復興への加速となるもの

著者: TKD C

岩手県大槌町

サンタで賑わうクリスマスの相談

男性とは避難所時代から

1年半の付き合いですがはじめて聞く話。



男性は、津波で物的・人的被害は無かったものの職を失いました

当時の給与は25万円以上。それがあの日を境にゼロ。

家には、妻と幼い子どもも含めふたり

震災後、すぐに再開された家賃・公共料金の請求

罹災証明は発行されないため、失職を町に証明し

現在家賃の負担は無くなりました。しかしそれは、有期。

失業保険の給付は終了

現在はアルバイトをはじめ、収入は月4万円

妻もアルバイトをはじめますが、ふたりの得る収入は

合計にして10万円程度。

「年金受給まであと2年。それまで待てばなんとかなるかもしれない。けれど、もうどうしたらいいか分からない。毎日のように思う。流されてしまえばよかった」

被災地というのは、

津波被害の度合いによって状況が大きく異なります。

大槌町では、町の大半が失われたため働く場所がありません

「君のように若ければ、家族のために出稼ぎに行く。子どもにだけは、辛い思いをさせたくないんだよ」

この方とは物資配布会、炊き出し、イベントなど。

さまざまな場所で会いましたが、

すべては、家族のため。子どもために。


恐怖を覚えるのは

同じ境遇の家庭が、まだまだあるという現実。



これまで、岩手県大槌町で

仮設住宅や在宅被災世帯を1年半訪問してきましたが


町民の声は、町に届いているのでしょうか。

町民が噛み締めている"モノ"が、視えているのでしょうか。

町民の涙が枯れ果てかけていることを、知っているのでしょうか。


進学をまえにした彼の子どもは、マルチリンガルでありながらも

家族のためと、進学を諦め働きたいと話します


誰かに支えられ、

町民ひとりひとりに居場所がある

たくさんの橋が架かった地域社会。

望むものは"それ"です


ただ、ここは被災地

枠にはめることのできない、

複雑且つ複合的な悩みを抱えたかたがたばかり。

さらに、津波によりそれぞれ抱えた心の傷

"モノ"はお金をかければ元に戻るかもしれません

しかし、心は違います。

その第一歩。

まずは、町民の声に耳を傾けてくれることから切に願います

それが、復興への大きな加速となるでしょう

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