オーストラリア留学中にネット中傷被害に合い、裁判を起こした話(6)

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とりあえず警察が対応してくれそうな様子だったこと、26日の夜以降は新たに嫌がらせを受けていなかったので、少しは不安感が薄らいでいたのだと思う。


だが、それも長くは続かなかった。


朝6時前だというのに、私の携帯電話が鳴ったのだ。


知らない番号だった。そして、電話の数分後、携帯にメールが届いた。

"Good morning! How are you?"


嫌な予感がした。


私はその知らない人物からのメールに返信した。

(※以下英語が文法的に間違っている箇所がありますが、原文のまま載せています。連絡を取って来た人物も英語ネイティブではなかったのでしょう。)

Who are you? Where did you find this number?
(あなたは誰ですか?どこでこの番号を見つけましたか?)

すぐに返信があった。


"It's Ricky from Asian dating…You email me your number."
(Asian datingのRickyだよ。君が僕に番号をemailで送ってくれたじゃないか…)

-----------------------------!!!!!!!

Asian datingというのは明らかに出会い系サイトの名前のようだった。しかも、アジア人女性専門の・・・。DeanaはFacebookだけではなく、出会い系サイトにまで私の偽プロフィールを作成し、私のふりをしてこのRickyという男に連絡を取っていたのだ。


そして、すぐに再び私の携帯電話が鳴った。


怖かった。本当に怖かった。


勝手に私の知らないところで私の名前を語り、見知らぬ男に連絡を取り、そしてその男は私が必死で男探しをしている日本人留学生だと思って連絡を取ろうとしているのだ。

本当に怖かった。言葉では言い表せないくらい恐怖を感じた。だがその一方で、この人物から出会い系サイト上の私の偽アカウントの詳細を聞き出せるのではと思った。


私は着信を無視して、Rickyにどのウェブサイトで私を見つけたのかメールで聞いた。


Rickyからはまたすぐに返信が来た。


私の偽アカウントが作られていたのは、Asiandating.comhttp://www.asiandating.com/)という出会い系サイトだった。


私が電話に出ないので、Rickyは次々とメールを送ってきた。


"You email me your number…You asked me to call you…are you Mimi?26 years old Japanese girl?"君が僕に携帯番号をメールしたんじゃないか・・・それで、僕から君に電話して欲しいって。君はMimiなんだよね?26歳の日本人女性だよね?)


名前が微妙に間違っており、年齢も私の実年齢では無かった。26歳というのは当時のDeanaの年齢だ。アイも26歳だったということもあり、おそらくDeanaは私も同い年だと勝手に思い込んでいたのだろう。


私はRickyにもっと詳細を伝えるよう促した。


"It's Asian dating website I receive email from in Asian Dating account…so I text you…Is it ok??? If you don't like me then I am sorry…"
(アジア系専門の出会い系サイトだよ。そこでメールを受け取ったから、だから君にメールしたんだけど、それで合ってる???もし僕のことが好きじゃないなら、ごめん・・・)


"I am Ricky xxx (※Rickyの苗字のようでしたが、本名だとまずいのでここでは隠しました。)I have account there…I email Mimi…Who is 26 yrs old Japanese student…Working in queen Victoria market…Sorry if you do not like me…"
(僕はRicky xxx. Asiandating.comのアカウントを持ってる・・・Mimiっていう26歳のビクトリアマーケットで働いている日本人学生にメールしたんだ。僕のこと好きじゃないならごめん・・・)


名前こそ間違っていたものの、私の偽アカウントがアジア系女性専門の出会い系サイトに作成されており、そこで個人情報が晒されていることは確実だった。


Deanaがやったに違いなかった。


私は日本でもオーストラリアでも出会い系サイトを利用したことはない。

Facebookとは異なり、偽アカウントをすぐに自分の目で確認することもできない・・・

そんなことしたくは無かったが、自分でアカウントを新たに作り、偽アカウントを探さなければいけない。そんなことをしてる時間なんて無いというのに・・・


その日ももちろん、学校はあった。昨日午後の授業を休んでしまったので、その日は何としてでも行こうと思っていた。それなのに、また新たな問題が判明して、私はすっかり落ち込んでしまった。


数日前までのやる気は一体どこへ行ってしまったのか、オーストラリア最後の年だから頑張ろうという気持ちは何だったのか…


もう学校なんてどうでもいい、すぐに警察に行って何が起きているのかを訴えたい。


捜査を早急に進めてほしい。


とにかく一刻も早く、偽アカウントを使った中傷を止めてほしい、Deanaを止めてほしい。


頭の中はそれでいっぱいだった。


他のことを考える余裕なんて、全くなかった。


私が今でも気持ちの整理ができていない理由の一つは、この時の自分の行動に後悔しているからなのかもしれない。事情があったとはいえ、あんなにやる気だった、貴重なチャンスだった海外でグラフィックデザインを学ぶという機会を自ら放棄したも同然なのだから。


私は、怒りのあまり自分の気持ちをFacebookに投稿した。


前々日からの偽アカウント発覚からの流れで、多くの友人は私の言動に注目していたようですぐに何人からか返答があった。その一人は、チェルシーだった。


返答の多くは、警察に報告したのだから今は冷静になって待つように、26日以降特に新たな嫌がらせは無かったのだから今は落ち着くようにという内容だった。


チェルシーもそのように答えていた。


何もしらないくせに・・・冷静になれって、そんなこと言えるのはお前らが当事者じゃないからだろ・・・私がどんな気持ちなのか、お前らにわかるのか。


今振り返ると、この時から私の気持ちに変化があった。


友人が何を言っても、素直に受け取れなくなり、どんどん卑屈になっていった。そして、日に日にこの気持ちは強くなり、その後嫌がらせが終わった後も私はこの自分自身の気持ちに長い間苦しめられることになった。

冷静になれって・・・出会い系サイトにまで偽物のプロフィールを作られて、変な男から電話はかかってくるわで、こんな状況で冷静になれって!?

私はFacebookで、友人たちの返答にそう返した。


チェルシーが反応した。彼女は一言、こうコメントした。

チェルシー
c●nt

この言葉、Fxxk とは違い、日本ではあまりなじみがないだろう。私もオーストラリアにいる間に知ったのだが、Fxxkを超えるこれでもかってくらい最低の口に出せないような汚い言葉だそうだ。(女性器を指す意味もあるが、この場合訳すとしたら"死ぬほど嫌な奴"といったところかもしれない)


この時、チェルシーはDeanaにぶち切れていた。


前日、チェルシーは私の言ってることに共感できないと言った。だが、さすがに彼女もまさかDeanaが出会い系サイトを使ってまで嫌がらせをしているとは予想していなかったのだろう。そして、その出会い系サイトはアジア人女性に特化したサイトだ。香港出身のチェルシーは、私だけではなく、アジア人女性全体に対するDeanaの悪意を感じ取っていたのかもしれない。


私はチェルシーに、この件を早急に警察へ報告したいので、今日の午前中にもう一度警察へ行くと伝えた。チェルシーは一緒についていくと言ってくれた。


前にも書いたが、当時の私には英語で警察官と電話越しに話す自信が無かったのだ。また、不安でいっぱいで、学校が終わるまで待ってなどいられなかった。その日も授業を休み、警察へ行くことにしたのだ。


チェルシーとは警察署の近くのGloria Jeans(スタバのようなコーヒーショップ)で合流することにして、私は家を出た。


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