広告代理店に入って、それから。

広告って面白いそう!


そんなことを思い始めたのは、高校1年生のときだった。

当時本だけは無限に買うことを許されていた僕は、いつ見たか覚えてないCMがずっと頭の中にあった。

https://www.youtube.com/watch?v=It3MoqXXb0U



出会えなかったかもしれません。

たとえ千人いや一万人と出会ったとしても、

あなたという一人と出会えなかったかもしれません。

ま、数がどうとかではないんだけど。

それは何と呼べばいいんだろう。

あなたと出会えた、そのときの空気の匂いとか、そのとき聞こえた音楽とか

そういういろんなモノやコトに支えられたあなたと出会えたそのときだったりするので

そう、それは一冊の本に似ていると思う。

私の世界を変えたりできるから。

あなたを知る前には戻れないから。

出会えなかったかもしれないから。

千冊いや一万冊よんでも

出会えなかったかもしれないから。

ま、数がどうとかではないんだけど。

あなたのすきな一冊がわたしの好きな1冊になったりすること、

それは軽々しく言ってしまえば、それは奇跡です。

その瞬間をわたしは、軽々しくも奇跡と呼びたい。

ナツイチ 夏の一冊 集英社

そう!本ってそうなんだよ。

きっと一度読んだ本の内容はずっとは覚えていないけど、一瞬自分の人生に入り込んでくる。

そして、あたかも本の世界を自分が都合よく経験したことにさせてくれる。

自分の人生が何倍にも膨らんでいく感覚が当時あった。


このCMでは僕のそんな誰と話していいか分からない、

言葉にならない感覚を言葉にされたような気がした。


そして、そんなことを思いながらもCMって誰が作っているんだろう?

アーティストかな?なんか作家みたいな人がいるんだろうか。

当時京都の片田舎で暮らしていた僕には、情報を集める術がなかった。


そして、大学は建築学科に進んだ。

それもまた、ずっと意識していた将来の道だった。

大学に入って、建築にどっぷりつかり、

「◯◯の建築は新しいよね」、「あれってありなの?」など建築談義に花を咲かし、

徹夜で課題作業をし、ちょっとした実務の経験も積んだ。


本当に将来のことを考えたとき、どうしようか迷った。

広告は建築の世界に比べると、作ったものが一瞬の産物になってしまう。

比べ、建築は一度、地に根をはるとなかなか消えはしない。


どちらも、ツクルといった大きな意味では差はないのかもしれない。

当時は自分にとって、少しでも楽に苦しまなくていいように

考え方だけは大きくざっくりした考えをするように意識していたかもしれない。


今は念願のコピーライターという肩書きをもらって肩書きに恥じないように

奮闘する日々を過ごしている。



別に自分がポエミックなセンスがあるわけでもなく、バシッと言葉を決めれるわけでもないのに

コピーライターと名乗るこの業界。

建築の世界では、1年目が建築家を名乗ることは決してないんだと思う。


だからこそ、見てくれだけで大したことない人間が生まれてしまうのは、しょうがない。

でも広告の世界は決して望んでそういう人を産もうとしてるのではなく、

とくに教育がない中、人間力だけを信じて、この人を育てようとしてくれる結果が

1年目 コピーライター という肩書きになっているだけだ。


僕の同期は面白い。

同じコピーライターでも、

僕のように建築とか理系でものを作ってきた人間、

ゲームばっか作ってて大学3年まで人間と会話してこなかった人間、

文系ゼミでバリバリマーケティングをやってきた頭キレッキレの人間

哲学に陶酔して、思考概念が異次元な人間。


そういう人間を一人前に世の中に幸せを生み出せるように教育するために

何にもできない人をプロのように扱い、そして自分からもそういう姿勢を持つように教えを受ける。


1年目なのに、面白いといって、考えを採用してくれる人。

そして、それを実現まで持っていくために現場で一緒に作ってくれるプロたち。


不甲斐ない結果は出せないと、もがけばもがくほど睡眠は削れるだけ削る。

そうでなければ一緒に作っていく人たちに申し訳ない。



最近もいたたまれない事故が起きた。そして、世の中を騒がしている。

そのことに関して誰もがこぞって、意見を言いたがる。


確かに不規則だし、休みを取るタイミングも難しい。

でも人一倍、仕事を愛して新しいことを模索し続ける人が周りにたくさんいる。


そして、不器用にも体を壊してしまう人もいる。

体が第一。そんなことも忘れるくらい前を向いて走ってしまう。


僕の人生の中では、建築家という生き方か広告の2つしか詳しく理解できていないけど、

二つとも共通しているのはちゃんと、仕事を愛しているということだと思う。


そして、仕事を愛せる人間は当然のように周囲の人間も愛している。

ワーカホリックという考え方もあるが、僕はそうは思わない。


なんでも自分の周りにあるものを愛することができるから、

仕事も愛してしまうんじゃないかなと。


僕がこの先、ずっとここにいるか、10年後何をしているかはわからないけど

きっとここで見てきた人たちの愛する姿勢は、僕の糧になると思う。


























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