福岡から歩いて日本を一周する間に出会った人や出来事のお話
そんなことを考えていた。
5:野宿ってなんだ
さて山口県下関市に着いた訳だが、これからが重要。
今日こそ野宿場所を探さないといけないからだ。
事前に調べた情報だと公園、神社、道の駅などがいいらしい。
しかし周りに公園もなければ道の駅もなかった。神社はあるけどどうも小綺麗にしている神社で野宿が出来る雰囲気ではない。
とりあえず下関港周辺を歩いてみる。
唐戸市場だ…。
ここなら営業が終わった後に野宿できるんじゃないか?
そうして営業が終わるのを待ち、町が暗くなったのを見計らって軒下の地べたに寝袋を広げた。
これが野宿かぁ…。
自分でも不思議なくらい充実感に溢れていた。
旅ってこういう事なんだな!
と勝手にワクワクしていた。
しかし寝袋に入ったものの時間は21時を過ぎたあたりで、全く眠れない。
普段夜更かしばかりの生活だったので当たり前と言えば当たり前だが。
「うわ!こんなとこで寝てる!」
!?
う!市場の人だ!まだ中にいたのか!!
「よくやるよなー、ホームレスか?」
そう言って数人の市場関係者は僕に立退きを命ずる事もなく去って行った。
よかった…。
でも確かにホームレスだなこれじゃ…。
明日は野宿場所大丈夫かな…。
そんな不安を頭に巡らせていると何時の間にか眠りへと落ちていっていた。
6:当たり前の出来事に気付くと言うこと
三日目の朝、まだ日も登らない時間市場にやってくる軽トラックの音で目が覚めた。
早く移動しないとここも営業が始まってしまう。
急いで仕度をしてまだ開ききらない目蓋を擦りながら歩きだした。
暫くすると歩いていると進行方向から太陽が登りだした。
はぁー…。
日の出なんていつぶりに見たっけ?綺麗だなぁ…。
徐々に明るくなっていく風景が何故か神秘的でこんな当たり前の素晴らしさも忘れていたのかと思った。
ちなみにこの時大雑把ではあるが太平洋側を北上し、そして日本海側から南下する予定にした。
全都道府県を周る!できれば!
その意気込みだけが自分のモチベーションだった。
いや、それで充分だった。
7:初の旅人との出会い
山口市の国道を歩いていると向かい側からバッグパックを背負った二人がやってきた。
「こんにちはー」
「こんにちは!旅されてるんですか?」
近くに来てわかったけど、この二人結構ご年配でしかも夫婦で歩いてるようだ。
「お兄さんどちらから?」
「僕は福岡を出発したばかりで、今から日本を一周しようと思ってます」
「えー!?それは凄いわ!私達はね兵庫県から歩いて来たの、今から九州を周ってから帰るつもりなのよ」
いやいや、俺より凄いじゃないですか(笑)
なんと奥さんが65歳、旦那さんは70歳ときたものだ。もう脱帽ものである。
でも奥さんがいたく僕の旅に感動してくださって、餞別を渡してくれた。
「おばちゃん貴方の行動力に感動したから!これで美味しい物食べて!」
何度も断ったけど、無理矢理手の中に握らされたので、有難くいただくことにした。
そして初めて連絡先を交換し、お別れした。
旅先で旅人と出会って連絡先を教えるってなんか凄いなぁ…。
また繋がりがあるといいな。
そこから出会いの素晴らしさを知っていくようになった。
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