満月の海、生まれたままの姿で・・・

山羊座の満月。 ひとり、月明かりの海へ出かけた。 ゴウゴウと波音が響き、 黒い壁となってそそり立つ波があの世との境のように感じる。 すごく恐怖だった・・・

その黒い波が立ち上がったものが青く光る瞬間・・・ 幻想的なその光は信じられない最高のギフト。 そう、ウミホタルたちのパフォーマンス。

マントラの声を響かせ、 自分の身体がそこにあることを意識できると 少し気持ちが楽になりはじめた。

携帯の電話が鳴り、 魂の友達が近くまで来てくれてることにすごく救われる。 彼女が一緒にいてくれることが用意されていたなんて。

わたしが発するマントラに彼女の声も重なり、 宇宙に広がっていくと波の音が消えてなくなる瞬間・・・ 気が付けば波は柔らかな表情へと変わり、 月を覆っていた雲がぬぐい去られた。

なんてうつくしいせかいだろう・・・

恐怖は身体からはなれ、 身につけているものをすべて脱ぎ去り、 ニンフのような自分のシルエットを思い描きながら 波間へ走り込んだ。

ドキドキする黒い海に、自分の身体が融け合っていく。 海に浮かび大の字になって空を仰ぐ。

波に揉まれて水中から目に入った金色の月。

気が付けば彼女も海の中。 魚のように波と戯れては、わたしたちは抱き合い、 また波間に埋もれていく・・・

生まれたままの姿で砂浜を駆け、 踊り、抱き合い、大笑いし、走り回った。

「無人島にいるみたい。」

冷えた身体を海から離し、 布に包まれた身体にぬくもりがかえってくるのを感じると、 信じられないくらいの安心感に満たされていた。

間違いようのない幸せな瞬間・・・ すべてが用意されている。

とてつもなくうつくしいせかい・・・

あ〜、なんていうことを神様はしてくれるのでしょう。

銀色の光を放つ水銀のような波のゆらめきと、 彼女の舞う姿が遠くに重なり、 この世のものではない世界を見せてくれてた。

涙が込み上げ、胸が熱くなる。

そして、声を張り上げて大笑い。

「生きる世界はなんて素晴らしいんだろうね。」

すっかりとベクトルが変わったんだ。 なんて素晴らしい月夜の物語。

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