新幹線の思い出
今となっては仕事で数えきれないくらい乗る新幹線だけど、それはまだ実家(東海地方)に住んでいて、趣味の観劇で東京と往復していたころの話。
品川駅はできていたと思うから、10年よりは前だけど15年前にはならない頃の話だと思う。
その日も観劇を終えて、新幹線で家に帰るところだった。20時くらいじゃなかったかな。
東京駅を出発して、ぼんやりと窓の外を見ていたら、並走する在来線のドアのところにこっちに向かって手を振っている男の子の姿が見えた。たぶん、小学生くらい??お母さんと二人で乗っていて、新幹線が珍しいのか、こっちから見てもわかるくらいうれしそうに手を振っていた。
なんか、その姿がすごいかわいくて、思わず手を振りかえしていたんだよね。
そうしたら、目があった。
まさか、って思ったけど、ちゃんと目があって、こっちに向かって手を振ってるのがわかった。うれしくなって手を振りかえして、向こうもそれに返してくれて。そうしたら次にじゃんけんが始まった。
実際には短い時間だったと思うんだけど、二人で何度も何度もじゃんけんして、そうこうしているうちに新幹線の線路と在来線の線路が離れてしまうポイントに来てしまった。
だんだんお互いの距離が離れて行って、名残惜しいなて思いながら手を振って「バイバイ」した。
そして、品川駅到着。
短い停車時間の後、新幹線が動き出す。
向こうの電車の停車時間との差もあるし、もう会えないよね。て思いながら外を見ると彼のの乗っている在来線がまた近くを走っていた。
もしかしたら!て思って、彼を探した。
そしたら、彼もこっちを探していてくれていた。
また、目があって、手を振って。
今度はじゃんけんするまでの時間はなかったけど、いっぱいいっぱい手を振った。
彼のお母さんも、こっちに向かって小さく会釈してくれた。
お互いに離れていく電車を見送って、見えなくなるまで手を振っていた。
今でも、二人掛けの窓際に座るとその時のことを思い出す。
新幹線と在来線が並走するのって結構レアな確立なんだと知ったのは、割と最近です。
著者のIwabuchi Sakaeさんに人生相談を申込む
著者のIwabuchi Sakaeさんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます