世界的なイノベーティブ(革新的な)製品を持つ会社を辞め急ぐ理由

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縁があってシリコンバレー発のベンチャーに端を発する会社に入社。製品は世界で唯一、かつ人の為にもなると言うやり甲斐のあるもの。しかし、ある日気づいた。入社から2年位した時。あれ、入社した当時いた人達がほとんどいない。

そう言えば入社して直ぐに始めた本社の経理責任者とのウィクリーコール。要は一週間に一回やる定時電話会議。1か月程して、家からだと思うのだが彼女が、

「実は私、会社辞めることにしたの。」

私、「何で?」

「前から辞めることを考えていたのだけれど。新しい会社が見つかって。その会社でチャレンジすることにしたの。」

普段は経理責任者という事もあり厳しい口調で話す彼女がしんみりと話すのにも驚いていた。


シリコンバレーにある本社に出張し、マネジャー連中と雑談していた時のこと。

「この会社、何事も速く進むんで3か月もすると、自分に良くやった!って達成感が出てきちゃうだよね。」

「そうそう。ここでの3か月は外での1ー2年に感じられるから。」

確かにそれから2年。その時居た10名近いマネジャーで残っている人はいなかった。


思い当たる理由の一つは場所。

シリコンバレーなので周りにはアマゾン、グーグルなどのIT企業。

テスラモーターズの様な電気自動車の先駆者。

インテルやナショナルセミコンダクターなどの有名企業が目白押し。

退職する人にどこ行くの?と尋ねると、これらの企業の名前がずらずらと出てくる。

「グーグル行ったらいつでもミール(ご飯)がタダで出てくる。」

本気でこれが転職の理由になる様で、対抗してうちでも「カフェ」を開設したが、評判はイマイチだった様だ。

また不動産価格が高騰して日本の一戸建てに毛が生えた様な家でも2億円。

賃貸物件も高い。それでは治安は良く無い。

故にサンフランシスコや、ゴールデンブリッジの向こう側から2時間近く時間を掛けて自動車を運転して来るか、二階建ての列車に揺られて来るか。これでは東京での痛勤より悪いくらい。

夕方の退社時間になると高速道路はサンフランシスコに向かう車で渋滞。空港までいつ着けるか分からないとタクシーの運転手もこの時間は避けたがる。


もう一つ思い当たるのが昇進機会が少ないこと。

会社の設立前後に参加した連中がマネージメントとして居座っている。

本社にいる同僚が辞めるというので上司に理由を聞いてみたところ、

「私のポジションに就くのが夢って言うのだけれど、私は未だ当分辞める気ないから。

それじゃあ、別の会社で機会を探しますって。」

実際、彼は株式公開を計画している大きなくくりでは同業のファイナンスの責任者としてマネージメント入り。


似ているけれどちょっと違うケースもあり。

先の別の会社に転職していった人の代わりをどうするかという事になったのですが、ディレクター、日本で言うと部長クラスの2人に競わす事に。

一人は証券アナリストの資格を持ちWall Streetのアナリストの相手をし営業部門のトップとも丁々発止上手くやる奴。

もう一人は半導体メーカー出身で頭はめちゃくちゃ切れ、ファイナンスのチームをまとめて決算を作り上げていく奴。時々、普通人には彼が何を言っているのか分からないことがある。

勝負が付いた、と分かったには1年ほどしてから。

前者の証券アナリスト出身者が昇進。

そして後者は会社を去っていった。

行った先は誰でも知っているITの小物を扱う会社。でも製品に新規性があるわけでも、他社のものに無い付加価値があるわけでも無い。

「どうしてそんなとこに行くの?」

という無遠慮な私の問いに、彼は、

「色々と考えたんだ。」と、言うのみ。

勝者と敗者。そういう事なのだろうが、両者が並存できる方法があるかと思うのだが。


その様な対応のせいだろうか、技術部門の部長級がライバル会社の技術責任者に採用されるという事が起こった。

会社は、「うちに残って欲しいと思う人材で無かったので出て行った。」と言うコメントをしている様であるが。


製品の革新性には誰も疑問を抱かない。そして多くに人がその製品に関わりたくて扉を叩く。

しかし、その見えないところでは様々な人間模様が描かれている。

まあ、これはこの会社に限らないのであろうけど。




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