僕が精神科に入院するまでのほんとうのこと~入院顛末記~(11)

この入院のとき
隔離されているときにオリンピックがあり
オリンピックの柔道の試合結果を
毎回看護師さんが報告してくれていた
今日はどうだったとか
この歳のオリンピックの男子柔道は
最悪の結果を迎えていた
保護室もどきの部屋に入って
しばらくしたら
大部屋に移動になった
大部屋に移動するようになると
自宅に帰れるようになったんだけど
引越しするように家主に督促され
別に無理してまですむようなマンションでもないので
新しい引越し先を探しに
不動産屋を回るはめになった
外泊が許され
その都度不動産屋をまわり
家を探すということをしていた
入院の状態では
聾唖者の人と将棋をしたり
自分の大部屋が相談部屋兼
トレーニングルームになっていた
外泊はできるけれども
外出を短時間すると言うことはできなかった
その病棟が閉鎖病棟であるため
病棟を自由に外出することは許されなかった
退院の準備をするのに
外泊は許されていた
聾唖者の人がなぜ病気になったのか
うすうす理解できた
聾唖者も音で障害が起きるのだ
聞こえないはずの音を聴き
その騒音の害で障害になっているようだった
いろいろな人が入院しているため
退院して北海道に移住した子もいた
入院途中で警察にいく子もいた
閉鎖病棟のため体がなまるから
だいたいの人がトレーニングらしきことをするのだけど
自由に創作ダンスを踊って
からだを動かしている人なんかもいた
自分の処遇が差別的だと訴えて
逃亡を図る人もいた
隔離室のときは小さな窓が現われ
そこに馬車が宮殿に入る映像が現れたり
アスキーアートで映像が送られたりして
こんなことで確認しないと
証拠が集められないんだよと
わけのわからないことをいっている
声が聞こえたりした
映像を脳に送り込んでいたのだろうか
将棋は少しは上達したように思う
老人がおいらに自分の手ばかり考えずに
相手がどう動いてどうするか
棋譜を覚えておきなさいと
指導してくれたので
相手の手をじっと見る癖が少しついて
聾唖者の人と将棋を指すときに
駒を入れ替えてインチキをしているのもわかったし
その人の将棋を指す癖もわかったりした
将棋の基本の攻めとか定石とかは知らないけど
ある程度はできるようになっていた
引越し先が確定して
役所に手続きをして
そして退院も確定した
退院は妄想が解けて安定すると早くなる
しかしこの妄想と幻聴と幻覚が
治まってくるのにはまだ
ストーリーが終わっていなかったようなのだ
この入院の一年後にまた入院することになるのだ
その入院はこのストーリーの最初の病院への
再入院という形になる
この3回の一連の入院は
たぶんストーリーがつながっていて
妄想や幻覚や幻聴がつながっており
ストーリーを収束させたことで
おいらの症状も治まってくるのだろうと
なんとなく思っている
そして3回目の話をします
薬は害であるとする医者の話を信じ
薬を減らすことを目的に
急激に薬を減らす強硬手段に出た
薬の減らす速度が速かったのか
それとも薬が不用というのが嘘なのか
おいらにはわかりかねるが
そんなことはタバコも酒もやっているのに
薬だけがなぜイカンとなって悟ったときでもあった
薬を急激に減らしていくうちに
お守りにおいてある般若心経から声が聞こえた
般若心経のお守りが般若心経を唱えているのだ
あれっと思った
でもあるかとも思った
しばらくして観音経のお守りからも
観音経を唱える声が聞こえた
あれっと思った
それでもあるかと思った
しかしおいらのばあい物から声が聞こえ始め
やがて断食が始まり
そしてブレーカーを落とす段になると
もうその段階で入院したほうがよい状態に
なっているんだけど
この兆候は簡単にスルーされた
薬を急激に減らすうちに
物から声がし始めたのだけど
それをいとも簡単に
それはあるかとスルーしてしまったのだ
幻聴がひそかに始まっていたのだ
そしてそういうことはあるのだろうと
おいらの中で解釈して
病状が悪化しているという認識がなかったのだ
しばらくして
扇風機が話し始めた
扇風機の回転の音が声にきこえはじめたのだ
毎晩扇風機に声をかけられ始めた
祭りの囃子が家の近所を通ったとき
何度も家の前を通るのだけど
その音をクーラーの音がリピートしていた
わけのわからない声たちに
少しずつ違和感を感じていた
状態がおかしいから薬を変えてもらおうとしたが
おいらの要求は薬を減らすことになっていた
状態がひどいときの頓服は出された
おいらは状態が悪くなることを予感した
そのころ家には彼女と一緒に暮らしており
彼女が同棲の形で住んでいた
元妻とは縁が切れていた
彼女には状態が悪くなっても
絶対に手を出したり危険なめにはあわせないと
宣言していた
悟れていない扇風機から声が聞こえる
うるさい声が毎晩聞こえる
彼女が寝たらおいらはしばらく眠りにつくまで
声と戦わなければならなくなり始めていた
彼女が起きている間は戦えない
しかし彼女が寝たら声と戦い始めるのだ
状態は悪化していた
明らかに悪化していたのだ
しばらくして彼女との会話が成り立たなく
なり始めていた
彼女は絵でおいらの心に訴えかけようとした
どんなことが会っても一緒にいるよとか
絵と文章で表現してくれていた
ある日おいらは彼女の文章で亡くなった知人を思い出し
涙していた
感情が溢れて涙が出ていた
感情の横溢が始まっていた
おいらは彼女が寝たのを待って
ご先祖さんに救いを求めた
鏡の呪術をやろうとしたのだ
鏡に向かいご先祖さんを探そうとした
しかし次の瞬間
おいらは鏡から吹き飛ばされていた
えっ?と思った
みなそれぞれに鏡の世界で生きている
他人の鏡に映る自分と自分の鏡にうつる自分
そういうものを確かめ合いながら
人というものはなんとなく生きている
しかしおいらはいま鏡の世界から吹き飛ばされた
おいらはこれからどうなるのだろうと思った
鏡の世界に入ってしまったのか
鏡の世界から出てきてしまったのか
わけのわからない世界が顔を出し始めた
彼女は起きているときは絵を描いて文章を添えて
おいらをどうにか支えようとしていた
おいらはそれに応えたいと思っていた
しかしわけのわからない世界が
だんだんとその存在を大きくしていった
彼女には霊感があり
そんなある日天井に子供の霊を見て
驚いて恐れていた
彼女の霊感は時々何かを見た
おいらのわけのわからない世界と呼応するかのように
霊的存在を感じていたようだった
霊的存在やわけのわからない存在を
それはそれであるんかと受け入れてしまうと
わけのわからない世界に引き込まれてしまう
その世界と一定の距離を置かないといけないのだ
必要なとき意外は見ないほうがいい世界だ
おいらの状態は悪化していく

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