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16/7/16

【第9話】離れて暮らしていた父の介護のこと、死んだときのこと、そしてお金のこと。

Image by Olia Gozha

ゴニョゴニョ星人

姉と二人、父の病院へ向かう。

父は、かなり不安な様子だった。

それはそうだろう。

自分がなんで入院しているのか、いつまでいるのか、この先どうなるのか

父自身はまったくわかっていないのだから。

「おとーちゃん、軽い脳梗塞だったから、容体が落ち着くまで少し入院だって。」

「そうかー…ゴニョゴニョ」

「ん?何どうしたの?全部手続きはしたから大丈夫だよ。お父ちゃんは何も心配いらないよ。」

「ほら…お金は…にあるから全部持ってきて。」

「え、どこかにしまってあるの?あ、年金口座から引き出すなら、暗証番号教えて貰えれば引き出すよ。」

「いや、…にあるだろう。」

「…」は場所を隠しているわけではない。

本当にその時だけ、ゴニョゴニョして、まったく聞き取れないのだ(笑

何度か会話を繰り返した結果、暗証番号は覚えていないことだけが分かった。


ただ、覚えていないこと(忘れたこと)の確認をすればするだけ

父の不安が増していくのが分かった。


病院は防犯上、少ししかお金を置けないこと、

家に届いてる公共料金とかは私達で支払をすること、

病院の費用も、ちゃんと出せること。


ひたすらに繰り返し、父を少しでも安心させることしかできなかった。


介護認定の再調査、そして相談員さん


父が入院したことにより、介護認定の再調査をすることになった。

これは、介護認定を行なう際、

「現在生活している場所」での調査が必須だからだ。


ここが少しうろ覚えなのだが、

家族への聞き取り再調査はなかったように思う。

(もしかしたらしたかもしれない)


そして、担当がケアマネさんから病院の相談員さんになった。

これからの事、具体的には退院後どこの施設にお世話になるのか、

の相談に乗ってくれるのだ。


早速、父の年金額や性格、生活状況や

私達の生活状況等をお話ししたところ

いくつか施設をあたってみてくれるという。

なんとありがたいことか。


この後、他の病院を含めて何度か入院することになるが

どの病院でも相談員さんには本当にお世話になった。


もう、この先、父はあの家に帰れない。


家賃はどうなっているのか、解約はどこに伝えればいいのか、

父の荷物をどうしたら良いのか。


施設の入居準備とあわせて

解決しなければいけないことが山積みだった。


2月の時点でわかっていた。でも考えないようにしていた。

ここまでで何度も仕事を早退したり休んでいる。

これ以上、会社に迷惑をかけられない。

でも、もう逃げられない。


父だけではなく、私も姉も不安ばかりが募っていった。


つづく


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