明日は今日の風が吹く。01
次話:
明日は今日の風が吹く。02
まだまだ義務教育も済んでいないあの頃。
ついさっき家に戻ると
置き手紙と現金3000円ぽっきり。
母親が男と出て行ったみたい。
まだ子供が市営住宅にひとり
市の職員が来たら、施設入りだろうな…。
明後日には食べるものもないやろな。
学校も行かれへんようになる?
生きていけるんかやろか⁈
まだ子供の俺の頭にはスペックオーバーで
不安をとりあえず無理やり消して
テレビを見ていたのを覚えてる。
お昼12時のアルタ前が映る。
今からあそこに行こうと決心した。
もう誰もいない
怖いものもない
いつか行きたいと思っていた街。
明日は明日の風が吹くだろうし
午前4時半頃。
夜行バスの窓、カーテンを少し開けると
遠くに見えた高層ビル群
手に届かなかった憧れの街も、もう間も無く手に届く。
この街はどんな夢でも叶うと聞いたが
この街は何もかも食い潰されるとも聞いた
あの朝東京に着いてから20年間。
空を見上げてた笑顔の夜と、床を見つめた絶望の夜。
あの頃ひとつひとつを告白してみようと思う。今まで一度もこの心から出した事がなかった、誰にも言えなかった過去。
朝までに話し終えれるかなぁ…
今晩、そこで聞いてくれるなら話すよ。
著者のAc Kitaさんに人生相談を申込む
著者のAc Kitaさんにメッセージを送る
メッセージを送る
著者の方だけが読めます