生まれて初めて買った指輪の話

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生まれて初めて買った指輪は、奥さんとの結婚指輪だった。プラチナで丸い形、一切装飾は無し。
何となく、それがふさわしいように思えたからだ。何もない、ただの結婚。いっそのこと、指輪すら無くても良いかもしれないと考えたけど、人は弱いものだと言う人もいるし、形にして、固めて、物理的なものにおくことも必要かと思い、考えを翻した。

ところで、指輪を買ったお店にフラリと入った時(予約も何もしていなかった)、話を聞いてくれた担当者は若い女性で、おそらく新入社員だった。何もかもバタバタとしているし、質問をするたびに奥の事務所に答えを探しにいくし、むしろ客であるこちらのほうが気を遣ってしまうほどだった。
けれど、後からよくよく考えてみると、僕は入店直後から「結婚指輪が欲しい」と宣言していたから、新入社員の彼女にとって緊張しても仕方がないことだったとも言える。
実のところ、彼女には少しだけわだかまりを持っていたけれど、ゆっくりと時間をかけて思い出していたら、やっと彼女の気持ちを理解することができた。そんな彼女に矢継ぎ早に質問を繰り返していた僕を、反省したい。といっても、僕としては普段通りに訊ねていたつもりだけど、彼女は質問の度に焦りをスーツの両肩から振りまいていて、毎度そわそわとした気持ちになったものだった。

長く取り留めもない話になったけれど、結論としては、僕は彼女に作ってもらった結婚指輪を、一切の妥協も猜疑心もなく、心から好きになれた。未熟者の僕には一ヶ月ほどの時間を要したけど、時間をかけて思いだすことで、好きになることができた。
思いだすことで、好きになる。なるほど、それが指輪の価値か、と思う。
もう顔も名前も忘れてしまったけれど、新入社員の彼女が作ってくれた指輪は、今もキーボードを叩く僕の手の中で光っている。
僕の結婚に対して緊張してくれた彼女の気持ちが、光っている。
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私も指輪は別に必要ないかと思っていましたが、婚約の時に、アボリジニの手彫りの銀の指輪(安価)を彼女に渡したら、物凄く喜んでくれたことを覚えています。女性にとって指輪は特別な贈り物なのでしょう。

玉樹 真一郎

任天堂を退社して独立、青森県八戸市にUターン「わかる事務所」を設立。企画コンサルティング・アプリ開発・執筆などしてます。ハード・ソフト・サービスにこだわらない企画・開発の経験を生かして、地域と世界の役に立てたらなーって思ってます。

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