HAYATONY物語8

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水産高校は成績別クラス編成の様な学校になっていたので生徒同士の間でも差別意識が強まり中学時代の同級生達も次第に仲が悪くなり、他のグループとの派閥抗争が常時、起こり学校はまさに映画のビーバップハイスクールの様になって行った。

男子ばかりの漁業科や機関科では休憩時間には教室内でタバコを吸う生徒や、クラス内でもケンカが絶えず起こり、そのやる気のない授業のはけ口に休み時間になると普通科の誰かが呼び出され殴る蹴ると暴行を受け、揺すりやたかりそしてカンパなどと言う名目でお金を徴収するなど、普通科の生徒には日々学校に行くのが楽しい者はいなかったであろう。

親たちはそんな学校の生徒の内情など知るよしもない。

誰かが自殺したりして初めていじめやリンチがあったことが明るみになる。

おおよその生徒は自分がそのいじめの対象になる事を恐れて誰もそのことを親や先生に話したりはしないのである。

本当に人間は情けないとても臆病で自己防衛本能が強く誰もいじめられている者を助けようとせず見て見ぬふりをする。

いじめやリンチする人達は自分たちがしている事を悪ふざけぐらいにしか思ってない僕は高校時代の記憶は消したいぐらいこの高校の生徒達は心が病んでいた。

トラウマになった高校3年間の暗い話は一旦ここまでにしておこう。

高校時代の思いでとしては海で遊ぶ以外、娯楽がほとんどない田舎だったからか地元の若者はバンドを組んだりして音楽活動は盛んだった。

小学5年生から親戚の兄貴の影響でギターに興味を持ち中学生の頃から作詞作曲を始め中三の時には初めての自身のバンド、リップステックを結成しその後、高校ではパープルと言う名のバンドを組んで音楽三昧の洋楽かぶれの高校生活だった。

僕が美容師になるきっかけも音楽でバンドを組んだおかげで様々なヘアースタイリングを作る様になり誰よりもヘアセットが上手で毎日違うヘアセットして学校には通ったし、僕が毎日入り浸っていたレコード屋の店員の綺麗なお姉さんとなかよしで高校生心に彼女の事が憧れで好きでもあった。

しかし彼女には美容師の彼氏がいた。

この彼がまたカッコイイのである。

この美容師の彼との出会いが将来の仕事として美容師もありだなと考えるきっかけになった。

おしゃれな大人がいない田舎の町で髪型がいつも決まっていて着ている洋服もデザイナーブランドのスーツを着ていて「俺もこんなカッコイイ大人になりたいと思った」それからカッコイイ生き方をする人生を送りたいとも思った.

歳とってもただのダサいオヤジにはなりたくないと子供心に思っていた。

ヘアスタイルの話をすると僕たちの時代には中学生男子は校則で全員坊主だったので

中学時代は眉を整えるくらいしかおしゃれするところがなかった。

ちょっと色気づいてコロンを坊主頭に着けたりした。

やっと高校で髪の毛を伸ばすことが出来た時代であった。

髪を伸ばすとやはり興味はヘアスタイルになって行った。

僕もその当時リーゼントスタイルにあこがれた。

その時代の音楽リーダーは矢沢永吉が率いるキャロルやその親衛隊である舘ひろしが結成したクールスがカッコ良かった時代である。

高校に入学して間もなく僕は人生で始めてパーマみたいなアイパーと呼ばれるパーマ液を付けた髪の毛にアイロンのコテでヘアスタイルを作るパーマをかけた。

今考えるとデジタルパーマに考え方は似ている。

濡れている時にはコテでおれた髪の毛は現れず乾くとリーゼントしやすいように髪の毛の途中からコキっと折れていてブローしてリーゼントが作りやすかったが3度かけたら髪の毛がゴワゴワになり僕の髪の毛は人形の髪の毛の様になり死んだ。

もちろん高校はパーマ禁止なのでコールドウエーブはすぐにパーマとバレてしまうので髪が濡れるとまっすぐになるアイパーが田舎でおしゃれな高校生には一番人気であった。

ところがこのアイパーを一年生でいち早くかけた僕は3年生の上級生に睨まれる事になった。

「一年生で普通科のくせにアイパーをあてるとは」と呼び出されあわやボコボコにされるところだったが誰かが言った。

「こいつのいとこはあの若生だよ」もし手を出したらとんでもないことになると誰かが言った。

僕のいとこの兄ちゃんは志摩高校の番長で伝説の人物であった。

噂によると若生兄ちゃんの友達が水産高校の寮生にケンカを仕掛けられその仕返しにその寮に殴り込み寮のガラスを全て割ったらしい。

あくまで僕が噂で聞いたいとこの兄貴の武勇伝なのでどこまでが本当かは定かではない。

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