大怪我~今日の晩飯もスライムか: 魔法使い養成塾の立ち上げ方 その7

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『あれ?』

2軒目の養成塾を建てるために

レーベの街の建設会社に行く時間だった。



金庫を開けると、明らかにゴールドが少ない。


昨日見た時には5000ゴールドの束が4つはあった。
しかしそれが2つと、あとは500ゴールドの束がいくつか。

『あぁ、2軒目の建設費用をダーマがもう払ってくれたのか。』


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順調に顧客は増えていき、地元でも有名な塾になって1年。
この規模になると確かにダーマの使い道は出てくる。

ダーマは人当たりだけはいいので、飲み会での盛り上げ役に最適だった。
そして確かに人脈も増えていった気はする。

それが実際に売上に結びつくにはまだ時間がかかりそうだが、
多少なりともダーマとの関係は改善していた。ホントに多少だが・・・。


そんな矢先、いい話をオルデカからもらった。
レーベの街はいま国を上げて開発に力を入れている。人口が爆発的に増えており、商売をするにはうってつけだった。


しかし当然、土地の値段は上がる。簡単に店を出せるような状況ではないが、オルデカの友人の父が亡くなった。その人はレーベの街の地主だった。

相続された息子(つまりオルデカの友人)はその土地をどうしていいかわからずオルデカに相談したらしい。

ざっと見積もりしたところ、土地だけで4000ゴールド。
破格の値段だった。そこで少しだけ大きめの建物を建てるとするとさらに4000ゴールド。その他諸費用を含めると合わせて1万ゴールドは必要となる。

そして今日、土地と建設費用などを支払うことになっていた。


そう思い金庫を開けたところ、ちょうど1万ゴールド程度が消えていたのだ。

ダーマにもその話はしていたため、ダーマが支払いを済ませてくれた・・・そう自分に言い聞かせていた。

『珍しく仕事してるな』

不安を感じながらもレーベの街の建設会社に向かった。


しばらく人に教えることしかしていなかったためルーラ1つで息が切れてしまう。
それどころか、着地に失敗し危うく大怪我するところだったことも何度かあった。
そのため最近は馬車に乗って移動することが多い。

しかし今回は急いでいたため、ルーラを使いレーベの街に向かった。

着地は成功したが建設会社で予想を超える話を聞くことになった。


『え?費用?もらってませんよ。』


思わず絶句してしまう。

『そういえば銀行が探してましたよ?』

『え?銀行?どうして・・・?』

『なんでも融資していた1万ゴールドの返済が滞っているとか・・・』

『融資?そんな馬鹿な!』

1万ゴールドの融資なんて受けた記憶がない。嫌な予感は的中した。

どうやらダーマが、1万ゴールドを勝手に融資してもらい
さらに金庫から1万ゴールド程度が消えている。

2万ゴールドも持っていったい何をしようとしているのか。

急ぎアリアハンの銀行に向かう。

『ルーラ!』

ルーラは繊細な呪文だ。行き先をかなり正確にイメージしなくてはならない。
イメージが明確じゃないと思ったところに着地できないことがあるのだ。
そこで、多少ルーラが出来たとしても熟練するまでは使わないことが多い。
私はペーパールーラーだったことを忘れ慎重さを欠いていた。

着地したのは民家の上。
屋根から地面に落下し体を打ち付ける。

戦闘など遠い昔にしたっきりだった体は重く、レベル15のモンスターに痛恨の一撃をくらったのと同じくらいのダメージだった。

意識が遠のく・・・。
なぜこんなことに・・・。
ダーマとさえ組まなければ・・・。

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