フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第15話

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恐るべき未来へと

《これまでのあらすじ》初めて読む方へ

普通の女子大生だった篠田桃子はある出来事をきっかけにショーパブで働き始める。野心に目覚めた桃子はそこに居場所を見出し、恋人と別れクラスメートからは避けられても、挫けず着実に地位を築いていった。そんな最中、ホステスの中で唯一友達だったミホが事件を起こし店から消え、桃子は不安と寂しさでいっぱいになるのだった。



その手は憎悪そのものだった



嫉妬や妬み、そして裏切り


私を打ちのめしたのは、そのどの手からも殺気が

伝わってきたからである


私はそのドス黒い無数の手に殴られ、叩かれ、辱められ

押し付けられたた挙句


奈落の底に突き落とされた


…助けて…


大声で叫んでいるつもりが


声にならない


か細く、弱々しい声


無力な自分


私は、このままどこに




堕ちていくのだろう……




ハッとして瞼を開いた。


見慣れた部屋の天井と蛍光灯がそこにあった。



夢だったのか…


嫌な夢



私は上体を起こし、額の汗を拭った。


昨夜、終電に間に合わずタクシーで帰って来て


布団に入ったのが深夜2時。


いつもより少し早いくらいだった。


その時は寒くてしばらく布団の中で縮こまっていたというのに

今朝は脇から何から汗でベッタリしていた。


私は気持ち悪くてすぐシャワーを浴びに立った。


サッパリした身体で、椅子にまたがりパンをかじりながら


テレビのニュースを流し見した。


いつもは何の感情も持たずに観れたが


画面に暴行されて亡くなった女性の顔が映った瞬間


ついさっきまでの恐怖が蘇ってきた。


私は身震いし、テレビを消した。




そして暗い気分をかき消すため

2限の授業のためだけに大学へ行く支度を始めた。



3限と4限に出るつもりはなかった。


この教授は一切出席を取らないことで有名だったからである。



重たい足を引きづるように私は大学までの坂道を登った。


学校のない日は

布団の中で深い眠りの中にいる時分だ。


すでに10時をとっくに過ぎていたが

日の眩しさには、まだ朝の名残があった。


私は目を細め、前を楽しそうに歩く学生たちを見ていた。



2年生も残すところ後、1ヶ月あまりだ。


普通は3年生になると週の半分くらいの登校で済むはずだったのに


この半年間で多くの単位を失ったおかげで

私は他のクラスメートより、多く大学に通わなくてはならない。


当然っちゃ当然だ。


怠けたツケが回ってきたのだから。


仲の良かった子たちとのネットワークを消失してしまったせいもあった。


互いに代返しあったり、試験のヤマを教えあったり

急なお得情報を流しあったり


そういうことから全て離れてしまったのだから


要するに単位を取ることに不都合が生じたのだ。


全ては自業自得というわけだ。




2限が終わり席を立とうとすると


苗代という教授に呼ばれた。

40そこそこの助教授だ。

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