話題が全部尋問。自分の条件に合うのか取り調べするんじゃないっ!ー出会いの機会大損害の巻ー

次話: 割り勘をやめさせる女は、手土産の極意とタイミングを知っている

婚活で、ほぼ100%盛り上がらない話題がある。けれども、放っておくと婚活中の人たちが全員やらかしてしまう話題である。しかも、その話題は婚活中の人たちが、「やらなきゃいけないもの」だと思い込んでいたりする。


まるで禁断の果実のような話題とは・・・。

それは、「自分の条件を中心とした話題」である。


といってもわかりにくいので、具体的なお話をこれからしよう。

まもなく40歳の大台を迎えようとしていたアラフォー女性の話をする。婚活歴はなんと15年。人生の3分の1以上を婚活に費やしてしまった超ベテランである。

お見合いの席での話題は次のようなものだった。


アラフォー女性
私は結婚したら子どもがすぐに欲しいので、仕事をやめようと思っています。
お見合い相手
は、はぁ・・・。



初対面で、子どもが欲しいかどうかの意思表示をしてしまうのだ。

これは、自分が結婚したら仕事をやめるという条件をまず飲んでくれるかどうかを相手にぶつけているのだ。


この通り、男性のほうは、

まだ初対面なのに、子どもの話・・・


とついていけず、リアクションも短くなり、次の話題が浮かばなくなる。


子どもの話の他にも、

勤続はどれぐらいですか。
役職はどうなっていますか
ご両親はご健康ですか(介護状態にないか探っている)


などもあげられる。


彼の仕事やご両親の情報については、もちろん結婚する前に知っておかなければならないことだ。必須だと言える。しかし初対面でこれらの話題をしてしまうと、男性は自分の個人情報を尋問されている状態になって、体が硬くなり、次の話題を展開できなくなる。


そうすると、悪循環が起こる。

男性が話をしてくれないわっ。それなら私がどんどん質問をして沈黙を破ろう


こうして女性が聞きたいことだけを一方的に聞きまくる質問タイムが始まる。

男性はげんなりである。


女性は

婚活中の男性って内向的で困るわ。いい男はどこにいるのかしら?



と思う。自分のせいでこんな空気になっていることに気がつかない。


出会っている二人の会話を結婚相談所の人間がずっと聞いているわけではない。だから会話の展開についてのアドバイスというのは非常にやりにくい。

しかも、上手くいかない方法で、10年以上引っ張っている人たちは相当頑固だ。このやり方が間違っていると疑っていないんだから。


しかし、10年も正しいと信じ続けることにはやっぱり理由があるのだ。

40歳も間近になった彼女は、次のように言った。

だって、聞く以外に、彼から情報をどうやって仕入れることが出来るんですか。
えっ。そもそもお見合いは情報収集の場ではありませんよ。
情報収集の場ではない?じゃあ、情報収集の場ってどこなんですか?
プロフィールの情報は私たちに質問をしてください。私たちが情報収集の場だと思って下さい。
そうなんですか。結婚相談所の人にうざいと思われるのが嫌だから、自分でやらなきゃいけないって思っていたんですよ。


このように、婚活が10年を超えてしまう人たちは、真面目な人が多い。婚活に10年もお金を支払い続けられているということは親がお金を払っていない限り、通常社会人としてもちゃんとしている。思いやりもあるし、人に迷惑をかけてはいけないというモラルもしっかりしている。

 一方で、真面目すぎて他人に助けを求めるのが苦手で、なんでも自分で頑張ってしまうことも多い。結婚相談所にとっては、お見合いもポンポン受けてくれるし、手も煩わされないので、とてもいいお客様だ。しかし彼女たちの人生を考えると、とてもマイナスだ。こちらに手間がかかったとしても手助けをしなければいけない。


私は続けた。

心配なことは何でも聞いてくれて構いません。私も『これをなぜ聞くのだろう』と疑問に思ったら質問をするかもしれません。そうすると、お客様が何を求めていらっしゃるのかについて理解しやすくなります。お互いにとっていいことだと思います。



こうして、彼女は不安に思ったことがあれば、私のほうに聞くようになった。まるで10年の苦労が嘘のように、あっさりと結婚が決まった。


彼女が結婚の挨拶に来た。

おかげさまで30代のうちに婚活を終えることが出来ました。しかし、質問をどうして彼ではなくて大西さんにしまくったほうが結婚が決まったのかが未だによくわかっていなかったりします。
ああ、それはですね。すごく簡単なことなんです。



私は次のような話をした。

お見合いの場所というのは、情報収集の場ではないというお話は、以前しましたよね?
はい、そうですね。
なぜ情報収集をしてはいけないのかというと、男性に誤解をされてしまうからです。
えっ、誤解?!今まで私は誤解をされ続けていたということですか!
一概には言えないですが、おそらくそうかと。何を誤解されているのかというと、

『この人はただ結婚に焦っていて人柄じゃなくて、仕事とか親のこととかそういうことばっかり見る人なんだ。』

と思われてしまうことです。


彼女は目を丸くした。全く想像もしていなかったようだ。

結婚に焦っていたのはあたっていますが、私は仕事や相手の親の健康だけで結婚を判断したりはしません。
でもそう思われてしまうのです。あなたが質問をする動機は、不安からだと思います。だから不安を解消するために聞く質問が、相手にドン引きさせていたということです。だから、『条件バッチリ』とあなたが思った頃には、相手は『こんな尋問する女との結婚はないわ』と思われていたわけです。
ええっ!?質問のせいで、条件が合致していけば行くほど、相手の心が離れていくんですかっ!!!
そういうことです。


お見合いで質問をする動機が自分の不安ということは、話題自体が「自分本位」な話題になってしまう。

だから相手は「この人は自己中心的だ」と悪印象を持ってしまう。悪印象を持たれると、もう相手から話題の提供はない。


これを、「最近の男性は草食だから」と片付ける人がいる。一番やめて欲しい間違いだ。男性は草食なのではない。その人に興味がわかなかった。ただそれだけなのだ。


彼女はふと疑問がわいたようだった。

大西さん。質問してもいいですか。
はい、どうぞどうぞ。
私の場合は、結婚相談所での出会いだったので、質問を大西さんに出来たでしょ。でも出会いが結婚相談所以外だった場合は、どうしたらいいのですか?
そうですね。友達の紹介だった時は、友達に質問すると、『何この人?!』と嫌われる危険性がありますね。
あっ、それ私にもありました。何故か疎遠になってしまったりしました。
うっ、やらかしていたのですね。そうなんです。友達はダメですね。友達の紹介の場合は、情報収集を諦めることが大事ですね。


彼女は、びっくりした。

えー、じゃあ交際後とんでもない現実が発覚するリスクもあるってことですよね。
正直言ってありますね。でも友達の紹介ってお金がかからないじゃないですか。コストかけてないんだから、それぐらいのリスクはお金のかわりにとらなきゃいけないですよね。
言っていることはわかるのですが…。でもなんとかなりませんかね。
そうですね、結婚相談所以外での出会いの場合は、詳しいプロフィールを持っている他人がいないので、本人に聞くしかありませんよね。
やっぱり、本人になりますよね。でも、本人に聞いたら嫌われるんですよね。
実は、タイミングがあるんですよね。


結婚相談所以外の出会いの場合の情報収集は、尋問という形をとれない。

ならば、尋問にならないようにしなければならない。

実は、同じことを聞いても尋問にはならないタイミングというのが2つあります。
同じことを聞いてもですか?!
そうなんです。それは、『交際を申し込まれた時』と、『プロポーズをされた時』です。
へぇぇぇ!しかし尋問にならないのはどうしてですか?
この2つのタイミングは、相手の気持ちが前のめりになっている瞬間なのです。だから、だいたいの要望が通るんです。男性は女性が自分のものになったと思ったら怠慢になる人が多い。だけれども、この2つのタイミングは働き蜂モードですね。女王蟻の言うことならなんでも聴きますっていう状態になるんです。そこで、『私もあなたのことが好き』って言ってしまうんですよ。嘘はダメですよ。本当に好きならば。
それのどこが女王蟻なんですか?
実は、続きがあるんです。『あなたのことが好きだからこそ、これからのことを考えるからこそ、どうしても確かめておきたいことがあるんだけれどもいい?』と切り出すんです。ここで質問をしまくるんです。男性は、自分のものにしたいと思っているから誠実に質問に答えてくれます。
なーるーほどーーーー!!!!確かにプロポーズだってそうですよね。婚約指輪とか買ってたらその分コストがかかっていますしね。
そーなんですよ。セコい話なんだけれども、人間ってかかったコスト分は回収しようという本能が働くから、この時の男性は『お嫁さんになってもらえるなら何でも答えます』っていう前のめり状態になってるんですよね。
うわー、大西さん策士ですね。この方法は男性に知られたくないですねっ。


こんな話をした後に、私は一つ思い出したことがある。それはひよこさんから交際を申し込まれた時のことだ。

ひよこさん
どんなことでも受け止めるから、今まで人生で起こった重要なこと、それと君が今現在課題に感じていることを全部話してくれ

と言っていた。

どんだけ私が不都合なものを抱えた人間に見えたのだろうか。付き合うことに相当な覚悟をさせたのだと今頃気づくのだった。




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