スーパー繊細おタッチング女子

近所のスーパーに、

とても興味深い女性がいる。

彼女はレジ係の人だ。

メガネが可愛らしくて、

言葉遣いがとても丁寧で、

周囲の人間と余計なおしゃべりをしない口数の少なさと、

上品な雰囲気がGOOD。

そして、

何よりも特筆すべきは、

商品を扱うときの、

「手つき」

これが何て言葉にすればいいのか、

こちらが恐縮してしまうほどに、

すわ〜っていうか、

そわ〜っていうか、

すぅ〜って感じの、

それはまるで超薄ぅ〜いガラスに触れるような、

「スーパー繊細おタッチング女子」なのだ。

僕が買い物カゴを持っていくと、

彼女が優しく声をかけてくる。

「いらっしゃいませ」

僕は財布からポイントカードを取り出して、

彼女に向かって差し出す。

「ありがとうございます。カードをお預かりします」

彼女の繊細おハンドが、

ついに現れた。

僕が差し出したカードに、

すぅ〜っと伸びてくる。

おハンドが、

カードに触れる。

……ん!?

いま、触れたか!?

そう驚いたのも束の間、

彼女は繊細な手つきでサラリと、

目の前のマシンでカードをスキャン。

「ありがとうございます。カードをお返しします」

そして、

そわ〜っと帰ってくるカード。

そして、

なぜか感じる罪悪感。

こんな俺が、

四六時中スケベなことしか考えていないこんな俺が、

あなたのレジに来てしまって、

どうもすみませんでした。

商品のバーコードを次々とスキャニングする彼女の姿を眺めながら、

思わず心の中で謝罪していることに、

ふと気づく。

会計が済んだカゴの中には、

「半額」

と書かれたシールのついたお惣菜が、

何点も入っている。

閉店間際に繰り広げられる割引品争奪戦の、

戦利品たちだ。

僕は、

勝ったのか負けたのか、

何がなんだか、

虚しさを感じてしまい、

すぅ〜っと消えるように店を出た。

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