ナイジェリア人の旦那の為にアメリカの警察と戦った勇敢なる日本人妻

ある日の朝方3時半頃に車の警報が鳴り始めた。ナイジェリア人の旦那は自分の車の警報だと気付くとベッドから飛び起きた。するとなんとベランダの真下に駐車してある愛車から怪しい男がスピーカーを盗もうとしていたのだ!


旦那は直ぐに警察に電話をかけた後犯人を捕まえようと思ったのかアパートから飛び出て行った。私は当時3歳の息子が眠っていたので警察もくるし大丈夫だろうと様子を見守っていた。


しばらくすると警察が来た。そして何がどうなったのか警察は黒人の旦那に怒鳴っている。その怒鳴り声が異様で身の危険を感じたので3歳の息子をたたき起こし私もその現場に駆けつけた。


警察は「なんでこんなくだらない事で俺たちを呼んだんだ!お前が犯人だろ!」などと訳の分からない事を旦那に向かって怒鳴りちらしていた。


私はとにかく震えて怖がっている巨体な旦那を守ろうと銃を持った警察の前に立ち恐れもせずに怒鳴り返した。


「なぜ主人を疑っているのですか?数週間前にも同じ事件がこのアパートの駐車場でありました。なぜ犯人を追いかけないのですか」とにかく必死に訴えた。


警察は怖がっている旦那を鼻で笑っていた。



私はその時程人間の汚さに嫌気がさした瞬間はない。


そう、これは正しく人種差別!


旦那曰く彼はナイジェリア人でアフリカ系アメリカ人、黒人ではないとい主張しているが周りからは勿論黒人と差別される。


アメリカに住む黒人にも差別される彼。それは彼の発音が違うから、教養が高いから、そして白人にも勿論差別される。私は今まで黒人の方と付き合った事はなかったのでアメリカには長く住んでいるが人種差別はあまり体験していなかった。でも5年間の付き合いの中で何度も彼に対する人種差別を目の当たりにして来た。


ナイジェリアではヨルバ族、イボ族、ハウサ族など色んな民族があって民族間の差別が酷いそうで旦那はイボ族だがヨルバ族の先生にいじめられたりして彼曰く同じ肌の色でも差別問題が根強いので肌の色が違ったらそれはもっと酷になるよ、といつも言っているが私には今一別世界でどこまで人種差別が酷いのかあまりピンとこなかった。



でもその夜、警察がしていた旦那に対する人種差別はあからさまでその瞬間の恐怖といったら背筋に寒気が走るのとは違う感覚だった。


何かが自分の中で死んだ様な感覚。血の気が引いた後に沸点を越える程の熱い血が恐怖と絶望と怒りと共に体内を津波のごとく押し寄せる感覚と説明したら理解して頂けるであろうか。



警察2人組はきっとこの黒人に日本人妻と子供がいてまさか小柄な日本人女性が自分の前に開かって怒鳴り返すとは予想していなかったであろう。中年の太った警官はアジア人女性と子供の前で黒人を虐められなくなってがっかりした様子だった。



旦那は巨体だが小心。そして彼は本当に恐怖に怯えていた。



でも警察はそれを完全にコケにしていた。そして旦那がここからもう引っ越したいと言うと警察は「THEN MOVE! じゃあ引っ越せ!」と怒鳴ってきた。


私はまた警察に怒鳴り返し「頭金もいるし簡単に引っ越せるものではないです!」と言い返すと「このアパートの家賃は安くないだろ!」とまた怒鳴ってきた。


なんだこのオヤジ!!


911で警察を呼んだのに犯人を捕まえるのではなく人種差別という先入観を使って被害者を捕まえようとしてる。


税金を払っているのは私達そしてその税金であなた達の給料が支払われてあなた達の家族が養われている。私達には肌の色に関係なく警察から守られる権利がある。


そんな単純なことも理解出来ていない。


本当に情けなくなった。



そして私は次の日から形相を変えこの一件に対して戦った。



そして同時期にミゾウリ州のファーガソンでただ道を歩いていた黒人少年マイケルブラウン君が警察に銃殺され暴動が起こった。そしてニューヨークではコンビニから出て来た黒人のおじいさんエリックガーナーさんが警察にリンチされ殺された。


日本に一緒に来た事のある黒人の友達はパトカーに引き込まれ虐めを受けた。

義理弟は家の敷地内にいた時警察が来て突然捕まえるぞ調査すると脅された。


スピードは出してないのに黒人だからと行って捕まるのをWBB (Wile Being Black黒人であるから)という。警察からの人種差別が酷いのは聞いてはいたがここまで酷かったのは本当に旦那と付き合うようになってから知った。WBBのスピードチケットを撤回してもらうように旦那と何度一緒に法廷に足を運んだ事か。


私は12年間アメリカの少年院で音楽を教える非営利団体の代表として働いて来たコネクションと知識と交渉の技がある。私は様々な団体にこの件を訴えた。


白人の友達は言う。黒人差別に対して訴える際意見を聞いてもらえるは黒人以外の人種が訴えた時のみだと。

私は黒人ではないのでこ特権を有効に使いまずは住んでいる住んでいる市の政治家をまとめる理事の理事会長に訴えた。(政治家は駄目。政治家をまとめている理事のその理事会長に最も権限がある。)そしてマサチューセッツ州の弁護士機関代表に訴えた。人種差別防止に努める代表的な団体ACLUにも訴えた。そして某大学の犯罪学専門の教授兼弁護士にも訴えた。


これは私がアメリカの少年院という特別な場所で働いて来て得た個人的な知識だがこういった民衆からの個人的な苦情はただ一機関(そしてそれが加害者であれば特に)だけに訴えても全く返事は来ないし何も変わらない。四方八方からでも圧力をかけないと取り合ってくれないのを体験から知っている。


そろそろ各機関からプレッシャーが掛かっているだろうと予測した数日後に住んでいる市の警察署長に直接訴えた。


そしてやはり特に市の理事会からのプレッシャーが掛かっていた様子で警察署長にメールするとその訳数時間後に電話とメールが来た。


アメリカの機関はここまでしないと動かないのが現状。


私は知っている。


署長は一人の課長を今回の苦情に対する調査担当として指名してくれた。


直後州の弁護機関代表から連絡があった。そして事情を説明すると警察の方から何も連絡がなかったらこちらから連絡すると力強い返答を頂いた。


その数日後担当の課長から連絡があり直談判へのアポイントが取れた。


夜9時にのアポイントメントに私は警察に一人で乗り込みテレビで観る犯人が収容され尋問される部屋に通された。課長は銃を持っている。部屋も個室なので私がここで殺されてもだれも気付かないだろう。でもそれは運命。それより大切な物がある。それは息子の将来。


今旦那が受けている人種差別を阻止するのは勿論だが息子が大きくなって同じ目に遭遇しないように訴えるは母親の使命。


課長には色々尋問された。


そして何より憤慨したのはこの苦情のどこが人種差別なのか例えばブラザーとかニガーとか直接的黒人差別用語は言っていない。そしてあの夜私達に失礼な態度をとった警察はこんな事はなかったと言っていると課長に言われた。まあ、あんなに汚い人間だったから自分の失態も認められないのは予想が着く。そして警察も人種差別を認めたら大事件になる。


でも私は負けずに訴えた。


「あなた方が人種差別にしたくないという理由は十分承知しています。腑に落ちませんがしょうがない。人種差別だったと言いたくないなら構いません。そちらにも守るものもあるでしょうしご都合もあるのでしょう。でも無礼な態度はどうでしょうか。人間としてのマナーはどこにいったのですか?どうして被害者を怒鳴る事が正当化されるのでしょう?どこに正義があるのですか?」などと腰に存在感が十分な銃を身につけた警察課長に堂々と尋問した。


課長は続けた「あなたはどんな結果を望んでいますか」


私は「あなたの警察署にはトレーニングが必要です。そのトレーニングとは人を人として敬意を持って扱う事、怒鳴らない事、被害者を疑わない事、そしてどんな肌の色をしていようともキチンと事情聴取をして人間として丁寧に扱いうことをお願いします。そして犯人を捕まえること。その二つの項目の遂行をお願いします」とキッパリ主張した。


大の大人しかも正義を訴える警察なのに自分でこんなことを言っていて恥ずかしくなってきた。なんでこんな基本も分からないのだろう、、、と。


翌日なんと警察が大きなトラックで自宅に来た。そこで車の事件には大変稀である指紋採取が行われた。犯人は沢山の指紋を残していた。


残念ながら結局犯人が捕まることはなかった。


そして課長は旦那にも事情聴取をしたいと言ってきたが旦那は警察は怖いといって断固として課長には会わないと言っていた。


その数週間後警察署長と課長からメールがあった。


調査結果


人種差別の苦情→証拠不十分で却下

無礼さに対する苦情→証拠不十分で却下


そう。これがメディアでは報道されないアメリカの現状。


旦那は知っていた。


そして私も心のどこかで分かっていた。


私の小さな小さな力では何も変わらないと、、、。


でもそれは違う。


結果はともあれ、実際失礼だった警官は課長と署長に嘘をついたとしても尋問された。

もしも何も訴えていなかったらその警官はきっとこれからも何人もの黒人の被害者に同じ事をするであろう。


きっと次に黒人の被害者に怒鳴ろうとした際はもしかしたら日本人のあの小柄で頑固な女性がどこかに隠れているかもしれない!と思って怒鳴るのを躊躇するかもしれない。



そして警察署長ではきっと噂になっただろう。



変な日本人女性が四方八方の様々な機関から訴えて来ているどうしたんだろう、と。



結果に対する返事を署長に連絡をした。ここが日本人妻のスマートな特権。


「署長へ、今回の苦情に対し迅速な対応と処置に感銘を受けました。結果に対しては不満ですがあなたのして下さった行動には感謝しておりその旨州弁護機関にも報告済です」


と労っておいた。


そう。これからもこの市に住むのだから警察を怒らせてはいけない。

全ては丸く納める。でも的を射た訴えは彼らの良心に響かせる。


日本人妻として当然の行動です。


とても良い勉強になりました。


ナイジェリア人との国際結婚ブログ


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