第9話 コップの水はどれくらい入っている?【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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第9話 コップの水はどれくらい入っている?【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
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あなたのコップの水はどのくらい入っている?





作家さん
これは、まほちゃんのコップだよ。

まほちゃん自身の、うーんそうだな、
人間のコップ、という感じかな?



作家さん
今のマホちゃんは、今の自分は、
どれくらい水が入っていると思う?



私は、机に置かれたそのコップを見つめた。




   ー私のコップの水.....?




今私は、仕事もしてないし何も頑張っていない。

社会的には何も役に立ってない、下の下の方にいるのは十分分かっている。




そんな中、自分の水がいまどれくらいかなんて....。

言うのが恥ずかしくなった。0%に近いんじゃないか。




この質問に答えるのがすごく嫌な気持ちがした。



まほ
えっと、....このくらい、だと思う..。



そう言って、コップを指差す。

コップの底から少し上がったところ、大体30%くらいのところだった。




作家さんはそれをみて微笑んでいる。




作家さん
そうかそうか。そのくらいか〜。




胸がザワザワした。少し多く見積もったのに気づかれてしまったのだろうか?

でも、私でも30%くらいはいいところがあるはずだ。




彼に全てを見透かされているようだった。




作家さん
あのね、まほちゃんのコップの水は、




そう言いながら、作家さんはコップを見やすいように自分の前に持ってきた。

そしてコップの口に手をかぶせる。




作家さん
ここだよ。きみの水はここまで入ってるんだ。




まほ
えっ....?えっと、どうゆうことですか?




その動作が、何を意味しているか分からなかった。空っぽってこと...?




コップのてっぺんに手を置いたままの、彼を見つめる。




作家さんの茶色のやさしい目も、まっすぐ私を見て言った。





作家さん
あのね、もうFULLなんだよ。

満タンなんだよ。

まほちゃんの水は、もう100%入ってるんだ。




作家さん
まほちゃんがね、自分で70%位ダメだって思ってるだけなんだよ。

ただ、そう自分で思ってるだけなんだ。




作家さん
だからその70%を埋めようとして、

仕事をしたり、何かを頑張ったりして誰かに認められることで、100%になろうと苦しむんだ。

でも、いつ、そのゴールは来るの?




息が詰まりそうになる。




まんたん、100ぱーせんと。?




頭ではよく理解できなかった。




じゃあもう頑張らなくていいってこと?

そんなの、こんなにダメなのにもっとダメになってしまう。

でも、そうだ。ゴールは来ない。それは分かっていた。




考えると、はてなだらけだった。




だけど、胸中が、あつかった。

これはなにかとても、重要な事だ。こころは分かっていた。






作家さん
もうひとつ、質問していいかな?






作家さん
まほちゃんは、



作家さん
...自分のことが好きかい?





ふいに聞かれた質問。


一瞬空気が止まったように感じた。




すぐに返事をしようとした。

でも、喉まで出て、つっかえて、そしてなにも声が出なかった。





だけど、その代わり、涙が、大粒のなみだがぼろぼろとこぼれていた。

私は、気づいたら肩を揺らして号泣していた。

泣くなんて、思ってもいなかった。でもとまらなかった。




とっさのウソもごまかしも、できなかった。




...ううん。私は、好きじゃない...。




声をつまらせながら、うつむいたまま首を横にふる。





私は自分のことが、好きじゃなかったんだ。

  私は、私が、大きらいだった。





なみだは止まらなかった。胸がキリキリと痛かった。




作家さんは、優しく静かに見守ってくれていた。

そしてまたコップを指差して言った。





作家さん
もしまほちゃんがもう自分は100%なんだ、
満タンなんだって認めた時、
コップから水があふれるんだ。

そしてあふれた水を、
周りの人にあげれるようになるんだよ。







そして、問題だらけで絡まっている私の、たった1つの解決策を教えてくれたんだ。





作家さん
もう、自分を愛して生きる許可をしてみないかい?

そしたら、問題は、全部解決するよ。




彼が教えてくれたその解決策は、

私の人生の中で一度もやったことがないことだった。





自分を愛して生きる許可





それから3日間、私は家のバスタブにいた。

そしてほとんど家からも出ず、泣き続けた。




なんでバスタブかというと、

小さいころお風呂の中が私の反省場所だったからだ。




泣きながら出てくるのは、

あたまの隅のほうに押し込めて、もうすっかり忘れていた小さいころの記憶たちだった。





そうだ私は指に絆創膏を貼っていた。

お母さんにまた叱られたとき、また失敗をしてしまうとき、

この絆創膏を見たら、もう「悪いこと」も「失敗」もしないんだ!

という、自分で考えたおまじないだった。




でも、また叱られるし失敗もしてしまう。

お風呂で泣きながら何度も貼り直した絆創膏をやぶりすてた。




そしていつも怖くて不安だった。

両親が別々で暮らすことがあったら、

こんな私は引き取ってもらえないだろうと思っていた。




なんで私だけこうなんだろう。なんでうまくやれないんだろう?

こんな自分で、悔しくてたまらなかった。




バスタブで泣きながら、

小さいころの記憶と感情がとめどなく溢れてくる。




私はこんなにためてしまっていたんだ。

感情はなくならないんだ。昔我慢した感情は身体の奥にたまっているんだ。




出てくる感情の波を、少し大きくなった今の私が、泣きながら受けとめていた。




胸の中に、小さなあの頃の自分がいる気がする。

それはボロボロで自信がなく、傷ついた私だった。







ごめんね、きつかったね。ずっと我慢させてたね。




ずっと置き去りにしていた、あの頃の自分に話しかける。




でも、胸の中の小さな私はお母さんの事で悲しんでる訳じゃなかった。

怒られたこと、うまくいかないことで傷ついてるわけじゃなかったんだ。





嫌い。  大嫌い。 なんでうまくやれないの?


なんで失敗するの?   どうしていつもそうなの?


   私なんて大っ嫌い!




それは誰でもなく、私自身からのことばだったのだ。

私は、わたしからの、そんな言葉の刃でズタボロだった。





世界で一人しかいない自分を一番認められなかったのは、私だったんだ。

そう、私を一番嫌っていたのは私だった.....。





自分を愛する生き方を許可してみて。





作家さんの言葉が響く。





もういいんだ。私はわたしで。

できないのもダメなのも、全部私なんだ。

もうそろそろ自分を愛そう。

自分を許そう。



自分を愛することを、自分に許そう。




わたしは胸の中の小さなわたしを、思いっきり抱きしめて言った。




 「 もうそのままでいい。

   そのままの自分でいいんだよ。

   愛してるよ。」




それは小さい時、一番言われたかった言葉だった。




ずっと待っていた言葉を、やっと言ってもらえた。

少しおおきくなった私から、言ってもらえたんだ。




私は私を抱きしめながら、何度も何度も繰り返していた。

胸の痛みはいつの間にか大きなあたたかさに包まれて消えていた。






どれくらいそうしていただろう?泣き疲れ果てた顔をあげる。

バスタブから出ると、身体も頭も不思議と軽くなっていた。




服を着て部屋に戻ると、部屋の片隅に携帯が転がっている。

ふいに携帯を手に取る。



そしてそのまま何も考えず、電話をかけていた。




発信先は、お母さんだった。




ずっと聞けなかった質問



プルルル.....。



着信音が響く。



ドクッドクッドクッ



自分の心臓の音が、携帯を当てた耳からも伝わってきた。



電話をとる音がした。




まほ
あ、もしもし、お母さん。




お母さん 『 ・・・あ.…、まほちゃん。久しぶりやね ...元気にしてた? 』




久しぶりのお母さんの声。突然の電話に、少し驚いた様子だった。




なっちゃん伝いで聞いたような、緊迫した雰囲気はなくなっていた。

お互いに戸惑っているような、少し居心地の悪い空気が流れる。




携帯を持つ手が震えていた。自分がとても緊張していることに気づく。

だけど、頭はクリアでしっかりしていた。




何で電話をしたのか、自分でも分からなかった。

だけど、お母さんにどうしても電話をかけたかったのだ。




そして次に自分から出た言葉は、

私がお母さんにずっと聞けなかった事だった。




まほ
......お母さん、
小さい時、どうして私ばかり怒ったの?




それは、私がずっと聞けなくて、そして恐れていた質問だった。


” 私を愛していない、好きじゃない。”


お母さんの口から、それを知るのが怖かったからだ。




だけど、今やっと、まっすぐ聞けた。

もしお母さんから、今その言葉を聞いても

私だけは”私を愛する”と決めたんだ。




自分の中の小さなわたしが、しっかり前を向いている。

部屋のすみに立ったまま、一人受話器を握りしめていた。




しかし、お母さんから帰ってきた言葉は予想外の言葉だった。




おかあさん『う....ん。そうやねえ、それはお母さんとまほちゃんがよく似てたからよ。

      まほちゃんに、お母さんみたいになってほしくなかったんよ




まほ
えっ…?




.....お母さんみたいになってほしくない?  


     ...なんで ?


私のことを” 愛してない ”ではなくて?





まほ
えっと...。お母さん、もしかして...




それは、自分の世界がひっくり返るような感覚だった。

頭のなかで、なにかが繋がろうとしている。




まほ
もしかしてお母さんは、
自分のことが好き…じゃないの?



電話の向こうのお母さんは、沈黙していた。携帯のノイズ音が響く。

そしてお母さんは少し言葉をつまらせながら、答えた。




お母さん『 う…ん、そうね...。お母さんは、自分ことは...あんまり好きじゃないかな。 』




その瞬間、急に視点がぐるりと回転した。

自分の中の絡まっていた糸が、するするとほどけていく。




おかあさんも、自分のことが好きじゃない?私と一緒?




ほどけた糸が、つぎつぎと繋がっていった。




私には悩みがあった。

それは、将来、子供を育てられないんじゃないか、ということ。

それは、自分と似た女の子が生まれたら絶対怒って育ててしまうからだ。




自分のことが嫌いな私が、もし似たような性格の我が子を持ったら、

”私みたいになってほしくない”と、叱ってしまう。




それは、お母さんの”予想外のその答え”と一緒だった。




お母さんは、私を愛してないわけじゃなかった?




すると、目の前に大きな夕日が広がった。

本当におおきなおおきな、真っ赤な夕日。



それは小さいころ、夕日が大好きなお母さんと見た景色だった。



保育園の頃、仕事を始めたばかりのお母さんが送り迎えをしてくれていた。

その帰り道、アスファルトの坂道に大きな夕日が沈むんだ。



おかあさん『 ほら!まほちゃんなほちゃん!夕日だよ〜!おっきいね〜! 』



まほ
ほんとだ〜!おっきいー!キレイ〜〜〜!



そう言うと、お母さんが大きな声で歌をうたう。

私たちも真似して歌う。大きな口を開けてうたう。



助手席から、オレンジ色に染まったお母さんの横顔を見ていた。

空も団地も坂道も、車もわたしたちも、みんなオレンジ色だった。




お母さんは嬉しそうに笑う。

夕日とお母さんとのその時間が、大好きだった。






中学生になった時、私はもう夕日が嫌いだった。

自分が嫌いで自信がなかった私は、世界がキレイに見えなくなっていた。



その日は期末テストが近いのに、自分の目標まで勉強できなかったんだ。

もう夕方、一日が終わってしまう。

自分はなんてダメなんだろ、また自分が嫌になっていた。



仕事から帰ってきたお母さんに、急いで駆けよる。



まほ
お母さん!おかあさん!今日ね、全然勉強できなかったの...!全然ダメだったの!



叱って欲しかった。何やってるのっ!って。叱り飛ばして欲しかった。

でもお母さんは、玄関先で私を抱きしめてこう言った。



おかあさん「 そんな日もあるよ〜。大丈夫、だいじょうぶ! 」



お母さんのそのことばに、全身の力がゆっくりと抜けていく。

全部許された気がした。”そのままでいいよ”と言われたような安心感だった。

幸せで満たされたいく。



抱きしめられたお母さんの肩越しから、夕日が沈んでいくのが見えた。






高校生になると、お母さんと私は喧嘩ばかりだった。

お母さんは仕事で忙しくなり、私は自分のことでいっぱいだった。



バーーーン!



スタートのピストルが鳴る。みんな一斉に走りだす。



高校の日々は陸上一色だった。平日は練習、週末は大会。

今日は大会の日だ。



立ち止まったら色々考えてしまう。

目標に向かって走っているときは、何もかも忘れさせてくれた。



走る。とにかく走る。走る。走る。



周りの景色が見えなくなる。

歓声も人も風の音も、空も地面も、全部一緒の風景になった。



自分の息と心臓の音だけが聞こえる。

この瞬間が好きだった。



「 まほちゃーーーーーーん!まほちゃーーーーん! 」



突然、自分だけの世界に、聞き慣れた声援が割って入ってきた。


お母さんだ!

仕事をしているはずのお母さんの声だった。

仕事を抜けて、見に来てくれたんだ!



「 あと一周!あと一周だよーー!がんばれ〜〜〜!」



お母さんの姿は見えない。背景はもう全部一緒だった。

景色が色んな色に混ざって伸びる。


でも、お母さんの声だけはハッキリと聞こえた。



  お母さん...お母さん!



走る。とにかく走る。前だけ向いて走る。



一番だった。前に誰もいない。

視界がひらける。空と地面が一緒になる。

ゴールの白いラインが見えた。



「 まほちゃーーーん! 」



お母さんの声だけが響く。

景色が、音が、ゆっくりと戻ってくる。

空がおおきい。



ゴールラインはいつの間にか超えてしまっていた。



まほちゃーん、まほちゃーーん。



お母さんのよく通る声。強くてやさしい声。

観客席の最前列に、お母さんは立っていた。

お母さんは笑顔だった。



真っ赤な夕日が競技場を染めていた。




まほちゃん、まほちゃーん。



お母さんの声が何度も何度も聞こえてくる。



それは、私をずっと導いてくれた

世界でたった一人のお母さんの声だった。



お母さんとの思い出が、

ビーズが弾けるように次々と浮かんでくる。



鮮明に、お母さんとの記憶が通り過ぎて行った。

それは赤ちゃんの時、保育園の時、小学校.....

お母さんと生きた、なんでもない日常の日々だった。




まほちゃーん。


まほちゃーーん。




お母さんの優しい声がこだまする。

喧嘩をしたときも、励ましてくれる時も、褒めてくれる時も、

いつも私を呼んだのは、その声だった。




この名前をつけらてもらってから、幾度も呼ばれた。

いつも傍にあった、私を導いてくれる、大きくて柔らかい、

すべてを許してくれるお母さんの声。




それは、お母さんから愛された記憶だった。




私は、自分が大嫌いだった。

かたくなに、自分を愛さなかった代わりに、世界をキレイに見れなくなっていた。



そして、お母さんの愛すら受け取れなくなっていたんだ。




お母さん....、私、お母さんの為に自分を大好きになる...。




お母さんは、私とお母さんが似てるから怒ったと言った。



それなら、私が私を大好きになれば、似ているお母さんも大好きになるハズだ。



嫌いな人なんて、本当はいないんだ。世界は自分の中にあるんだ。



私はお母さんを愛するために、自分を愛そう。




世界を愛するために、自分を愛そう。




私の目が曇ったら、世界も濁って見えるんだ。





お母さん「 え?.....うん、あはは。ありがとう。 」



お母さんは思いもよらぬ私の言葉に、少し笑っていた。



そして少しだけ話しをして、私はすぐに電話を切った。




もう限界だった。

携帯をにぎりしめたまま、床にしゃがみこんで嗚咽した。



涙がとまらなかった。



私は生まれてから、愛されなかったことなんて、一度もなかったんだ....!


一瞬足りとも、愛されてない時なんてなかったんだ。




それは、自分の世界がひっくり返る出来事だった。




お母さん、おかあさん。

ごめんなさい。ありがとう。

許してね。


ありがとう。



ー愛してるよ



今までの記憶を洗い流してくれるように、涙は流れ続けた。

私は子供のように声をあげて泣いていた。




もうすっかり夕暮れだった。

部屋の外は、真っ赤な夕焼けが東京の街を染めていた。






人生の変化




それから、私の世界はガラリと変わった。



自分を愛せるようになってから、

いつも見える景色が本当に少し鮮やかになった。



嫌いな人や苦手な人が少なくなって、

あんなにいがみ合っていたお母さんは、大好きな人となってしまった。



そして、いつの間にか小さい頃の”色の世界”が戻ってきた。

またあのときみたいに音楽や人に、色がついて見えるようになったんだ。





世界は、本当に変えることができるんだ。

それはまず、自分を愛することだった。




そして、私の日常も大きく変わったことがあった。



それは、人から相談を受けることがとても増えたのだ。

増えたどころじゃない。



初めて会った人や、疎遠だった同級生、バイトの先輩、

なんで私に?という人から相談を受ける。



人の相談を徹夜で聞いて、

次の日違う人の相談に向かうということが連日続いた。



その内容は、最愛の人との死別や、DVや中絶など、

なかなかディープなものが多かった。



だけど、その人がどんなに泣いていても、

どんなに人生が最悪で壮絶な状況でも、



その人の持つ色は、変わらずとってもキレイだった。




そうか、人は一人ひとり、もともとキレイな色を持っているんだ。

もう100%なんだ。ただ、少し忘れてしまうだけなんだ。




何かになろうとするんじゃなくて、

本当の自分を思い出していけばいいだけなんだ。





その人の本当の色を話すと、みんな顔が輝いた。



本当の自分を知るのは、みんな嬉しいんだ。



子供の時のように、”そのままでいいよ”

みんな誰かにそう言ってほしかったんだ。





作家さんの言葉を思い出す。



『 もうまほちゃんは100%なんだよ。


  もしまほちゃんが100%だって認めたら、

  コップの水はあふれだすんだ。


  そして、溢れた分を周りの人にあげれるんだよ。』




自分のコップを思い浮かべる。

もう自分のコップは、30%なんかじゃなかった。

ちゃんと満タンに水が入って、こぼれようとしていた。




まほ
よし。私もまさが人生を変えるきっかけをくれたように、路上で返そう!




そして私は、路上に座って人の色を描くことにしたのだ。




終わりのはじまり




その日は、いつもと違って緊張していた。

それは記念すべき初めて”料金”をもらうと決めた日だったからだ。




「ソウルカラー」と名付けた”人の色を描く”仕事は、

アルバイトの空いた時間に、無料でやっていた。



だけど、無料だとあんまり人は来てくれない。

ちゃんと見てほしい人にだけ描こう!



そう決心して、今日から料金を設定することにしたのだ。

たった1000円だけど、私には大きいことだった。



すみません。これは何をやっているんですか?


すると背の高い、感じの良い男性が声をかけてくれた。


は、はい!


急いで「ソウルカラー」の説明する。



へぇ〜〜!面白いですね!よかったら、是非描いてもらえますか?



実は、一年前の今日、自分にとって特別な日だったんです。

今日も、もしかしたら何かあるかな?と思ってちょうど歩いてて。

これも何かの縁ですね!



えっ!ほんとですか?私は今日が初めてお金をもらって描く日なんです!




自分の記念すべき日と、彼の記念日が重なっているなんて、

その素敵な偶然が少し特別に感じた。



それはまるで前兆のようだった。



彼のソウルカラーを描かせてもらう。



そして初めてお金をいただいた。

500円玉2枚がとても重く貴重に感じる。



その男性もとても感動してくれた。



男性はお礼にと、缶コーヒーをプレゼントしてくれて、

道端に座って一緒に飲みながら話しをした。



まほちゃんは、何でソウルカラーをはじめたの?
何かきっかけはあるの?


彼からの質問だった。



まほ
う〜ん....。そうですね。
話すと長いんですけど...



そして、初対面の彼にこれまでの軌跡を話してみた。




けんちゃんと由紀夫との不思議な出会い

3.11から、自分のワクワクする人生を歩くと決めたこと。


そこから人生が大きく変わった。


卒業式にもらったアルケミスト。

もうあのときから半年以上たっていた。



そこから偶然という前兆をつたっていく。

アルケミストが思いもよらぬ場所まで私を連れてきてくれた。



まさとの出会い、作家さんとの出会い。

お母さんのこと。



もう何年も前のことかのように、遠い記憶に感じる。

あのときから、自分は随分変わったことに気づく。



話しながら、心が震えていた。



いつの間にか、私は自分の人生が好きになっていた。




一気に話してしまうと、男性は驚いた表情でこっちを見ていた。



は、ははは。本当におもしろいな.....。



驚いた顔のまま彼は笑っている。



その物語は、もしかしたら、
一周回ったのかもしれないよ。



まほ
えっ?




そう言うと、彼は自分の黒いリュックサックをガサガサと探った。



僕はね、実は出版関係の仕事をしているんだ。




大切な本があって、いつもそれだけ持ち歩いてるんだ...



そう言って彼はリュックから取り出した。



そう、それは、見慣れたあの表紙だった。



ー前兆に従ってゆきなさい。





僕も、大切な本なんだ。



彼が持っていたのはアルケミストだった。





今までの出会った人たちの顔が、場面が鮮明に流れていく。

出来事が走馬灯のように回り出す。



おかあさん   けんちゃん 

     由紀夫

 あべちゃん 

  まさ     作家さん


   自信がなかったこと

自分が嫌いだったこと       

  お母さんと分かり合えなかったこと


   自分を愛すると決めたこと.....




人生のいびつなピースが、すべてはまっていく。

すべて、ひとつ残らず、間違いではなかったんだ。



一体いくつの偶然が重なって今があるのだろう?

そして偶然はどこまでが偶然で、一体どこまでが奇跡と呼ぶのだろう?



ー前兆に従ってゆきなさい





少年は、いつもハッピーエンドだったんだ。




私の人生のたくさんの登場人物とたくさんの場面、

そしてすべての瞬間の選択は、人生のメッセージだった。



誰かが前兆を運んでくれる。今日見た本が次の地図をくれる。



手放すこと委ねることが、前兆を解く魔法だった。

自分を愛することが、世界を開く鍵だった。




世界はちゃんとみちしるべを置いてくれている。

自分が望めば、サインは必ずそこにあった。



本当は、世界もっと、やさしく、大きく、予想外の方法で

いつも私たちを愛してくれている。



今までのすべての瞬間が虹色になって、まるく1つに繋がった気がした。



長い長い、旅の終わりのようだった。

第一章が幕を閉じたのだ。





まほちゃん、次は何をするの?



アルケミストを持ったまま、その男性が尋ねる。




え、あっ、はい。


旅に出ます!




私はとっさにそう答えていた。

それは私の口からでた次の”前兆”だった。






そして数カ月後、見知らぬ国のチケットを、私は買っていた。

人生を変える大きな旅が、私を待っていた。


新しい人生の第2章が幕をあけた。





______________________

□長い文、読んでくださってありがとうございます

 伝えたいことがやっと書けました!!

 あと、お母さん、読んでくれて本当にありがとう。

 この長いストーリーも、ついに2,3話で終わりです。

 読んで良かったを押して頂けると、とても励みになります^^!


*双子の姉なっちゃん ①話 / ②話

*この話の①話

【あーすじぷしー earth gypsy】

今は双子で世界を旅しながら生きています^^!

是非繋がってください。HP / FB / Twitter

読んでよかった
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ありがとうございます。

ありがとう。                   私は10年間アルケミストに導かれて、自分もモロッコにたどり着き、あるケミストの中の王様のようなヒトに出会い、ジブンと向き合って、ジブンを掘り下げる作業をしてきました。そして今、私は わたし を生きています。読んでいてなぜか、涙が溢れてきました。それはうれしい涙です。私も自分の体験を表現していくことがジブンノ使命だと感じています。今とてもたくさんの偶然の一致が起きていて、ワクワクしています。素敵な前兆を、ありがとう。いつか巡り会えるのを、楽しみにしています。     Denma.

おかあさんとのこと、涙がでました。

前兆に従う という感覚は全く理解できます。事実だから。

ありがとうございます。

一気に読んでしまいました。年齢は倍ほど違うけど、私もまほちゃんと同じように、自分を愛すること、お母さんとの和解ということを最近プレゼントされました。今はマニラに住んでいます。

涙出ました。

お母さんとの気づきの場面では、一行読むごとに、号泣しながら読みました。心からどうもありがとう。

感動しました。応援しています。

すごくすてきな話、ありがとうございました。どんどん読んで、止まりませんでした。この回は、涙がいっぱい出ました。私も、マホさんと、似てるかもしれない。一卵性の双子の姉で、やっぱり、不思議な力があります。見えるもの、聞こえるもの、出会う人、起きること、全部がサインだと、7年ほど前に気づきました。なんだかとっても親近感です。ニューヨークに来られることがあれば、ぜひお会いしたいです❤️

Shono Maho

1987月4月24日生まれ。あーす・じぷしー/ソウルカラーアーティスト/作家 storyで書いていた話が本になりました! 「EARTH GYPSY(TOブックス)」(上のボタンでサイトに飛べます)。韓国版も出版されます。他「受け入れの法則(徳間書店)」

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Shono Maho

1987月4月24日生まれ。あーす・じぷしー/ソウルカラーアーティスト/作家 storyで書いていた話が本になりました! 「EARTH GYPSY(TOブックス)」(上のボタンでサイトに飛べます)。韓国版も出版されます。他「受け入れの法則(徳間書店)」

Shono Maho

1987月4月24日生まれ。あーす・じぷしー/ソウルカラーアーティスト/作家 storyで書いていた話が本になりました! 「EARTH GYPSY(TOブックス)」(上のボタンでサイトに飛べます)。韓国版も出版されます。他「受け入れの法則(徳間書店)」

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