空を飛ぶことをやめてから。♯1

心地の良い高揚感と内定通知

 もうずいぶんと時間が経ってしまった。

この話をするにはほんの少しの覚悟とほんの少しの勇気と、そして場所が必要だった。

あれから2年と少し。今の自分がこうやって文章を打っていることが今でも不思議に思う。

 2010年4月11日。確かにあの日、僕の携帯は品川のつばめグリルで鳴り、僕は泣いた。

そのときの涙はうれし涙だった。「おめでとうございます。最終選考を合格にし、内定になりました。」人事と名乗る男性は、確かに、確かにそう僕に話した。目の前のハンバーグの味を数秒前まで覚えていたはずだったのに、味覚という感覚が無くなり、聴力に一気に集中したような、そんな感覚だった。

 受かった。12月から続いた選考に僕は受かったのだ。その後、どのようなことが起こるかさえ全く想像もせず、僕は、ただただ目の前にいるいとこと抱き合い、親に電話をした。そのとき、僕が発した言葉を今でも覚えているし、少しだけこの言葉は後に後悔することになる。

「母さん、息子が。。元キャビンアテンダントの息子がパイロットになると言ったらどう思う?」

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