Twitterの買収がダメになったわけ

Twitter、140字以内の短文を投稿するWEB上のサービス。設立は2006年と丁度10年前。日本では3.11の際にその有効性が再確認されるなど引続き人気が高いが、本国では事情が違うようで、9月には複数の会社との買収の噂が広まった。

そもそも我々はTwitterというサービスはよく知っているが、それを提供している会社についてどれほど知識があるだろうか?

設立は2006年だが、サービス自体はブログサービスのブロガーで開発チームの一員だったビズ・ストーン、ジャック・ドーシーがその前から温めていたものをオデオ社のプロジェクトとしてサービスを開始。

その後、ベンチャーキャピタルの資金支援を得てユーザ数を獲得。今では3億1千万人の月間アクティブユーザを数えるまでになった。

2013年11月にはニューヨク証券取引所に上場。この新規公開でTwitterは1,800億円を手にした。

公開価格は26ドルだったが取引初日の終値は44.90ドル。

その後、70ドルを超えることがあったが、じわじわと下落を続け今では16ドル台。

いったい何があったのか?


実は16ドル台でも株価としては尚割高と言わざるをえない。

会社の価値を市場が評価した時価総額は今でも1兆2千万億円。これは東証一部上場会社2千社弱では100社以内。会社の株主持分が4,500億円だから3倍近くもインフレしていることになる。

これは会社の所有している3億1千万人のユーザー及びに今迄に蓄積した膨大なデータに価値を見出している為。ビックデーターの時代にはデーターを持っている者が勝者になるからだ。

それ故に、買収価格は一説には3兆円越えとの噂が実しやかに伝えられている。

ところが年間売上は2千億円を越したところ。東証一部上場会社2千社弱の中だと1,500位くらい。

利益水準に至ってはここ数年は500-600億円の大幅赤字で黒字化の目処が立たない。

会社の価値はファイナンス理論によれば、将来の収益の現在の価値。これに成長率が高い会社にはプレミアムがつくのだが、一生赤字の会社では価値も付かない。

悪いことにTwitterのユーザ数の伸びは鈍化を見せており、このままでは益々株価が下がるのを下げられそうにもない。


その様に判断した取締役会が売却に画策しているようだが、これまでに書いて候補として名前の挙がったGoogle、Apple、Microsoft、Disneyが次々と買収を断念。そして最後に残ったSalesforce.comも撤退となった。


これで買収劇は一旦、沈静化すると思われるが、経営陣は稼げるビジネスモデルを構築するか、再びユーザ数を増やしてデーター量の蓄積を図れるか。何れにしてもあまり時間はない内に答えが出されそうである。



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