか? 性欲のはけ口がなくなったら、性犯罪が増えちゃうでしょ。国も公言はできないけれど、必要悪として認めているんだよ。オレは海外にも視察に行ったけど、ヨーロッパでは性産業に従事しなければ学校に通えない女性が大勢いて、日本ほどには差別されない。これは、やり方次第で十分に社会貢献できるビジネスなんだ。ちょっと前は〝赤線地帯〟といって政府が公認していたし、もっと遡れば、江戸時代には吉原の花魁が教養のある社会的地位の高い女性として認められていたでしょ?」

 一方的な社長の熱弁に食傷気味になり、一区切り付けたくなった。

「……それで、僕はいったい何の仕事をすればいいのですか?」

「うん。実は今度、新店舗をオープンすることになってね。君には初めから店長として、店を仕切ってもらいたい。部下は3人付ける。在籍している女性は20~30人くらいかな。 実務に関しては系列店の店長が二人居るから、彼らに教えさせるよ。おそらく君なら、すぐにノウハウを吸収できるはずだ」

「要はIT企業で働くのではなく、IT技術を積極的に採り入れた風俗店で働け、と……」

 毅然とした態度で言い放つ社長の話の腰を折るように、私は正論をぶつけた。

「まあ、話を最後まで聞きなよ。ウチはれっきとしたIT企業であることも事実なんだ。ちなみに最近ちょっと有名になってきた○○ってデザイン会社、実はウチが経営してるんだぜ。知らなかったでしょ?」

 大通りに事務所を構え、メディアでもよく目にする気鋭の企業だ。驚く私を尻目に、回転式の高級革イスに腰掛ける社長は、悠々とセブンスターの紫煙をくゆらせ、不敵な笑みを浮かべる。

「ウチには優秀なプログラマーも、デザイナーもカメラマンもいる。オンナ商売の方のホームページを見れば、どれだけ秀逸なウェブサイトか理解してもらえるはずだよ。泥臭いオンナ商売にこのITノウハウを存分に活かしたいのだけど、今はそれをできる人材がいない。君には幹部候補としてすべてを学んでもらいたいんだよ。まずは現場の一番泥臭い仕事を知ってもらわないことには、何も始まらないでしょ」

(早稲田を出たこのオレが、風俗店で働く……?)

 底辺からはい上がろうと必死で学歴を得た自分にとって、「風俗店勤務」という言葉はかなりショッキングなものだった。制作会社のADだって、実情はどうあれテレビ番組というメジャーなものにかかわる、〝人に話せる〟仕事だったはずだ。前職に思いを馳せる私の頭を見透かしたように、社長が畳み掛ける。

「ワタミの創業者だって飲食店の経営者を志しながら、あえて佐川急便のセールスドライバーやったり、一般企業の経理マンやったりしているわけだ。東大卒でテレビ局に入った新人だって、最初は徹夜続きのAD生活でしょ? 急がば回れなんだよ」

 よく分からない理屈だったが、やはり妙な説得力がある。そして最後には、こんな言葉が掛けられた。

「それとね、君は顔がいい。実はオレが一番気に入ったのは、君の顔なんだよ。前に〝NHKのアナウンサーみたいだ〟と言ったように、君は人から警戒されにくい、穏やかでソフトな雰囲気を持っている。一見して、君が悪いことをする人間だと思う人は、おそらくいないだろうね。この業界は見るからに胡散臭いヤツが多い。世間から信頼が得られにくいこの世界でこそ、君のルックスは必ずアドバンテージになるよ。オレは初めて会ったとき、ピンときたんだ。“鍛え上げれば、コイツは絶対にモノになる〟ってね」

 人を口説くのが巧い人だった。目力があり、強気に迫られると押し切られてしまいそうになる。こうして何人ものオンナや従業員を口説いてきたのだろう。

 加えて、私の場合はすでに支度金を受け取っており、職場まで歩いて行ける距離にマンションを用意され、母親のためにと10万円も渡されてしまった。そう、最初から逃げ道は塞がれていたのだ。

「分かりました。やります」

 私は完落ちした。

 

 その後、やり手として社長からの寵愛を受けていた二人の系列店店長を紹介された。ひとりはラルクアンシエルのボーカル・hydeにそっくりの超イケメン=イシザカ、もうひとりは槇原敬之と瓜二つで、前歯が2本抜けたツチヤだった。イシザカは身長こそ低いものの男が見ても惚れ惚れするような甘く端正なマスク、ツチヤはどう見てもモテそうには思えない冴えない顔で、あまりに対照的なことに面食らった。

「二人ともいいヤツだから、何でも聞いてやって!」

 にこやかな彼らとは対照的に、私は、学歴を得て白に変わりつつあった人生のオセロが、再びパタパタと音を立て、黒に変わり始めたと感じていた。学歴社会を盲信した男の哀れな末路──浪人までして入った大学は、一体何だったのか。こんなことになるのなら、高卒で手に職をつけたほうがマシだったのではないか。しかし、貯金はみるみる減っており、今から支度金などを返上し、再び転職活動をする余裕は残されていなかった。

(もう引き返せない。どうせやるなら、とことんカネを稼ごう)

 退路は断たれ、激動の日々の幕が上がった。



第二章 早大卒のスカウトマン、路上キャッチで脚光を浴びる

 こうして私は憧れのIT企業……ではなく、「IT技術を積極的に採用した(しようと考えているらしい)風俗店」で働きはじめた。

 覚悟はしていたが、ゴトウ社長は私にスタートダッシュを求め、最初から過酷な試練を課してくる。路上での「源泉営業」──すなわち、路上で女性に声をかけ、キャバクラ、風俗で働くことを了承させてこい、というのだ。学生時代から女っ気が乏しく、ナンパすらろくにしたことがない男が路上キャッチで成果を上げるなんて無理がある。「なぜ自分がこんなことを」というプライドも邪魔をして、葛藤は大きかった。

 考えてみれば、大学の同期の多くは一流企業のサラリーマン、あるいは公務員として順風満帆な日々を過ごしている。一方で、流されるままに裏社会に足を踏み入れてしまった自分。「情けない」を通り越して、そのままふらりと三途の川を渡りかねない気分だ。

 しかし、カネが必要な私に選択肢はない。

「オレも路上からスタートしたんだ。君は幹部候補なんだから、これくらいはすんなりクリアしてもらわないと困るよ」

 社長からそう発破を掛けられるとともに、次のようにアドバイスされた。

~つづく~


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