ダーリンは変わり者 ~いざ高級キノコのなる洞窟へ~
主人は変わり者である。
そして妻の私は、そんな主人の「変わり者ぶり」のちょっとしたファンなのだ。
結婚して10年になるが、今も変わらず「今度は何をしてくれるのだろう?」という私の好奇心を満たし続けてくれている。
今回は、家族で行った「高級キノコ栽培の洞窟」のお話。
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主人の地味な趣味は、「マイナーでマニアックな場所を訪問するのが好き」というものだ。
(主人は免許を持っていないので、運転するのは私の仕事だ)
前回の休みに、息子を国内でも有名な人気の動物園に連れていくことになった。
しかし主人は、メジャーな観光地だけでは満足できない。
早速、道中どこかでマニアックな場所に立ち寄れないかとサーチした。
そして白羽の矢が立ったのが、「高級キノコ栽培の洞窟」だった。
キノコといえば森林で栽培されているイメージが強いが、ここフランスでは遠い昔から洞窟の中でも普通に栽培されているそうだ。調べによると、「シイタケ」も栽培していると書いてあった。
これは是非行かなくては!
パリ方面から南に下ること2時間半ほど、何もない田舎道をひたすら運転し続けると、大きな看板が見えてきた。
参加希望者もだいたい集まったであろうところで、いよいよ洞窟まで案内して貰う。
(見事にお年寄りばかりだった!)
1893年から続く120 kmの洞窟は7階建てで、常に13℃に保たれている。暗いし長いし寒いしで、迷えば確実に地獄が待っている。
最初にお目見えしたのが、日本では500g当たり5000円で売られているピエ・ブルー(ムラサキシメジ)だ。(白いフサフサはカビ)
本当にこれが?と思う色だが、ピエ・ブルーは日光に当たって初めてあの独特の青色に変化するのだそうだ。
こちらがシイタケ。取引先は、パリの築地「ランジス市場」のみで、1キロ40ユーロで売られているそうだ。
「シイタケは日本のものだ」と話してみたが、栽培している人は全く知らない様子だった。
2000年には国内で19個あったキノコの洞窟も、オランダや中国産の輸入キノコにやられてしまい、今ではたったの4つとなってしまったそうだ。
栽培するキノコの種類もどんどん減っていき、とうとう「高級キノコ」栽培のみとなってしまったとの事。毎日食卓に上るようなキノコでは、採算が合わないからだ。
そして最後に、洞窟の壁が美しく彫刻された場所に出た。
なんとこのマイナーな洞窟の土は、あの有名な「ロワール城」の城壁に使われているのだそうだ。
見学の最後に取り立ての「シイタケ」を購入して、キノコの美味しく正しい調理法を教えて貰った。
この度も、なかなかにマニアックな旅となった。
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